目次
第 I 部 信仰について
論考前半 三一なる神,およびその業(わざ)について
第2章 信仰について語るべきことの順序
第3章 神とは何か
第4章 神が動かすことのできないものであること
第5章 神が永遠であること
第6章 神が御自身のゆえに存在するのは必然であること
第7章 神は常に存在するということ
第8章 神にどんな連続も存在しないこと
第9章 神は単純であること
第10章 神がその本質であること
(以下,184章まで)
もう1篇の論考 キリストの人性について
第185章 キリストの人性への信仰について
第186章 最初の人間に与えられた掟と最初の状態での彼〔人間〕の完全さについて
第187章 かの完全な状態が原初の正義と名付けられたことと人間が置かれた場所について
第188章 善悪の知識の木と,人間の最初の掟について
第189章 悪魔のエヴァに対する誘惑について
第190章 女を引き付けたものについて
第191章 罪の,男への及び方
第192章 下位の力が理性に謀反を起こすという意味で過ちを犯す業について
第193章 死なねばならぬということに関する罰が下された仕方
第194章 知性と意志に起きる他の欠陥について
(以下,246章まで)
第 II 部 希望について
第1章 キリスト者の生の完成には希望の徳が不可欠であるのは,希望そのものによっておのずから明らかであること
第2章 人間たちに,神に望むものを得るための祈りが知らされているのは適切だったこと,および神への祈りと人間への祈りの違いについて
第3章 我々に祈りの形式がキリストから伝えられたのは,希望の総仕上げとして適切だったこと
第4章 希望するものを,神そのものに祈り願わねばならない理由
第5章 神は,祈ることで我々が望むことを願う方であり,祈る者には我らの父と呼ばれるべきであって,私の父と呼ばれてはならないこと
第6章 我々の父である神,すなわち我々が祈る方の,希望するものを認める権限が示されるところ,すなわち「天におられる」と言われる所以のもの
第7章 神に希望すべきものはどのようであるか,および,希望の本質について
第8章 最初の願い,すなわちその際我々が,我々のうちで始まった神の知が完全にされることを欲すると言われる願いについて,そして,それ〔神の知の完全化〕が可能であること
第9章 第2の願い,すなわち我々を栄光に与る者として下さるように
第10章 国を手に入れることは可能であること
解説
訳者あとがき
索引
内容説明
トマス・アクィナス(1225-74)は『対異教徒大全』を執筆した後に,友人で彼の身近にいたレギナルドゥスの求めに応じて自身の神学について口述したが,彼の死によって未完に終わった。この貴重な書の本邦初訳である。
トマスはアウグスティヌス『エンキリディオン』にならい無限の神が発する聖書に込められた多くの教えを,簡潔に要約して広く人々に語ることにより,神とは何か,希望と愛とは何かを語ろうとしたが,希望について語るなかで中断された。真理を知るためには信仰を,目的を持つには希望を,そして希望を実現するには愛を必要とする。
トマスは246章にも及ぶ主題を通して,「信仰について」詳細な説明を与えた。本書では中世のみならずその後の信仰と教会に多大な影響を与えた彼の神学の真髄が解き明かされるとともに,キリスト教の神学がアリストテレスなどギリシア哲学を導入しながら形成されていく姿が見事に描かれる。
本書は丁寧な翻訳と詳細な訳注により,ことに神学に馴染みのないわが国の読者にも近づけるよう配慮し,キリスト教がもつ生き生きとした内的源泉に触れる最上の書である。キリスト教に関わる多くの現象を知るためにも身近に置いて親しく読まれる一書となろう。
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