霊的理想主義の人間観
比較思想から思想対決へ
著者 | サルヴェパッリ・ラーダークリシュナン 著 山口 泰司 訳 |
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ジャンル | 哲学・思想 |
シリーズ | 知泉学術叢書 |
出版年月日 | 2020/07/30 |
ISBN | 9784862853189 |
判型・ページ数 | 新書・502ページ |
定価 | 本体6,000円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
1 観念論・理想主義とは何か
2 科学的方法
3 科学の業績
4 比較宗教
5 高度な批判
6 有神論を支持する証明
7 宗教の非実用性
8 宗教と政治
9 総体的な不安定
10 現在必要なこと
第2章 宗教の代わりを果たすもの
1 自然主義的無神論
2 不可知論
3 懐疑論
4 ヒューマニズム(人間中心主義)
5 宗教とヒューマニズム
6 プラグマティズム
7 モダニズム
8 正統主義
9 霊的特徴の欠如
第3章 宗教体験とその主張
1 宗教哲学
2 宗教の本質
3 直々の「神」体験
4 宗教体験の特質
5 体験と,表現の多様性
6 神と自己
7 一つの調和としての世界
8 自己-認識と,そこに至る道
9 生まれ変わった人の生活
10 生まれ変わり
11 救済
第4章 知性と直観
1 創造的直観への東洋の強調
2 批判的知性への西洋の強調
3 様々な認識方法
4 概念的知識についてのベルクソン
5 クローチェ
6 直観的認識
7 直観とイマジネーション
8 直観と知性
9 直観をめぐるヘーゲル
10 哲学における直観の必要性
11 プラトン
12 デカルト
13 スピノザ
14 ライプニッツ
15 パスカル
16 カント
17 ヘーゲル
第5章 人間の内なる霊魂(精神)
1 直観と,科学の天才
2 直観と芸術の達成
3 詩歌
4 芸術的知識
5 直観と倫理的生活
6 宗教的意識とその他の諸価値
7 創造的直観
8 人間の内なる霊魂
9 全一性としての,まことの自己
10 本能と直観
11 宗教的経験からの議論
第6章 物質と,生命と,心と
1 信念と確実性
2 科学と哲学
3 科学的認識の限界
4 輪廻,サンサーラ
5 物質
6 実体
7 原因
8 秩序と進歩
9 物理科学と主観主義
10 生命
11 生気論
12 進化
13 心
第7章 人間の人格と,その運命
1 自己意識
2 一つの有機的全体としての自己
3 主体としての自己
4 自己と環境
5 カルマと自由
6 来世
7 個人としての不死性
8 条件付きの不死性
9 生まれ変わり
10 霊魂
11 救いとは何であるのか?
第8章 究極の実在
1 私たちの暮らしている世界
2 自然主義
3 スマッツによる全体論的進化
4 アレグザンダーおよびロイド・モーガンによる創発的進化
5 ホワイトヘッドの侵入的進化
6 神
7 絶対者
解説
索引
内容説明
インドを代表する比較思想,比較宗教学の世界的碩学ラーダークリシュナン(1888-1975)が,物と心,現象界と本質界,科学と宗教の一切を抱懐する〈存在の神秘〉について解明した古典的名著の待望の翻訳である。
著者は古代ギリシアやキリスト教から20世紀に至る多くの哲学者,宗教家の著作群と向き合うとともに,インドのヴェーダーンタ哲学や仏教に及ぶ広範な知見を駆使し,究極の真理とは何かを探究する。現代人は伝統的宗教に代り,自然主義的無神論,不可知論,懐疑論,人間中心主義,プラグマティズム,モダニズム,正統原理主義などを渉猟して絶望の中に救いを求めている。
存在の生きた全体を,個人の内的体験を通して統合的に直観し,その成果を個人や社会で創造的に活かす,真に科学的な実験宗教を「霊的理想主義の人間観」に結実させた。
近代の国家形成と大衆化や技術化に対し,現代はポスト近代として,グローバル化,情報化,急速な科学と技術の革新,自動化,ロボット化,自己中心化,賃労働の崩壊,そして地球環境の破壊による人類の生の基盤を揺るがす多様な異常現象など,巨大な歴史的転換期を迎えている。
今日の哲学,思想,宗教など人文研究が,多岐にわたり専門分化し精緻化するなか,人間と社会と自然・地球の全体的な調和を踏まえて,人類は未来に向かってどう進化するのか。本書の智慧は新たな可能性への豊かな示唆に富む。