目次
略号について
序文
引用著作の略号
第1章 波乱に富んだ青年時代(1224/25-45年)
アクィノ家/カッシーノの献身者およびナポリでの勉学/ドミニコ会入会とその結果/人物描写に関する最初のスケッチ
第2章 アルベルトゥス・マグヌスの弟子(1245-52年)
パリ(1245-48年)/ケルン(1248-52年)/聖書と霊性――『イザヤ書註解』
第3章 パリで教えた最初の年月(1252-56年)
命題集講師/修道士トマスによる他の講解/二冊の小著/就任演説
第4章 聖書の教師(1256-59年)
講解――聖書の註解/討論――『真理論』/説教――神学と司牧
第5章 托鉢修道会の弁護者
不和の歴史/『攻撃する者どもに対して』/『完全性について』と『引き離す者どもに対して』/論戦家
第6章 イタリアへの帰還――『対異教徒大全』
研究の推進/1259-61年の不確実性/『対異教徒大全』の執筆年代/目的/方法と構想/内容
第7章 オルヴィエト滞在(1261-65年)
オルヴィエトの修道院講師/『ヨブ記註解』/引く手あまたの神学者/『神名論』/聖体の聖務日課/『カテナ・アウレア』
第8章 ローマでの年月(1265-68年)――『神学大全』への着手
ローマの教育施設/『神学大全』/内容/構想/受肉の神秘の位置/神学,生,祈り
第9章 ローマ時代の他の著作
『能力論』/『神学提要』/同時代の問題に関する専門家としての意見/『統治について――キプロス王に宛てて』/『霊魂論註解』/メルベケのギョーム
第10章 新たなパリ滞在――教義上の対決
パリ出発の日付と場所/トマスがパリに戻ってきた動機/『世界の永遠性について』/実体的形相の単一性/『知性の単一性について』
第11章 第二回パリ大学教授時代(1268-72年)
1 聖書註解と定期討論集
『ヨハネ福音書講解』/定期討論集――『悪について』とその他/『自由討論集』/『自由討論集』の日付
2 意見書と様々な著作
『諸元素の混合について』,『心臓の運動について』/『自然の隠れた働きについて』/『星占いについて』/『くじについて』/『秘密について』/『フランドル伯爵夫人への手紙』/『離存的実体について』/『原因論註解』
第12章 アリストテレスの註解者
『命題論註解』/『分析論後書註解』/『ニコマコス倫理学註解』/『ニコマコス倫理学梗概』/『自然学註解』と『形而上学註解』/未完成の著作/トマスとアリストテレス/トマスと秘書たち
第13章 ナポリでの最後の教育活動
『パウロ書簡』の講義/『詩編』の講義/「イエスの生涯」
第14章 最期の数か月と死
トマスと交際した人々/ピぺルノのレギナルドゥス/トマスと家族/人物描写の概要/偉大な観想家/最期の病気と死
第15章 過酷な結果――崇拝,訴訟,論争
崇拝の始まり/1277年3月のパリでの出来事/ドミニコ会士とフランシスコ会士/ドミニコ会によるトマスの弁護/弟子と同僚
第16章 エピローグ――アヴィニョンにおける列聖
うまく導かれた過程/列聖とその結果/教会博士
聖トマスの著作に関する短い目録
聖トマスの著作に関する主要な版/翻訳/体系的神学著作/定期討論集/聖書註解/アリストテレス註解/その他の註解/論争的著作/論考/書簡ならびに専門家としての意見/典礼的著作,説教,祈り/真正ではない著作
著者紹介
訳者あとがき
文献表
略年表
索引
内容説明
本書はトマス・アクィナス(1225-74)の生涯と著作についての詳細で的確な紹介に加え独自の見解を展開した,世界で定評の画期的な概説書である。トマス研究者のみならず中世の思想や歴史など他分野の研究者にとっても,中世思想とその背景を知る上で必携の一書となろう。
基本的な一次資料をはじめ広範で最新の関連文献を活用し,トマスの波乱に富んだ生涯に関して幼少年期から晩年までの活動と,死後の列聖裁判の実情をも明らかにする。
ナポリでの学習にはじまり,ドミニコ会入会,パリやケルンでの教育を経てパリにおける教授経験を通して,50年代からイザヤ書註解や『命題集註解』などの執筆活動を展開,超人的とも言える作品群を紡いでいく。その後,1256-59年と68-72年の二度にわたりパリ大学の講壇に立ち,二年後に亡くなるまで,トマスは無数の異なった仕事に従事しつつ,未刊の著作も含めて膨大な作品を残した。
著者はトマス作品の批判的校訂版であるレオニーナ版の編集経験を生かし,修道士,教師として活動したトマスの多岐にわたる著作を詳細に検討し,著作の背景や執筆年代,さらに正確な内容を分かりやすく説明しつつ貴重な情報を提供する。英,独,伊,西,葡などすでに7か国語に翻訳されており,本書は最新の改訂に基づく決定版である。