ホーム > トマス・アクィナスの人間論
内容説明
人間とは理性的存在である。それは人間の理性的能力の究極の可能性を問うことであり,究極の完成にいたる人間の超越性とは何かを問うことに他ならない。
トマスは,人間とは「神という究極へと個別的な仕方で運動している理性的存在である」と捉えることにより,その問いに応える。
人間は,ただ存在し生きているだけではない。神を認識し愛することで,他の諸々の被造物とは違う「神の似姿」とされる。また被造物である人間は,自らのはたらきの「主」であると同時に,かつ「僕(しもべ)」として存在することにより神を「主」たらしめる存在でもある。
著者はこの「似姿」と「主」という二つの概念を,従来注目されてきた『神学大全』の第一部だけではなく,第二部をも徹底的に分析することにより,「個としての人間の超越性」という観点から,トマス人間論の拓かれた意味を明らかにする。人間の意味が多様に分節化し人間存在の基盤が揺らぎ始めた今日の状況のなかで,人間本性の意味を根源から問いかけた一書である。
トマスは,人間とは「神という究極へと個別的な仕方で運動している理性的存在である」と捉えることにより,その問いに応える。
人間は,ただ存在し生きているだけではない。神を認識し愛することで,他の諸々の被造物とは違う「神の似姿」とされる。また被造物である人間は,自らのはたらきの「主」であると同時に,かつ「僕(しもべ)」として存在することにより神を「主」たらしめる存在でもある。
著者はこの「似姿」と「主」という二つの概念を,従来注目されてきた『神学大全』の第一部だけではなく,第二部をも徹底的に分析することにより,「個としての人間の超越性」という観点から,トマス人間論の拓かれた意味を明らかにする。人間の意味が多様に分節化し人間存在の基盤が揺らぎ始めた今日の状況のなかで,人間本性の意味を根源から問いかけた一書である。