目次
イェーナ期批判論稿
Ⅰ フィヒテ哲学体系とシェリング哲学体系の差異――ラインホルト『19世紀初めの哲学の状態を簡便に概観するための寄稿集』第1分冊に関連して
緒言
〔第1章〕当今の哲学的思惟に見られるさまざまな形式
哲学の諸体系の歴史的見方
哲学の欲求
哲学的思惟の道具としての反省
常識に対する思弁の関係
絶対的な根本命題という形式での哲学の原理
超越論的直観
理性の要請
哲学の体系に対する哲学的思惟の関係
〔第2章〕フィヒテの体系の叙述
〔第3章〕哲学のシェリング的原理とフィヒテ的原理の比較
〔第4章 ラインホルトの見解と哲学について〕
Ⅱ エアランゲン『学芸新聞』に初出の批評と短報
1 バウターヴェークの『思弁哲学の初歩』
序文について
緒論
結論
2 ヴェルネブルクの二書
3 ゲルシュテッカーの法概念の演繹
4 クルークの『哲学の新機関の構想』
Ⅲ 『哲学批判雑誌』掲載諸論文
1 序論 哲学批評一般の本質,特にそれと哲学の現状との関係について
2 絶対的同一性の体系について,およびそれが最近の(ラインホルトの)二元論に対してとる関係について。著者と友人との会話〔シェリング著〕
3 常識は哲学をどのように理解しているか――クルーク氏の諸著作に即した描写
4 「彙報」欄――『哲学批判雑誌』第1巻第1号所収
(以上,第1巻第1号掲載)
5 懐疑論と哲学との関係――懐疑論のさまざまな形態の叙述,および最近の懐疑論と古代の懐疑論との比較
(以上,第1巻第2号掲載)
6 信仰と知,もしくは,カント哲学,ヤコービ哲学,フィヒテ哲学として,その諸形態を完全に尽くした主観性の反省哲学
〔緒論〕
〔Ⅰ 信仰と理性の対立〕
〔Ⅱ プロテスタンティズムの原理としての主観性〕
〔Ⅲ 幸福主義〕
〔Ⅳ 反省哲学〕
A カント哲学
〔Ⅰ 批判的観念論〕
〔Ⅱ 統覚と産出的構想力の根源的総合的統一〕
〔Ⅲ 理性の問題的側面〕
〔Ⅳ 美と有機体における理念〕
〔Ⅴ 結論―形式的知と実践的信仰〕
B ヤコービ哲学
〔Ⅰ カント哲学との関連〕
〔Ⅱ 理由律と因果律〕
〔Ⅲ 因果と継起の説明〕
〔Ⅳ ヤコービによるスピノザ時間論批判〕
〔Ⅴ ヤコービの才気に満ちた表現〕
〔Ⅵ ヤコービによるカント批判〕
〔Ⅶ 「信念」と「信仰」〕
〔Ⅷ ヤコービの実践哲学〕
〔Ⅸ 結論―カントおよびシュライエルマッハーとの関係〕
C フィヒテ哲学
〔I 概観,純粋観念論〕
〔Ⅱ フィヒテの理論哲学〕
〔Ⅲ 実践的観念論〕
〔結論〕
(以上,第2巻第1号掲載)
7 自然法の学的な取り扱い方,実践哲学における自然法の位置,および自然法と実定的な法学との相関について
〔序論〕
〔第1章 自然法の経験的な取り扱い方〕
〔第2章 自然法の形式的な取り扱い方〕
〔第3章 絶対的人倫〕
〔第4章 自然法と実定的な法学の相関〕
(前半部は第2巻第2号,後半部は第2巻第3号掲載)
Ⅳ 『哲学批判雑誌』の告示文
1 F. W. J. シェリングとG. W. F. ヘーゲルの編集による『哲学批判雑誌』
2 (『哲学批判雑誌』の)第2巻第1分冊の告示
Ⅴ ドイツ学芸雑誌の原則
Ⅵ 失われた書評の消息
1 ヘルダーの『神』第2版の書評
2 フィヒテに関するフィッシュハーバーの著作の書評
3 ザラトの著作の書評
解説
Ⅰ 『フィヒテの哲学体系とシェリングの哲学体系の差異』
1 成立の時期
2 ヘーゲルとシェリングの交友関係
3 フィヒテとシェリングの思想的対立の深化
4 『差異論文』の反響
Ⅱ エアランゲンの『学芸新聞』に初出の書評と短報
1 エアランゲン『学芸新聞』
2 バウターヴェークの『思弁哲学の初歩』
Ⅲ 『哲学批判雑誌』
1 『哲学批判雑誌』誕生の背景と前史
2 各号の公刊時期と構成
3 著者-問題
4 創刊直後の『哲学批判雑誌』に関する書評
Ⅳ 『哲学批判雑誌』各号掲載論文
1 「哲学的批評の本質について」
2 「絶対的同一性の体系について」の「著者と友人との会話」について
3 「懐疑論と哲学との関係」
4 「信仰と知」
5 「自然法」論文について
Ⅴ 『ドイツ文芸雑誌の原則』
責任編集者あとがき
人名索引
事項索引
訳者紹介
内容説明
批判的校訂によるアカデミー版の成果を踏まえ,日本語版独自の編集により訳出,解説と詳細な注は新たなヘーゲル研究の基盤と最新のヘーゲル像を提供し,従来の関連作品を一新する待望の本格的全集である。
イェーナ期のヘーゲルは,シェリングと『哲学批判雑誌』を編集するなど活動を共にし,フィヒテ,ヤコービ,ラインホルトなどの当時の哲学潮流に批判的対決を挑み,論争のなかでみずからの哲学を確立していく。
超越論哲学の同一立場と見られていたフィヒテとシェリングの体系形式の差異を浮かび上がらせた哲学的デビュー作『差異論文』(1801)。懐疑主義を反駁し思弁哲学の基礎づけを試行錯誤する『学芸新聞』書評。シェリングと共に刊行した『哲学批判雑誌』に掲載された,当時注目されていた懐疑主義にピュロンなどの古代懐疑主義を照らし批判した「懐疑主義論文」(1802)やカント,ヤコービ,フィヒテの哲学を主観性の反省哲学として批判し,さらに後のヘーゲル哲学への展開も示唆する「信仰と知」(1802)など。
本巻は,ヘーゲルが「哲学者」として最初の一歩を踏み出した1801-03年に著わした著作,雑誌掲載論文,書評およびその関連資料を収録。関連書籍
関連記事
- 「ヘーゲル全集」(全19巻 24冊)全巻の構成 - 2019.05.24