目次
宗教哲学講義(1821年)自筆原稿
序論
第1章 講義対象(宗教)について
第2章 神の可知性についての時代的反省
第3章 神の知的理解はキリスト教の本質である
第4章 宗教哲学と宗教との区別
第5章 宗教とそれ以外(爾余)の意識との関係
第6章 思考の限界について
第7章 宗教と認識との対立
第8章 宗教哲学の欲求
第9章 和解の唯一の可能性はキリスト教にある
第10章 表象と思考の和解
第11章 「われわれの時代」における信知の関係
第12章 むすび
第Ⅰ部 宗教の概念
第1章 A 宗教一般の概念
第1節 宗教を構成する2つの契機
第2節 宗教の歴史における宗教の概念の現れ
第2章 B 宗教的立場の学的概念
第1節 外的必然性と内的必然性との区別
第2節 宗教の概念の思弁的な定義
第3節 絶対的普遍性と絶対的個別性の統一としての宗教的関係
第3章 C この立場の必然性
第4章 D 芸術と哲学に対する宗教の関係性
第1節 直観
第2節 表象
第3節 思考
第Ⅱ部 規定された宗教(有限な宗教)
第1章 A 直接的な宗教
第1節 α)[神の形而上学的概念]
第2節 β)具体的な表象
第3節 γ)自己意識の側面。主体性,祭祀
第2章 β)崇高の宗教と美の宗教 (※ βは原書通り)
第1節 α)形而上学的概念
第2節 β)具体的な表象。理念の形式
第1項 〔α 崇高の宗教における具体的な表象〕
第2項 〔β 必然性の宗教における具体的な表象〕
第3項 γ 祭祀
第3章 C 合目的性の宗教――さしあたっての,あるいはまた,利己主義や利己心の〔宗教〕
第4章 D 合目的性の宗教――あるいは悟性の〔宗教〕
第1節 α)抽象的な概念
(1)合目的性の観点からみた,神・世界・人間
(2)カントによる合目的性の理解の検討
第2節 β)神的本質の形態化と表象 具体的な表象――理念の形式
第1項 さまざまな目的からなる多性の宗教としての特徴づけ
第2項 精神の形態化と祭祀
第3項 幸運と失敗・不幸,ならびに秘密に満ちた本質について
第4項 諸威力との関係における政治・国家について
第5項 人間的な諸目的,ならびに迷信について
第6項 祭祀における演劇について
第7項 皇帝に対する崇拝について
〔第8項 キリスト教への移行――有限性が解き放たれ,純化されること〕
第Ⅲ部 完成された宗教あるいは啓示宗教
第1節 この宗教の定義
第2節 キリスト教の特徴
第1章 A 抽象的概念〔存在論的証明〕
第2章 B 具体的表象
第1節 a)理念そのもの・三位一体の神
第2節 b)分裂における理念――自然世界の創造と保持
第3節 c)有限精神における理念の現象:離反,贖罪,和解
第1項 α 神からの離反:自然的な人間
第2項 β 贖いと和解――キリスト
第3章 C 教団,祭祀(礼拝)
第1節 α)教団の成立
第2節 β)教団の存在――祭祀
第3節 γ)教団の消滅
補遺
宗教哲学に関する紙片
心情,高揚
聖霊
悟性の宗教
ローマの宗教
秘儀
散文的宗教
もっとも有限な宗教
神の子
γ)受苦すること,死ぬこと,復活すること
散文
教義
教団
塵芥に終わる
3つの領域に対する回顧
解説
第1部 「宗教哲学講義(1821年)自筆原稿」梗概
序論
「序論」梗概
第Ⅰ部 宗教の概念
「第Ⅰ部 宗教の概念」梗概
第Ⅱ部 規定された宗教(有限な宗教)
「第Ⅱ部 規定された宗教(有限な宗教)」梗概
第Ⅲ部 完成された宗教あるいは啓示宗教
「第Ⅲ部 完成された宗教あるいは啓示宗教」梗概
第2部 「宗教哲学」資料の再構成
『宗教哲学講義』とヘーゲルの実像との隔たり
イエシュケによる「宗教哲学」資料の時代別の編纂
ヘーゲル思想像の変化
1821年自筆原稿の特異性
1821年原稿固有の思想的モチーフをさぐるための足がかり
第3部 テキストの成立経緯
講義「宗教哲学」
1 ベルリン期に至るまでの宗教論の展開と講義への決意
2 原稿執筆時期確定と原稿に見られる混乱
3 後年の諸講義に対する原稿の意義
補遺 宗教哲学に関する紙片
第4部 テキストの伝承資料
講義「宗教哲学」
1 形態と番号づけ
2 書込と欄外メモ
3 テキストの推敲
補遺 宗教哲学に関する紙片
第5部 散逸資料報告
責任編集者あとがき
人名索引
著作名索引
地名索引
事項索引
訳者紹介
内容説明
批判的校訂によるアカデミー版の成果を踏まえ,日本語版独自の編集により訳出,解説と詳細な注は新たなヘーゲル研究の基盤と最新のヘーゲル像を提供し,従来の関連作品を一新する待望の本格的全集である。
『宗教哲学(講義)』として読まれてきたテクストは,ヘーゲルの死後,全四回に渡る「宗教哲学」講義を弟子たちの手によって恣意的に編集,一冊の書物となったものであり,講義の実像を伝えるものではなかった。
本巻には,神の知的理解を目指し,四年度に渡ってベルリン大学で行われた「宗教哲学」講義(1821,24,27,31年)のうち,唯一現存する1821年の自筆原稿を収録する。
自筆原稿は単語の羅列など断片的で,読解の難しい箇所が多く,それらには言葉を補い,文脈を取れるように配慮し,自筆原稿へのヘーゲルの欄外書き込みも注で示す。さらに1821年原稿の「梗概」,他年度講義との変更に関する「解説」なども充実している。
これまでの「体系家ヘーゲル」という像から変貌し続ける「未完の哲学者」という新たなヘーゲル像を知るうえで格好の一書である。本邦初訳。関連書籍
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