ホーム > 対話と共生思想
目次
まえがき
第一部 対話の現代的な意義
Ⅰ 対話と協調の時代
はじめに
一 対話的人間のイメージ
二 人間の対話的本性
三 演劇と対話、対話のなかの自由と責任
四 対話によって開かれる世界
五 対話によって形成される共同形式
六 対話で生じる生の高揚
七 日本文化の問題点
Ⅱ 対話の能力――人間の対話的本性
一 人間と動物との種差
二 人間の自然的素質
Ⅲ 対話の基本運動
一 人と人が向かい合う「対向」
二 距離と関係
三 主題への集中と自己変革
四 発見・受容・自己変革
Ⅳ 対話と生活の向上
一 生活の向上
二 ドストエフスキーの作品解釈
三 人間関係の相互性
四 対話的な生活と間主観性
五 対話による生活の高揚
Ⅴ 自然との対話
一 ゲーテの自然との対話
二 ワーズワスの「賢い受身の立場」
三 キーツの「消極能力」
四 リルケ『ドゥイノの悲歌』の「物たち」
Ⅵ 対話の協働と人格形成
はじめに
一 シェーラーの間主観性
二 対話的な人間の姿
三 対話による協働作用
四 協働性の原理
五 相互承認と相互受容
六 他者との協働によって自己となる
終りに
Ⅶ 対話と共生思想
一 人格の成立の条件
二 個性的に生きる
三 「ともに生きる共生」
四 ロビンソン・クルーソーの三解釈
五 「間」の範疇および「相互性」・「間柄性」・「共同性」
Ⅷ 友愛現象と協働律
一 友愛とは何か
二 プラトン
三 アリストテレス
四 エピクロス派とストア派
五 キケロ
六 プルタルコス
七 イエスの愛と相互性
八 アウグスティヌスの協働説
九 近代における自律の確立
一〇 個人主義から個我主義へ
一一 ボナールの友情論
Ⅸ 対話哲学の歩み――ブーバーからシュトラッサーまで
はじめに
一 ブーバーの『我と汝』
二 マルセルの『人間の尊厳』
三 エープナーの『言葉とその霊的現実―霊性論的断章』
四 ローゼンツヴァイクの『救済の星』
五 シュトラッサー
第二部 対話の実際
1 アンティゴネーの悲劇――クレオンとハイモンの対話
2 ソクラテスとカリクレス
3 ナルキッソスとエコー
4 ダビデ王と預言者ナタン
5 イエスとサマリアの女の物語――ヨハネ福音書四・二三―二四
6 イエスとその論敵との対話
7 カフカとの対話
8 自己との対話――アウグスティヌスの場合
9 父と子との対話――志賀直哉の『和解』
10 運命との対話――自由とする真理を求めて
11 永遠者との対話
あとがき
索引
第一部 対話の現代的な意義
Ⅰ 対話と協調の時代
はじめに
一 対話的人間のイメージ
二 人間の対話的本性
三 演劇と対話、対話のなかの自由と責任
四 対話によって開かれる世界
五 対話によって形成される共同形式
六 対話で生じる生の高揚
七 日本文化の問題点
Ⅱ 対話の能力――人間の対話的本性
一 人間と動物との種差
二 人間の自然的素質
Ⅲ 対話の基本運動
一 人と人が向かい合う「対向」
二 距離と関係
三 主題への集中と自己変革
四 発見・受容・自己変革
Ⅳ 対話と生活の向上
一 生活の向上
二 ドストエフスキーの作品解釈
三 人間関係の相互性
四 対話的な生活と間主観性
五 対話による生活の高揚
Ⅴ 自然との対話
一 ゲーテの自然との対話
二 ワーズワスの「賢い受身の立場」
三 キーツの「消極能力」
四 リルケ『ドゥイノの悲歌』の「物たち」
Ⅵ 対話の協働と人格形成
はじめに
一 シェーラーの間主観性
二 対話的な人間の姿
三 対話による協働作用
四 協働性の原理
五 相互承認と相互受容
六 他者との協働によって自己となる
終りに
Ⅶ 対話と共生思想
一 人格の成立の条件
二 個性的に生きる
三 「ともに生きる共生」
四 ロビンソン・クルーソーの三解釈
五 「間」の範疇および「相互性」・「間柄性」・「共同性」
Ⅷ 友愛現象と協働律
一 友愛とは何か
二 プラトン
三 アリストテレス
四 エピクロス派とストア派
五 キケロ
六 プルタルコス
七 イエスの愛と相互性
八 アウグスティヌスの協働説
九 近代における自律の確立
一〇 個人主義から個我主義へ
一一 ボナールの友情論
Ⅸ 対話哲学の歩み――ブーバーからシュトラッサーまで
はじめに
一 ブーバーの『我と汝』
二 マルセルの『人間の尊厳』
三 エープナーの『言葉とその霊的現実―霊性論的断章』
四 ローゼンツヴァイクの『救済の星』
五 シュトラッサー
第二部 対話の実際
1 アンティゴネーの悲劇――クレオンとハイモンの対話
2 ソクラテスとカリクレス
3 ナルキッソスとエコー
4 ダビデ王と預言者ナタン
5 イエスとサマリアの女の物語――ヨハネ福音書四・二三―二四
6 イエスとその論敵との対話
7 カフカとの対話
8 自己との対話――アウグスティヌスの場合
9 父と子との対話――志賀直哉の『和解』
10 運命との対話――自由とする真理を求めて
11 永遠者との対話
あとがき
索引
内容説明
対話を通して相手を深く知るとともに自らを発見し,そこで生み出される人と人との関係から新たな社会が形成される。対話とは個人の営みを超えて他者と結びつき,それが社会的な広がりとなっていく基本運動である。
人は誕生以来,親子の身体関係から始まり,ことばの習得やしつけ,礼儀など社会が造りだす多くの習慣と知恵を身につけながら成長する。しかし自我が発達し他者と社会から距離をとり対象化されると,そこで対話が問題となる。
第一部では,対話者の応答を鏡として自分の姿や課題に気づき,人格を磨いていく。自然との対話では大いなる世界の意志を感じ,友愛により協働の喜びを知る。対話と協調を通して生活の向上を探求し,他者と社会との関係を通して人格を形成し,生きる意味と充実が明らかになる。
第二部では,古代から現代にいたる文学作品や聖書などを通して,対話のもつ知恵と生動的な姿が紹介される。
対話はおしゃべりではない。話すべき内容を共有しそこに焦点を当てて誠実な応答をするのが基本である。それにより考える力が養われ,創造的な人間になれるのである。よくあるように,話を逸らしたり,関係のない話題に変えてはぐらかしたりするのは,真実の対話ではない。
伝統的な理想モデルの応用では,これからの情報化やグローバル化による人類の課題には応えられない。未来へ羽ばたこうとする若者とりわけ高校生には,世界人として思考力を鍛える対話の修練は,この上ない機会となろう。
人は誕生以来,親子の身体関係から始まり,ことばの習得やしつけ,礼儀など社会が造りだす多くの習慣と知恵を身につけながら成長する。しかし自我が発達し他者と社会から距離をとり対象化されると,そこで対話が問題となる。
第一部では,対話者の応答を鏡として自分の姿や課題に気づき,人格を磨いていく。自然との対話では大いなる世界の意志を感じ,友愛により協働の喜びを知る。対話と協調を通して生活の向上を探求し,他者と社会との関係を通して人格を形成し,生きる意味と充実が明らかになる。
第二部では,古代から現代にいたる文学作品や聖書などを通して,対話のもつ知恵と生動的な姿が紹介される。
対話はおしゃべりではない。話すべき内容を共有しそこに焦点を当てて誠実な応答をするのが基本である。それにより考える力が養われ,創造的な人間になれるのである。よくあるように,話を逸らしたり,関係のない話題に変えてはぐらかしたりするのは,真実の対話ではない。
伝統的な理想モデルの応用では,これからの情報化やグローバル化による人類の課題には応えられない。未来へ羽ばたこうとする若者とりわけ高校生には,世界人として思考力を鍛える対話の修練は,この上ない機会となろう。