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倫理学講義 第一巻  新刊

倫理学講義 第一巻
著者 山田 晶
小浜 善信
ジャンル 哲学・思想 > 倫理
シリーズ 倫理学講義(全5巻)
出版年月日 2025/02/15
ISBN 9784862854285
判型・ページ数 4-6・496ページ
定価 本体3,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例
まえがき

  序論――自分を知るとはいかなることか
  第一章 私とは何者であるか
  第二章 私に分からなくなる私
  第三章 私の探求の課題である私

第Ⅰ部 A子の話

 A子の話――ナルシスとナルシズムについて
  第四章 ナルシスの話
  第五章 A子の話
  第六章 ナルシスとナルシズム
  第七章 ナルシズムの成立条件
  第八章 ナルシズムにおける「鏡」の意味
  第九章 ナルシズムにおける「映像」の意味
  第一〇章 ナルシズムにおける「恋」の意味1――恋の対象
  第一一章 ナルシズムにおける「恋」の意味2――恋の対象に対する恋する者の在り方
  第一二章 ナルシズムにおける「恋」の意味3――ナルシスの恋の虚偽性
  第一三章 ナルシズムにおける「恋」の意味4――A子の場合
  第一四章 ナルシズムにおける「死」の意味1――ナルシスの死
  第一五章 ナルシズムにおける「死」の意味2――A子の死
  第一六章 ナルシズムにおける「死」の意味3――硬化の死

第Ⅱ部 捨八の話

 捨八の話
  第一章 捨八の生い立ち
  第二章 捨八の絶望
  第三章 捨八の小学生時代
  第四章 捨八と百合子1
  第五章 捨八と百合子2
  第六章 捨八の徒弟時代
  第七章 捨八の失恋
  第八章 捨八のヤクザ時代1
  第九章 捨八のヤクザ時代2
  第一〇章 捨八と組長1
  第一一章 捨八と組長2
  第一二章 捨八とあねさん
  第一三章 捨八と留吉1
  第一四章 捨八と留吉2
  第一五章 捨八と留吉3
  第一六章 捨八と留吉4
  第一七章 捨八と留吉5
  第一八章 捨八と留吉6
  第一九章 捨八村に帰る
  第二〇章 捨八山に入る
  第二一章 捨八とサルたち
  第二二章 捨八の山小屋生活
  第二三章 捨八と権太郎
  第二四章 捨八と母
  第二五章 自分を知るとはいかなることか

第Ⅲ部 愛の諸形態

 一 愛と対象
  第一章 愛の意味の自明性
  第二章 愛することと生きること1――その区別
  第三章 愛することと生きること2――その相即
  第四章 愛の対象としての自己と世界
  第五章 「物」に対する愛と「人」に対する愛
  第六章 「物として」愛する愛と「人として」愛する愛
  第七章 「人として」愛する愛のうちに含まれる自愛と他愛1
  第八章 「人として」愛する愛のうちに含まれる自愛と他愛2――自愛のうちに含まれる他愛
  第九章 「人として」愛する愛のうちに含まれる自愛と他愛3――他愛のうちに含まれる自愛
  第一〇章 愛することに伴う苦しみの原因1――死別による悲しみ
  第一一章 愛することに伴う苦しみの原因2――愛する者が自分から離れてゆく場合
  第一二章 愛することに伴う苦しみの原因3――苦しみの具体例
  第一三章 愛することに伴う苦しみの原因4――愛されることを求める自愛
  第一四章 物の所有と心の所有1――心における欠乏感
  第一五章 物の所有と心の所有2――欠乏感の克服の試み
  第一六章 人間嫌いの愛1――人間への愛から人間嫌いへ
  第一七章 人間嫌いの愛2――人間嫌いの愛の対象

 二 愛と了解
  第一八章 自愛と他愛――自愛,他愛,その根底にある愛そのもの
  第一九章 愛と了解1――ある母娘の話
  第二〇章 愛と了解2――母の娘に対する愛の考察
  第二一章 愛と了解3――娘の母に対する愛の考察
  第二二章 愛と了解4――愛と憎しみ
  第二三章 愛と了解5――母娘の間に生じた憎しみの関係
  第二四章 愛と了解6――娘の後悔
  第二五章 愛と了解7――娘の絶望
  第二六章 愛と了解8――娘,母を見る
  第二七章 愛と了解9――母についての了解の深化
  第二八章 愛と了解10――他者了解と自己了解との関係
  第二九章 愛と了解11――自己了解の崩壊
  第三〇章 愛と了解12――自己了解の崩壊とともに開かれてきた新しい了解の地平
  第三一章 愛と了解13――孤独の意識と真実の孤独
  第三二章 愛と了解14――自愛の極限としての自殺
  第三三章 愛と了解15――現れた母において見たもの
  第三四章 愛と了解16――世界了解の深化
  第三五章 愛と了解17――フィナーレ

 三 愛と共感
  第三六章 愛と共感1――愛のもとにある了解
  第三七章 愛と共感2――自己了解のもとにある経験
  第三八章 愛と共感3――他者了解のもとにある共感

第Ⅳ部 疎外の問題

 疎外の問題
  第一章 疎外の問題
  第二章 疎外の構造1――疎外される者の側から見られた
  第三章 疎外の構造2――疎外する者の側から見られた
  第四章 疎外の構造3――仲間に入れないという疎外
  第五章 仲間の構造1――仲間とは何か
  第六章 仲間の構造2――仲間と個人との先後関係
  第七章 仲間の構造3――仲間形成における運命と自由
  第八章 仲間と個人1――仲間の生成発展における個人の役割
  第九章 仲間と個人2――仲間の目的と義務の成文化
  第一〇章 仲間の分節1――分節の必然性
  第一一章 仲間の分節2――権力者と被支配者への分節
  第一二章 仲間と権力1――権力と権力の座
  第一三章 仲間と権力2――権力の座の形成
  第一四章 仲間の分裂――分節から亀裂へ

あとがき
解説
総目次
索引

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内容説明

著者は1985(昭和60)年に京都大学を定年退職した後,南山大学で教鞭を執るが,そこでテーマは自分で選び自由に語る教養科目の講義を要請された。京大では専門科目しか教えなかったので迷ったが,若い人たちに興味を与え,分かり易く語ることを熟慮して話されたのがこのシリーズである。哲学・倫理学の深い学識と膨大な知識に裏付けられた講義は,多くの学生を魅了した。学生ばかりか研究者も,学問と人生を知るために,今日でも読まれるべき名講義。
本巻では,まず「私とは何か」を問う。これは哲学の根本で,人間にとって最も大切なことである。「A子の話」と「捨八の話」ではナルシシズムと劣等感に苛まれた二人について物語風に語りながら,「真の自己」を知らないためにあやまちと不幸に見舞われる姿を鮮やかに描き出す。
次に愛をテーマに「自愛と他愛」を語る。人が最も愛しているのは自分自身で,愛の根元は「自愛」である。物や人に対する愛も所有する愛なので,いずれも自愛に還元される。そこで自分を愛することと自分を了解することが問題となる。高校生の娘が母親を殺した事件をもとに,母娘の心に生じる葛藤の推移と結末とを心理小説風に描き,「愛と了解」そして「愛と他者理解」の真相を考察する。
最後に「疎外の問題」を論じる。疎外とは,マルクスがヘーゲルの『精神現象学』から転用し,経済学の概念として労働者が「疎外」されていく実態を分析した言葉だが,疎外の現実は「仲間外れにする,される」ことである。そこで「仲間の構造」について,家族や友人・知人から様々な社会集団,国家に至る多様性を通して明らかにされる。

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