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中世哲学講義 第二巻

昭和45年-49年度

中世哲学講義 第二巻
著者 山田 晶
水田 英実
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
シリーズ 中世哲学講義
出版年月日 2022/05/25
ISBN 9784862853639
判型・ページ数 A5・438ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例
聖書略号
山田晶『中世哲学講義』について

昭和四五年度(一九七〇年)前期講義
 第一章 中世哲学の構造(一)――中世哲学はキリスト教哲学か
 第二章 中世哲学の構造(二)――ユダヤ教,キリスト教,イスラム教と哲学との関係
 第三章 ヘレニズム世界における理性と啓示(一)
 第四章 ヘレニズム世界における理性と啓示(二)――啓示とは何か
 第五章 ヘレニズム世界における理性と啓示(三)――主要なる哲学的伝統
 第六章 プラトン学派における理性と啓示(一)――アカデミア派の意義
 第七章 プラトン学派における理性と啓示(二)――プラトンにおけるミュトスの意味

昭和四五年度(一九七〇年)後期講義
 第八章 プラトン学派における理性と啓示(三)――プラトンにおけるミュトスの意味(続き)
 第九章 プラトン学派における理性と啓示(四)――プラトンにおける神託の意味
 第一〇章 プラトン学派における理性と啓示(五)――神託の解釈
 第一一章 プラトン学派における理性と啓示(六)――シュネイデーシスとエウセベイア
 第一二章 プラトン学派における理性と啓示(七)――ミュトスとロゴス(一)
 第一三章 プラトン学派における理性と啓示(八)――ミュトスとロゴス(二)
 第一四章 プラトン学派における理性と啓示(九)――ミュトスとロゴス(三)
 第一五章 プラトン学派における理性と啓示(一〇)――ミュトスとロゴス(四)

昭和四六年度(一九七一年)前期講義
 第一章 《中世》とはいかなる時代か(一)――通俗的《中世》観に対する疑問
 第二章 《中世》とはいかなる時代か(二)――《歴史観》の歴史性
 第三章 《中世》とはいかなる時代か(三)――人文主義者,改革者の《中世》観
 第四章 《中世》とはいかなる時代か(四)――ケラリウスの一般史における《中世》
 第五章 《中世》とはいかなる時代か(五)――ルネサンスと宗教改革との関係

昭和四六年度(一九七一年)後期講義
 第六章 《中世》とはいかなる時代か(六)――宗教改革と啓蒙思想との関係,ルターとルター主義
 第七章 《中世》観の変遷(七)――宗教改革と啓蒙思想との関係,カルヴィニズム,カトリックの改革
 第八章 《中世》観の変遷(八)――啓蒙思想の合理主義
 第九章 《中世》観の変遷(九)――コンドルセの歴史観における中世
 第一〇章 《中世》観の変遷(一〇)――ロマンティクの思想
 第一一章 《中世》観の変遷(一一)

昭和四七年度(一九七二年)前期講義
 第一章 中世哲学の性格(一)――中世哲学とキリスト教
 第二章 中世哲学の性格(二)――イスラム,ユダヤの哲学との関係
 第三章 エピクテトスとキリスト教(一)――エピクテトスと新約聖書
 第四章 エピクテトスとキリスト教(二)――エピクテトスの思想の成立した状況
 第五章 エピクテトスとキリスト教(三)――新約聖書の成立した思想的状況
 第六章 エピクテトスとキリスト教(四)――神の存在,全知,摂理

昭和四七年度(一九七二年)後期講義
 第七章 エピクテトスとキリスト教(五)――神の本質
 第八章 エピクテトスとキリスト教(六)――人間の本性について
 第九章 エピクテトスとキリスト教(七)――人間の神に対する関係について
 第一〇章 エピクテトスとキリスト教(八)――新約聖書における類似の思想と表現
 第一一章 エピクテトスとキリスト教(九)――人間の人間に対する関係について
 第一二章 エピクテトスとキリスト教(一〇)――エピクテトスの倫理とキリスト教倫理との共通点
 第一三章 エピクテトスとキリスト教(一一)――神の本質についての両者の見解の相違,ヌースとロゴス
 第一四章 エピクテトスとキリスト教(一二)――神のロゴスと神的ロゴス

昭和四八年度(一九七三年)前期講義
 第一章 イデア論の問題――プラトンのイデア論とイデアリスムス,中世イデア論の意味について
 第二章 プラトンのイデア論(一)――イデア論形成の三つの動機
 第三章 プラトンのイデア論(二)――可知的世界と可感的世界との関係,デミウルゴス
 第四章 アリストテレスのイデア論批判――イデア,分有,デミウルゴスの否定,形相と質料
 第五章 プラトン学派によるイデア論の擁護――イデアを神の思惟内容とする解釈,プロティノスとフィロン

昭和四八年度(一九七三年)後期講義
 第六章 フィロンのイデア論――ロゴス,イデア,デュナミス
 第七章 アウグスティヌスのイデア論――ヨハネのロゴス,神の精神,みことば,イデアの関係
 第八章 トマス・アクィナスのイデア論(一)――イデアの定義,イデアとみことば
 第九章 トマス・アクィナスのイデア論(二)――創造とイデア,プラトンおよびネオ・プラトニズムのイデア論との相違
 第一〇章 トマス以後のイデア論――近世イデアリスムスの生成,神の観念から人間の観念へ

昭和四九年度(一九七四年)前期講義
 第一章 ユスティノスの哲学(一)――護教家,殉教者,哲学者
 第二章 ユスティノスの哲学(二)――アポロギアの歴史的背景
 第三章 ユスティノスの哲学(三)――アポロギアの歴史的背景,ユダヤ教におけるキリスト教的なるもの
 第四章 ユスティノスの哲学(四)――アポロギアの歴史的背景,ヘレニズム・ユダヤ教
 第五章 ユスティノスの哲学(五)――ヘレニズム・ユダヤ教,『智書』におけるソフィアの思想
 第六章 ユスティノスの哲学(六)――ヘレニズム・ユダヤ教,フィロンの聖書解釈のアポロギア的意味
 第七章 ユスティノスの哲学(七)――ヘレニズム・ユダヤ教,フィロンのロゴス概念

昭和四九年度(一九七四年)後期講義
 第八章 ユスティノスの哲学(八)――フィロンのロゴスとギリシア哲学
 第九章 ユスティノスの哲学(九)――ユスティノスの生涯と著作
 第一〇章 ユスティノスの哲学(一〇)――ユスティノスの著作
 第一一章 ユスティノスの哲学(一一)――『トリュフォンとの対話』,対話の端緒
 第一二章 ユスティノスの哲学(一二)――『トリュフォンとの対話』,神の探究としての哲学
 第一三章 ユスティノスの哲学(一三)――『トリュフォンとの対話』,「あるべき哲学」と「現実の哲学」
 第一四章 ユスティノスの哲学(一四)――『トリュフォンとの対話』,プロノイアの問題

後記
中世哲学講義総目次
山田晶参照文献一覧
索引(人名・聖書)

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内容説明

京都大学の学部生に向けた昭和41年から58年まで18年に及ぶ「中世哲学」講義を全5巻に収録,他に類のない貴重な記録である。中世哲学の意味や意義,そして中世哲学の歴史的背景など,ヨーロッパ中世への招待となっている。
本巻では昭和45-49年度までの5年間の講義を収載する。
はじめにイスラエルの宗教伝統とギリシア哲学との交渉により形成された中世哲学にとって,啓示と理性との関係は根本的な問題であった。ヘレニズム世界とプラトン学派に見られる理性と啓示の様相を丹念に考察する。
次に中世という時代と中世哲学とは何かが問われる。中世を暗黒時代とする見方は中世に関する乏しい知識と地域を限定したことに由来し,その中世観と合わせて検討する。中世哲学は2世紀から15世紀の1400年間にわたり営まれた。教父哲学は2-8世紀に主として聖書解釈や神学で扱われ,9-15世紀のスコラ学において哲学と神学が区別されて,論理的な洗練と体系化が行われたことが解明される。
またギリシアの伝統を継ぐ理性とキリスト教の霊性とが強い緊張の中で新たな哲学として展開する姿を,ストア派のエピクテトスとキリスト教との関わりを通して考察する。
さらにプラトン,アリストテレスからフィロン,アウグスティヌス,トマス以降までを射程として中世哲学に影響を与えたイデア論を考察。最後に護教家,殉教者であったユスティノスの哲学者としての意味が詳細に吟味される。

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