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目次
はじめに
序論 哲学的人間学の意義
現代における人間学の成立
人間学の誕生の背景
人間学としての哲学の意義と問い
人格の観点,とりわけ対話による再考の意義
現象学的人間学の視点について
人間学の新しい可能性について
おわりに
第Ⅰ部 哲学的人間学の歴史と根本問題
Ⅰ 哲学的人間学の現代的な展開
1 歴史的な回顧――ソクラテス,アウグスティヌス,カント
2 シェーラーの『宇宙における人間の地位』
3 カッシーラーの文化的人間学
4 プレスナーの脱中心性の人間学
5 ゲーレンの生物学的人間学
6 メルロ=ポンティの現象学的人間学
Ⅱ 現代の生物学と医学における人間学の発展
はじめに
1 ポルトマンの人間生物学
2 ボイテンディークの発見
3 医学的人間学の登場
4 医学的人間学による深層心理の解明
Ⅲ 人間学の新しい可能性
はじめに
1 シェーラーの間主観性の人間学
2 対話的な人間学
3 対話による協働――共同形式と生の高揚
おわりに
Ⅳ 他者認識と間主観性――マックス・シェーラー学説の批判的検討
はじめに
1 他者認識のアポリア
2 超越論的主観性から間主観性へ
3 非対象的な人格に対する理解
4 社会的にアプリオリなもの,「汝の直観的明証性」
5 他我の知覚理論と体験流
6 内的知覚における「表現」の役割
おわりに
Ⅴ 間主観性の人間学――人間の内なる社会の考察
はじめに
1 日常生活の間主観的性格
2 人間の内なる社会の問題
3 人間の内なる社会とは何か
4 間主観的な関係行為と人間の内なる社会
Ⅵ 哲学的人間学の根本問題
1 宇宙における人間の地位
2 人間と自然
3 事物認識と人間認識
4 心身の問題
5 認識能力の人間学的考察
6 人間と人格
第Ⅱ部 文化・社会・宗教との関連
Ⅶ 人間と文化
はじめに
1 「話す」行為と言語文化
2 「作る」行為と芸術文化
3 「祈る」行為と宗教文化
Ⅷ 人間と社会
1 人間存在の社会性
2 「間」の範疇および「相互性」・「間柄性」・「共同性」
3 個人と社会との関係
4 社会化のプロセス
5 社会的創造作用としての愛の作用
6 原関係と関係行為の弁証法
7 人格の三類型と共同体
8 日本人の社会性の特質
Ⅸ 人間と宗教――霊性の機能論的考察
1 自然的な素質としての霊性
2 所与としての霊性
3 自然的霊性と啓示を受容する宗教的な霊性
4 霊性の諸機能
5 創造と愛のわざ
6 霊性の論理
Ⅹ 現代人間学における心身相関説――シェーラーと現代の医学的人間学からの考察
はじめに
1 心身論の歴史における人間学的二区分法と三区分法
2 ルサンティマンの精神病理学的研究
3 シェーラー人間学に対する批判
4 現代の医学的人間学の試み
5 心身の統合機能としての「霊性」の役割
終章 哲学的人間学の現代的意義
1 人格と他者
2 心の機能の深淵と射程
3 聴覚の機能と霊性
4 人間学の間主観的構成
5 霊性の機能的研究の意義
6 哲学的人間学を間主観的に解明する意義
あとがき
参考文献
索引
序論 哲学的人間学の意義
現代における人間学の成立
人間学の誕生の背景
人間学としての哲学の意義と問い
人格の観点,とりわけ対話による再考の意義
現象学的人間学の視点について
人間学の新しい可能性について
おわりに
第Ⅰ部 哲学的人間学の歴史と根本問題
Ⅰ 哲学的人間学の現代的な展開
1 歴史的な回顧――ソクラテス,アウグスティヌス,カント
2 シェーラーの『宇宙における人間の地位』
3 カッシーラーの文化的人間学
4 プレスナーの脱中心性の人間学
5 ゲーレンの生物学的人間学
6 メルロ=ポンティの現象学的人間学
Ⅱ 現代の生物学と医学における人間学の発展
はじめに
1 ポルトマンの人間生物学
2 ボイテンディークの発見
3 医学的人間学の登場
4 医学的人間学による深層心理の解明
Ⅲ 人間学の新しい可能性
はじめに
1 シェーラーの間主観性の人間学
2 対話的な人間学
3 対話による協働――共同形式と生の高揚
おわりに
Ⅳ 他者認識と間主観性――マックス・シェーラー学説の批判的検討
はじめに
1 他者認識のアポリア
2 超越論的主観性から間主観性へ
3 非対象的な人格に対する理解
4 社会的にアプリオリなもの,「汝の直観的明証性」
5 他我の知覚理論と体験流
6 内的知覚における「表現」の役割
おわりに
Ⅴ 間主観性の人間学――人間の内なる社会の考察
はじめに
1 日常生活の間主観的性格
2 人間の内なる社会の問題
3 人間の内なる社会とは何か
4 間主観的な関係行為と人間の内なる社会
Ⅵ 哲学的人間学の根本問題
1 宇宙における人間の地位
2 人間と自然
3 事物認識と人間認識
4 心身の問題
5 認識能力の人間学的考察
6 人間と人格
第Ⅱ部 文化・社会・宗教との関連
Ⅶ 人間と文化
はじめに
1 「話す」行為と言語文化
2 「作る」行為と芸術文化
3 「祈る」行為と宗教文化
Ⅷ 人間と社会
1 人間存在の社会性
2 「間」の範疇および「相互性」・「間柄性」・「共同性」
3 個人と社会との関係
4 社会化のプロセス
5 社会的創造作用としての愛の作用
6 原関係と関係行為の弁証法
7 人格の三類型と共同体
8 日本人の社会性の特質
Ⅸ 人間と宗教――霊性の機能論的考察
1 自然的な素質としての霊性
2 所与としての霊性
3 自然的霊性と啓示を受容する宗教的な霊性
4 霊性の諸機能
5 創造と愛のわざ
6 霊性の論理
Ⅹ 現代人間学における心身相関説――シェーラーと現代の医学的人間学からの考察
はじめに
1 心身論の歴史における人間学的二区分法と三区分法
2 ルサンティマンの精神病理学的研究
3 シェーラー人間学に対する批判
4 現代の医学的人間学の試み
5 心身の統合機能としての「霊性」の役割
終章 哲学的人間学の現代的意義
1 人格と他者
2 心の機能の深淵と射程
3 聴覚の機能と霊性
4 人間学の間主観的構成
5 霊性の機能的研究の意義
6 哲学的人間学を間主観的に解明する意義
あとがき
参考文献
索引
内容説明
人間学については古代から現代まで多くの学説がある。プラトンの観念論的人間学をはじめ,ヘブライズム信仰による人間学,哲学と信仰を統合するアウグスティヌスや中世の人間学,啓蒙時代の理性的で自然主義的な人間学,ヘーゲル哲学を解体したフォイエルバッハやキルケゴールの人間学など。そのなかで哲学的人間学の成立にはカントとマックス・シェーラーの貢献が多大であった。
哲学的人間学は,シェーラー『宇宙における人間の地位』(1928年)をきっかけに,同年にヘルムート・プレスナーが『有機体の諸段階と人間――哲学的人間学入門』を刊行し,人間の存在を全体的に考察する学問として確立した。
シェーラーは,新たな展開をした生物学や個別諸科学と現象学的方法により,人間学の基盤を確立した。彼は価値倫理学と形而上学を経て人間学に至ったが,同時に禁欲原理としての「精神」の中に「人間の特殊地位」を見出した。さらにプレスナーは有機的自然界に対する「人間の特殊地位」を人間の「脱中心性」により捉えた。
人間学とは「自己自身についての知識」である。自己認識こそ芸術,宗教,哲学における知的探求の目的である。本書は一世紀にわたる多様な研究成果を,対話と関主観性の観点から総合的に考察した,最新の本格的概説書である。
哲学的人間学は,シェーラー『宇宙における人間の地位』(1928年)をきっかけに,同年にヘルムート・プレスナーが『有機体の諸段階と人間――哲学的人間学入門』を刊行し,人間の存在を全体的に考察する学問として確立した。
シェーラーは,新たな展開をした生物学や個別諸科学と現象学的方法により,人間学の基盤を確立した。彼は価値倫理学と形而上学を経て人間学に至ったが,同時に禁欲原理としての「精神」の中に「人間の特殊地位」を見出した。さらにプレスナーは有機的自然界に対する「人間の特殊地位」を人間の「脱中心性」により捉えた。
人間学とは「自己自身についての知識」である。自己認識こそ芸術,宗教,哲学における知的探求の目的である。本書は一世紀にわたる多様な研究成果を,対話と関主観性の観点から総合的に考察した,最新の本格的概説書である。