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内容説明
人間とは何か? 数千年にわたって問われてきた大いなる謎,人間。本書は現象学の視点から人間存在の多面性に光を当て,その真実を明らかにする。
近代に入り理性と感性から人間を捉えようとする多くの試みがなされたが,そこには常に光の届かない闇の部分が残された。本書は理性と感性に新たに霊性をくわえ,奥行きをもつ人間を立体的に描く。霊性は時代を超え地域を越えて普遍的な機能をはたしたにも拘わらず,近代における悟性ないし科学知優位のなかで軽視されてきた。科学技術の飛躍的な発展は,人間に神の手をゆだねることさえ可能にするかのようである。しかし今日の社会的病理をはじめ個人が壊れていく恐れのなかで,ひとはいかに自己自身に形を与え,保つことができるのか。
理性と感性と霊性はそれぞれが支え合い有機的に関わりつつ,生き生きとした人間の可能性を拓いていく。著者はカントが形成しシェーラーが確立した人間学に,二十世紀諸科学と現象学の成果を盛り込みつつ,科学だけでは到達できない思想的営為としての人間学を展開する。
処女作『ルターの人間学』(学士院賞受賞)以来,三十数年にわたり一貫して人間学の方法と研究を遂行してきた業績の集大成であり,その内容の広さと思想的な深さは,他に類を見ない本格的な概説である。
近代に入り理性と感性から人間を捉えようとする多くの試みがなされたが,そこには常に光の届かない闇の部分が残された。本書は理性と感性に新たに霊性をくわえ,奥行きをもつ人間を立体的に描く。霊性は時代を超え地域を越えて普遍的な機能をはたしたにも拘わらず,近代における悟性ないし科学知優位のなかで軽視されてきた。科学技術の飛躍的な発展は,人間に神の手をゆだねることさえ可能にするかのようである。しかし今日の社会的病理をはじめ個人が壊れていく恐れのなかで,ひとはいかに自己自身に形を与え,保つことができるのか。
理性と感性と霊性はそれぞれが支え合い有機的に関わりつつ,生き生きとした人間の可能性を拓いていく。著者はカントが形成しシェーラーが確立した人間学に,二十世紀諸科学と現象学の成果を盛り込みつつ,科学だけでは到達できない思想的営為としての人間学を展開する。
処女作『ルターの人間学』(学士院賞受賞)以来,三十数年にわたり一貫して人間学の方法と研究を遂行してきた業績の集大成であり,その内容の広さと思想的な深さは,他に類を見ない本格的な概説である。