ホーム > 宗教改革的認識とは何か
目次
はじめに
Ⅰ 初期ルター神学の確立――スコラ神学と神秘主義の間
1 後期中世スコラ神学の二つの方法
2 ルターの精神的な苦闘
3 初期の聖書講義とオッカム主義
4 ルターによるベルナールの神秘思想の受容
5 『キリスト者の自由』におけるルター神学の方法
6 信仰と神秘主義
Ⅱ オッカム主義の克服――『ローマ書講義』における
1 ガブリエル・ビールの救済論
2 意志の問題について
3 自然的能力としての自由意志
4 オッカム主義の超克
5 豚のような神学者
Ⅲ 信仰義認論――義認のための準備と新しい認識
1 義認のための準備
2 アウグスティヌスとルターの義認論
3 神の受動的義とは何か
4 ルターはアウグスティヌス『霊と文字』をどのように受容したか
Ⅳ 『ローマ書講義』の神秘思想
1 『第一回詩編講義』の神秘思想
2 『ローマ書講義』の神秘思想
3 「霊」概念と聖霊との関係
4 神秘主義的「拉致」体験
5 タウラーの影響と conformitas Christi
6 ディオニシオス・アレオパギテース批判
7 同時期の説教と神秘思想
Ⅴ 人間学の区分法と信仰論
1 『ローマ書講解』における人間学的三区分
2 内的人間と外的人間,「外的義」の三様の意義
3 信仰の受容作用と変容作用
Ⅵ 『ローマ書講義』の良心概念
1 シンテレーシス概念の受容と変容
2 良心概念の定義と意義
3 『ローマ書講義』における教義と良心の相関
4 福音的生の倫理と良心
Ⅶ フミリタスの概念
はじめに
1 『第一回詩編講義』におけるフミリタス
2 「信仰の謙虚」
3 フミリタスと自己の「無」の自覚
4 フミリタスと神の憐れみ
5 フミリタスと倫理的実践
Ⅷ 「義人にして同時に罪人」の確立
はじめに
1 パウロにおける義人と罪人との関係
2 アウグスティヌスにおける「義人にして同時に罪人」の理解
3 『第一回詩編講義』における神の審判と義との同時性
4 『ローマ書講義』における「義人にして同時に罪人」の定式の確立
Ⅸ 試練を受けた良心の神学
1 青年時代の「憂愁の試練」
2 『第一回詩編講義』(1513-16年)
3 『ローマ書講義』(1515-16年)
4 信仰者の試練の意義
5 良心の危機と信仰の原風景
6 「憂愁」や「悲嘆」の意義
7 憂愁が試練となって攻撃する
Ⅹ 愛の秩序と倫理思想
1 ルターとスコラ神学
2 「愛の秩序」の解釈
3 「愛の秩序」の批判
4 自己愛と隣人愛との関係
5 「愛の秩序」の否定と「愛」の解釈
6 諸秩序(Ordines)について
付論1 神秘主義を表わすテキスト――『ローマ書講義』からの抜粋
付論2 ルターの『ローマ書講義』との出合い
あとがき
初出一覧
資料と参考文献
Ⅰ 初期ルター神学の確立――スコラ神学と神秘主義の間
1 後期中世スコラ神学の二つの方法
2 ルターの精神的な苦闘
3 初期の聖書講義とオッカム主義
4 ルターによるベルナールの神秘思想の受容
5 『キリスト者の自由』におけるルター神学の方法
6 信仰と神秘主義
Ⅱ オッカム主義の克服――『ローマ書講義』における
1 ガブリエル・ビールの救済論
2 意志の問題について
3 自然的能力としての自由意志
4 オッカム主義の超克
5 豚のような神学者
Ⅲ 信仰義認論――義認のための準備と新しい認識
1 義認のための準備
2 アウグスティヌスとルターの義認論
3 神の受動的義とは何か
4 ルターはアウグスティヌス『霊と文字』をどのように受容したか
Ⅳ 『ローマ書講義』の神秘思想
1 『第一回詩編講義』の神秘思想
2 『ローマ書講義』の神秘思想
3 「霊」概念と聖霊との関係
4 神秘主義的「拉致」体験
5 タウラーの影響と conformitas Christi
6 ディオニシオス・アレオパギテース批判
7 同時期の説教と神秘思想
Ⅴ 人間学の区分法と信仰論
1 『ローマ書講解』における人間学的三区分
2 内的人間と外的人間,「外的義」の三様の意義
3 信仰の受容作用と変容作用
Ⅵ 『ローマ書講義』の良心概念
1 シンテレーシス概念の受容と変容
2 良心概念の定義と意義
3 『ローマ書講義』における教義と良心の相関
4 福音的生の倫理と良心
Ⅶ フミリタスの概念
はじめに
1 『第一回詩編講義』におけるフミリタス
2 「信仰の謙虚」
3 フミリタスと自己の「無」の自覚
4 フミリタスと神の憐れみ
5 フミリタスと倫理的実践
Ⅷ 「義人にして同時に罪人」の確立
はじめに
1 パウロにおける義人と罪人との関係
2 アウグスティヌスにおける「義人にして同時に罪人」の理解
3 『第一回詩編講義』における神の審判と義との同時性
4 『ローマ書講義』における「義人にして同時に罪人」の定式の確立
Ⅸ 試練を受けた良心の神学
1 青年時代の「憂愁の試練」
2 『第一回詩編講義』(1513-16年)
3 『ローマ書講義』(1515-16年)
4 信仰者の試練の意義
5 良心の危機と信仰の原風景
6 「憂愁」や「悲嘆」の意義
7 憂愁が試練となって攻撃する
Ⅹ 愛の秩序と倫理思想
1 ルターとスコラ神学
2 「愛の秩序」の解釈
3 「愛の秩序」の批判
4 自己愛と隣人愛との関係
5 「愛の秩序」の否定と「愛」の解釈
6 諸秩序(Ordines)について
付論1 神秘主義を表わすテキスト――『ローマ書講義』からの抜粋
付論2 ルターの『ローマ書講義』との出合い
あとがき
初出一覧
資料と参考文献
内容説明
宗教改革(1517年)の始まる直前にヴィッテンベルク大学で講解された「ローマ書講義」(1515-16年)は,32歳の青年ルターの思想が力強く説かれ,信仰によって義とされる信仰義認論を中心に宗教改革的精神の生成過程が見事に結実している。
この「ローマ書講義」はその後,知られることなく4世紀を経て1908年に初めて刊行され,それを機にルター・ルネサンスの革新的な研究が展開された。
ルターは大学で後期スコラ学を担うオッカム主義の「新しい方法」を受容し,究極の善と功績を求めて主体的な自由意志に集中して当時のスコラ学を批判するが,自身の救済には至らず,同時にアウグスティヌスの影響もあり,オッカム主義自体を超克すべき対象として,新たな思想的,神学的境地を拓いていった。
また「新しい方法」に対抗して1473年以来,ルーヴァン大学,パリ大学から始まった「古い方法」の運動がドイツにも波及し,宗教改革の精神史的背景となった。
本書では「良心概念」,「フミリタス概念」,「義人にして同時に罪人」,「愛の秩序」など主要テーマに光を当て,その意義を明らかにする。「宗教改革」は知っていても,内容を承知しない読者にとり,ルター独自の宗教経験と改革の真髄を理解するための貴重な一書となろう。
この「ローマ書講義」はその後,知られることなく4世紀を経て1908年に初めて刊行され,それを機にルター・ルネサンスの革新的な研究が展開された。
ルターは大学で後期スコラ学を担うオッカム主義の「新しい方法」を受容し,究極の善と功績を求めて主体的な自由意志に集中して当時のスコラ学を批判するが,自身の救済には至らず,同時にアウグスティヌスの影響もあり,オッカム主義自体を超克すべき対象として,新たな思想的,神学的境地を拓いていった。
また「新しい方法」に対抗して1473年以来,ルーヴァン大学,パリ大学から始まった「古い方法」の運動がドイツにも波及し,宗教改革の精神史的背景となった。
本書では「良心概念」,「フミリタス概念」,「義人にして同時に罪人」,「愛の秩序」など主要テーマに光を当て,その意義を明らかにする。「宗教改革」は知っていても,内容を承知しない読者にとり,ルター独自の宗教経験と改革の真髄を理解するための貴重な一書となろう。