ホーム > 環東アジア地域の歴史と「情報」
目次
はじめに(關尾史郎)
第Ⅰ部 「家」の履歴
第1章 本貫の記憶と記録――敦煌張氏の場合(關尾史郎)
はじめに
第1節 トゥルファン略史
第2節 トゥルファン出土墓誌とその記述
第3節 張氏墓誌にみる本貫の記述Ⅰ――高昌国時代
諸氏高昌国時代(442~501年)/麴氏高昌国時代(501~640年)
第4節 張氏墓誌にみる本貫の記述Ⅱ――唐西州時代
おわりに
第2章 「華麗なる一族」のつくりかた――近世ベトナムにおける族結合形成の一形態(蓮田隆志)
はじめに
第1節 家譜の概要
第2節 鄧訓と鄧氏の勃興
第3節 鄧氏の抬頭と婚姻結合
第4節 族結合の諸相:鄧「氏」の場合
おわりに
第Ⅱ部 情報――生成と伝播
第3章 酒泉丁家閘5号墓天馬図の運足表現(高橋秀樹)
はじめに――情報媒体としての画像とその「文法」の問題
第1節 酒泉丁家閘5号墓壁画天馬図の運足表現
第2節 酒泉丁家閘5号墓壁画における四足獣運足表現
神獣運足表現/家畜運足表現/最前足/手前足/酒泉丁家閘5号墓壁画の型
第3節 甘粛省墓壁画の四足獣運足表現
向こう足と手前足/疾走する四足獣/歩く四足獣/酒泉丁家閘5号墓壁画の位置
第4節 漢代画像石と秦漢瓦當
おわりに
第4章 奈良時代における「先人の遺風」としての「風流」とその展開(荻美津夫)
はじめに――「風流」について
第1節 「風流士」「遊士」の意味とその内容
第2節 「風流士」の人々
『家傳』にみられる「風流侍從」/歌垣に参加した「有風流者」と歌舞所の「風流意氣の士」
第3節 『藤氏家傳』にみられる学者・文人才子等
第4節 元正・聖武朝における楽舞の集中
おわりに
第Ⅲ部 情報――制度と現実
第5章 西夏王国における交通制度の復原――公的旅行者の通行証・身分証の種類とその機能の分析を中心に(佐藤貴保)
はじめに
第1節 公的旅行者が携行する通行証・身分証の種別と用途
携行物A―牌/携行物B―兵符/起符/刀符/鉄箭
第2節 公的旅行者への待遇に関する制度の復原
公的旅行者の移動日数,移動距離/駄獣・食糧等の支給/頭子文書による駄獣の徴発
おわりに
第6章 屠牛と禁令――19世紀朝鮮における官令をめぐって(山内民博)
はじめに
第1節 朝鮮後期の屠牛の様相
第2節 屠牛禁令
第3節 私屠禁令下の庖厨と公権力
官庖と場市庖厨/私設公庖――官庖外の庖厨公認/私庖と公権力/庖厨と屠漢
おわりに
第Ⅳ部 情報――収集と利用
第7章 支配錯綜地帯における地域的入用――新発田藩の万雑とその周辺(原 直史)
はじめに
第1節 18世紀後期の組と万雑
天明万雑改革の性格/四斗米の中の万雑/新発田組における運用の実態/万雑役所の存廃
第2節 「聞合書」をめぐる諸関係
「聞合書」の性格と作成年代/新発田領万雑の改革案/周辺諸領の情報
おわりに
第8章 清国における海産物市場の形成と市場情報――明治20年の清国調査を中心に(麓 慎一)
はじめに
第1節 赤壁二郎・鹿島万兵衛・遠藤吉平の調査
赤壁二郎の調査/鹿島万兵衛の調査/遠藤吉平の調査
第2節 「昆布ニ関スル復命書」の上申
「昆布生産者組合連合組織之事」/「特約会社ノ有スベキ資格」/「特約会社ト昆布生産者組合トノ関係」/「官庁ニ請願スベキ保護ノ事」
おわりに
第9章 近代ハルハ・モンゴルにおける土地制度の系譜とその展開(広川佐保)
はじめに
第1節 三多の墾務事業とボグド・ハーン政権
清末における墾務事業/ボグド・ハーン政権初期における土地政策
第2節 ロシア人経済顧問による経済政策
C.A.コージンのハルハ滞在/農業奨励政策――「土地使用規則」
第3節 ハルハにおける土地制度確立の進展
おわりに
第10章 南進論と日独伊三国同盟――情報の調査と立案をめぐる再検討(芳井研一)
はじめに
第1節 海軍の南進論
南進論国策化の端緒/国策の基準/北海事件への対応
第2節 南進論と防共協定強化問題
第一次近衛内閣期の海軍南進論/防共協定強化問題の台頭と海軍事務当局
第3節 南進国策の強化
南進の調査と立案/陸軍の南進策と日独伊提携強化問題
第4節 日独伊三国同盟の締結へ
陸海外事務当局の三国提携強化案/海軍の妥協/日独伊三国同盟の締結
おわりに
あとがき(關尾史郎)
執筆者一覧
第Ⅰ部 「家」の履歴
第1章 本貫の記憶と記録――敦煌張氏の場合(關尾史郎)
はじめに
第1節 トゥルファン略史
第2節 トゥルファン出土墓誌とその記述
第3節 張氏墓誌にみる本貫の記述Ⅰ――高昌国時代
諸氏高昌国時代(442~501年)/麴氏高昌国時代(501~640年)
第4節 張氏墓誌にみる本貫の記述Ⅱ――唐西州時代
おわりに
第2章 「華麗なる一族」のつくりかた――近世ベトナムにおける族結合形成の一形態(蓮田隆志)
はじめに
第1節 家譜の概要
第2節 鄧訓と鄧氏の勃興
第3節 鄧氏の抬頭と婚姻結合
第4節 族結合の諸相:鄧「氏」の場合
おわりに
第Ⅱ部 情報――生成と伝播
第3章 酒泉丁家閘5号墓天馬図の運足表現(高橋秀樹)
はじめに――情報媒体としての画像とその「文法」の問題
第1節 酒泉丁家閘5号墓壁画天馬図の運足表現
第2節 酒泉丁家閘5号墓壁画における四足獣運足表現
神獣運足表現/家畜運足表現/最前足/手前足/酒泉丁家閘5号墓壁画の型
第3節 甘粛省墓壁画の四足獣運足表現
向こう足と手前足/疾走する四足獣/歩く四足獣/酒泉丁家閘5号墓壁画の位置
第4節 漢代画像石と秦漢瓦當
おわりに
第4章 奈良時代における「先人の遺風」としての「風流」とその展開(荻美津夫)
はじめに――「風流」について
第1節 「風流士」「遊士」の意味とその内容
第2節 「風流士」の人々
『家傳』にみられる「風流侍從」/歌垣に参加した「有風流者」と歌舞所の「風流意氣の士」
第3節 『藤氏家傳』にみられる学者・文人才子等
第4節 元正・聖武朝における楽舞の集中
おわりに
第Ⅲ部 情報――制度と現実
第5章 西夏王国における交通制度の復原――公的旅行者の通行証・身分証の種類とその機能の分析を中心に(佐藤貴保)
はじめに
第1節 公的旅行者が携行する通行証・身分証の種別と用途
携行物A―牌/携行物B―兵符/起符/刀符/鉄箭
第2節 公的旅行者への待遇に関する制度の復原
公的旅行者の移動日数,移動距離/駄獣・食糧等の支給/頭子文書による駄獣の徴発
おわりに
第6章 屠牛と禁令――19世紀朝鮮における官令をめぐって(山内民博)
はじめに
第1節 朝鮮後期の屠牛の様相
第2節 屠牛禁令
第3節 私屠禁令下の庖厨と公権力
官庖と場市庖厨/私設公庖――官庖外の庖厨公認/私庖と公権力/庖厨と屠漢
おわりに
第Ⅳ部 情報――収集と利用
第7章 支配錯綜地帯における地域的入用――新発田藩の万雑とその周辺(原 直史)
はじめに
第1節 18世紀後期の組と万雑
天明万雑改革の性格/四斗米の中の万雑/新発田組における運用の実態/万雑役所の存廃
第2節 「聞合書」をめぐる諸関係
「聞合書」の性格と作成年代/新発田領万雑の改革案/周辺諸領の情報
おわりに
第8章 清国における海産物市場の形成と市場情報――明治20年の清国調査を中心に(麓 慎一)
はじめに
第1節 赤壁二郎・鹿島万兵衛・遠藤吉平の調査
赤壁二郎の調査/鹿島万兵衛の調査/遠藤吉平の調査
第2節 「昆布ニ関スル復命書」の上申
「昆布生産者組合連合組織之事」/「特約会社ノ有スベキ資格」/「特約会社ト昆布生産者組合トノ関係」/「官庁ニ請願スベキ保護ノ事」
おわりに
第9章 近代ハルハ・モンゴルにおける土地制度の系譜とその展開(広川佐保)
はじめに
第1節 三多の墾務事業とボグド・ハーン政権
清末における墾務事業/ボグド・ハーン政権初期における土地政策
第2節 ロシア人経済顧問による経済政策
C.A.コージンのハルハ滞在/農業奨励政策――「土地使用規則」
第3節 ハルハにおける土地制度確立の進展
おわりに
第10章 南進論と日独伊三国同盟――情報の調査と立案をめぐる再検討(芳井研一)
はじめに
第1節 海軍の南進論
南進論国策化の端緒/国策の基準/北海事件への対応
第2節 南進論と防共協定強化問題
第一次近衛内閣期の海軍南進論/防共協定強化問題の台頭と海軍事務当局
第3節 南進国策の強化
南進の調査と立案/陸軍の南進策と日独伊提携強化問題
第4節 日独伊三国同盟の締結へ
陸海外事務当局の三国提携強化案/海軍の妥協/日独伊三国同盟の締結
おわりに
あとがき(關尾史郎)
執筆者一覧
内容説明
中国,北アジア,中央アジア,ベトナム,朝鮮,日本などの東アジアにおいて,中国との影響関係や地域の独自性をテーマに即して考察した総合的研究である。従来は中国の影響下に周縁地域を分析する方法が主流であったが,本書は周縁地域を中国で創造された制度・文化の一方的な受容者として見るのではなく,固有の制度や文化を創造する主体でもあることを重視し,また周縁地域におけるそれらの授受関係による地域間交流の促進にも着目する。
Ⅰ部「「家」の履歴」では,「家」にまつわる情報がいかに生成し,継承・利用されていくのかを中央アジアとベトナムの事例を通して明らかにする。
Ⅱ部「情報:生成と伝播」では,中国で形成された情報の型(フォーマット)が西方地域や日本にどのように伝播したかに光をあてる。
Ⅲ部「情報:制度と現実」では,中国の西北地域と朝鮮を通して,情報伝達の制度を復元し,その制度が直面した錯綜する現実を考察する。
Ⅳ部「情報:収集と利用」では,公私にわたる政策立案には,情報の収集・独占とその積極的な活用が不可欠であることを,モンゴルや近代以降の日本,とりわけ中心化する東京の例をあげて分析する。
未見の一次史料や,活用されてこなかった史料を駆使した分析により,新たな歴史像の展開を試みる。
Ⅰ部「「家」の履歴」では,「家」にまつわる情報がいかに生成し,継承・利用されていくのかを中央アジアとベトナムの事例を通して明らかにする。
Ⅱ部「情報:生成と伝播」では,中国で形成された情報の型(フォーマット)が西方地域や日本にどのように伝播したかに光をあてる。
Ⅲ部「情報:制度と現実」では,中国の西北地域と朝鮮を通して,情報伝達の制度を復元し,その制度が直面した錯綜する現実を考察する。
Ⅳ部「情報:収集と利用」では,公私にわたる政策立案には,情報の収集・独占とその積極的な活用が不可欠であることを,モンゴルや近代以降の日本,とりわけ中心化する東京の例をあげて分析する。
未見の一次史料や,活用されてこなかった史料を駆使した分析により,新たな歴史像の展開を試みる。