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近代日本の地域と自治

新潟県下の動向を中心に

近代日本の地域と自治

新潟大学人文学部研究叢書3

著者 芳井 研一
ジャンル 歴史 > 日本史
出版年月日 2008/02/29
ISBN 9784862850294
判型・ページ数 A5・264ページ
定価 本体4,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章
 公空間と生活自治/議会の機能/本書の枠組み
第一章 自治と人権の追求――佐藤良太郎の面目
 県議会の存在意義/国会への立法活動/足尾鉱毒救済活動

第二章 地域自治論の一系譜――山口千代松の場合
 自然村的自治論/南魚沼郡会をめぐる活動/町村自治の模索/自治行政の追求

第三章 中小都市の公空間――1900年前後の長岡市
 古志郡会の成立/長岡市制の施行/都市問題の噴出

第四章 都市公営事業論から生活自治論へ
 都市公営事業論/生活自治論

第五章 電気料問題と地域社会
 電気料問題と地域社会の論理――富山県の場合/全国的動向

第六章 雪害救済の思想と運動
 黎明/雪害をめぐる攻防/雪国の地租軽減を求める/雪害対策調査会から東北振興調査会へ/せめて東北なみに/政治力を求めて

第七章 中山間村の公空間――1920-30年代の山古志郷
 道路開鑿への想望/村の成り立ち

第八章 地域社会の翼賛体制
 総力戦の公空間/山古志郷/六日町

終 章
 公空間/生活自治/議会の機能

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内容説明

近代日本の地域と自治をめぐる問題を,公空間,生活公空間,議会の機能という三つの側面から考察し,地域住民にとり自治とは何かを実証的に解明する。
地方的利益を優先して地域相互の利害が対立し適切な政策が選択できなくなることを批判した佐藤良太郎の見識をはじめ,日清戦後には町と農村の利害対立が争点になり,大都市では道路整備から上下水道の整備・電車賃値下げ運動などを通して都市公営事業論が唱えられ,住民の自治意識も発展していった。
大正デモクラシー期以降は公共負担の平等や地域格差是正が問題化し,電気料金値下げや雪害救済運動が起こり,山村では「文明の恵沢」がもたらされるという期待から道路開鑿が最優先課題となった。
総力戦体制期にはいり兵力動員・食糧増産・防空警備など地域の献身が求められるなか,住民は身近な問題にねばり強く挑んでいった。
明治憲法体制下,国が地方を統治する体制を地方自治と呼び,自立的な自治を実現できなかったと言われてきたが,著者は,試行錯誤しながら自治の道を追求し,新たな価値観を形成していった住民たちの事例を多数示し,埋もれた生活と自治に光を当てる。

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