語りによる越後小国の昔ばなし
新潟大学人文学部研究叢書13
著者 | 馬場 英子 著 |
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出版年月日 | 2016/03/31 |
ISBN | 9784862852304 |
判型・ページ数 | 4-6・490ページ |
定価 | 本体4,500円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
地図
小国の言葉一覧
はじめに
Ⅰ 小国で聞いた昔話(資料編)
動物昔話
1 干支の始まり(鈴木百合子)
2 のめしぎつね(鈴木百合子)
3 かちかち山(鈴木百合子)
4-1 ふるやのもりや(山崎正治)
4-2 ふるやのもりや(鈴木百合子)
本格昔話
異類婚
5 猿婿(鈴木百合子)
6 婆っ皮着た娘(山崎正治)
誕生
7 鷹にさらわれた赤子(鈴木百合子)
8 蛇のくれた赤い巾着(山崎正治)
9 尻鳴りしゃもじ(山崎正治)
隣の爺
10 爺さと豆(山崎正治)
11-1 あやちゅうちゅう(山崎正治)
11-2 鳥呑み爺(五十嵐サチ)
12 かにかにこそこそ(山崎正治)
大歳の客
13 貧乏神(鈴木百合子)
14 笠地蔵(鈴木百合子)
継子譚
15 お藤とお杉(鈴木百合子)
* 参考 粟ぶくろ米ぶくろ(長谷川マサエ)
動物報恩
16 狸の恩返し(鈴木百合子)
人と狐
17 村の博労と狐の博労(鈴木百合子)
(博労の思い出)
18 和尚とイタチ(五十嵐サチ)
(狐の嫁どり)
19 俵ころがし(五十嵐サチ)
(狐にまつわる思い出)
愚かな動物
20 化け猫のはなし(二話)(山崎正治)
逃竄譚
21 三枚の札(山崎正治)
22-1 松吉とやまんば(山崎正治)
22-2 鬼婆と魚売り(五十嵐サチ)
23 八石山の弥三郎婆さま(伝説)(山崎正治)
笑話
愚人譚
24 臆病どっつぁとぽんたろう(鈴木百合子)
25 ぴんとこしょ(山崎正治)
誇張譚
26 へっこきあねさ(鈴木百合子)
27 くさかった(山崎正治)
28 ぬか火八反くらすま九反(鈴木百合子)
狡知譚・狡猾者
29 姥捨て山(鈴木百合子)
30 座頭坊の夫婦づれ(鈴木百合子)
31 何でも知ってるこぶんと(鈴木百合子)
伝説
32 松之山鏡(鈴木百合子)
33 石童丸(鈴木百合子)
34 甚平桃(鈴木百合子)
35 山の樵夫婦(五十嵐サチ)
(木挽き・十二講さま・蛇の衣(きん)の話)
36 藤稲荷(五十嵐サチ)
補遺(『榎峠のおおかみ退治』所収話簡解)
Ⅱ 小国の暮しと語り手
一 小国の昔話について
小国の昔話の記録と昔話語り活動
昔話を語っていただいた三名の語り手
山崎正治さん
鈴木百合子さん
五十嵐サチさん
二 子どものころの思い出(鈴木百合子)
三 小国の暮らしノート(高橋実)
1 小国の地名
2 渋海川・八石山
3 歴史と文化
4 小国和紙
5 人形繰り巫女爺と木喰
6 春から夏へ
7 雪の季節
8 着る物
9 食べ物
10 囲炉裏と風呂と便所
11 小学校生活
12 村の訪問者
13 昔の旅
おわりに
あとがき
記録整理者一覧
演習参加者名簿/留学生参加者名簿
参考文献
『榎峠のおおかみ退治』所収話一覧
小国昔話一覧・比較対照表
内容説明
昔話が注目され蒐集が始まるのは『遠野物語』(1910年)を起点として,一般には1930年代以降である。とくに70年代以降には民間伝承の急速な衰えに危機感を抱き,伝承の実態を整理して示そうとする多くの企画が展開した。
一年の三分の一が雪に閉じ込められている豪雪地帯新潟県中越地方は,わが国でも昔話が豊富な地域として知られる。1970年代以前には,共同体や家庭の中で生きていた「昔話の語り」が,生活の一部であった時代はすでに過去のものとなった。しかし本書は新潟大学の学生たちが2010年から14年の5年間にわたり,新潟県長岡市小国町を訪ねて,今日でも語りの命脈を保っていた三人による「昔話の語り」36話を,その豊かな方言を含めて忠実に聞き取った記録をもとに構想された。それぞれの話の特徴,伝承状況とともにその語りの特徴を検討し,さらに小国地方の歴史や民俗など昔話の背景を検討することにより,人々の細やかな生活感情や風俗習慣など失われた伝統社会に光を当てる。また中国や韓国,ヨーロッパの昔話との関連に言及し,新たな研究の可能性が示された。