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パピルスが語る古代都市

ローマ支配下エジプトのギリシア人

パピルスが語る古代都市
著者 ピーター・パーソンズ
髙橋 亮介
ジャンル 歴史
出版年月日 2022/08/10
ISBN 9784862853684
判型・ページ数 4-6・514ページ
定価 本体5,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

日本語版序言
序言
地図

プロローグ

第1章 エジプト発掘
 1 エジプトとヨーロッパ
 2 古代エジプト研究の始まり
 3 イギリスにおける古代エジプトへの関心

第2章 ゴミの山
 1 グレンフェルとハント
 2 ルネサンスの再来
 3 文学と生活
 4 過去の解読

第3章 エジプトのギリシア人
 1 ギリシア人の王国からローマ属州へ
 2 エジプトとその地に暮らすギリシア人
 3 パピルス――砂のなかの文書
 4 都市と民族

第4章 「栄光ある,いとも栄光ある都市」
 1 神殿と浴場
 2 家と庭園
 3 エリートと納税者
 4 栄光と危機

第5章 皇帝――支配者にして神
 1 皇帝の訪問
 2 「記憶の断罪」
 3 「私はカエサルに訴え出ます」
 4 アレクサンドリアとローマの暴君

第6章 ナイル川
 1 収穫後,氾濫前
 2 氾濫中
 3 氾濫後
 4 船
 5 穀物の輸送
 6 漁業
 7 ナイル崇拝

第7章 市場
 1 取引の場
 2 市場の規制
 3 日々のパン
 4 蜂蜜と魚醤
 5 壺と煉瓦
 6 徒弟修行
 7 銀行――現金と穀物

第8章 家族と友人
 1 手紙を書く
 2 配達
 3 友情,商売,社会的義務
 4 愛情と怒り

第9章 詩人と学者
 1 学校に通う
 2 文字を習う
 3 古典を読む
 4 「大学」
 5 書物,図書館,読者
 6 作家と読み書きのできない人
 7 筆写者と文学の残存

第10章 行政
 1 階層
 2 記録
 3 文書館と役所
 4 行政機構の崩壊と改革
 5 3世紀の危機

第11章 生き残る
 1 医者と病気
 2 襲撃と事故
 3 占星術師
 4 サイコロを振る
 5 魔術師

第12章 キリスト教と信者たち
 1 キリスト教徒と書物
 2 キリスト教徒と迫害者
 3 新しい信仰,古い問題

エピローグ


原著者紹介(葛西康徳)
あとがき(髙橋亮介)

史料についての注記
エジプトの暦
度量衡について
参考文献
図版出典一覧
索引

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内容説明

1897年,イギリスのエジプト探検隊は,ナイル中部の失われた古代都市オクシリンコスで,ゴミの山から『トマスによる福音書』が書かれた一葉のパピルス紙を発見した。以後,陸続と発掘されたギリシア語パピルスは,その地の人々が廃棄した古典文学や聖書の断片,そして個人の手紙や実務文書など膨大な生活の記録であった。
クレオパトラの死により紀元1世紀にプトレマイオス朝が滅亡した後,エジプトはローマ帝国の属州となったが,支配層をギリシア人が占めるギリシア世界であった。彼らはエジプトに同化しながらギリシア文化を拠り所とし,文字はギリシア語で記すことを決めたのである。
本書は,オックスフォード大学で古典ギリシア語教授を務めた,オクシリンコス・パピルス解読の第一人者である著者が,大量の出土史料を駆使して,当時の社会と文化を余すことなく描き出す。ギリシア人の目に映るローマ皇帝,ナイル川の氾濫と農作物の収穫,市場での経済活動,現金と穀物を扱う銀行取引,厳しい徴税や徴発の制度,子供の教育に奔走する親,病気や怪我に際して助けを求めた魔術や医学など,人々の息づかいを伝えるとともに,迫害を受けた初期キリスト教のあり方や,古典作品について古典学の視点から光が当てられる。
巻頭カラー口絵と,訳者による各章の懇切な要約も付し,古代世界へと誘う,わが国初登場のパピルス学入門である。

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