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古典の挑戦
古代ギリシア・ローマ研究ナビ
著者 | 葛西 康徳 編 ヴァネッサ・カッツァート 編 |
---|---|
ジャンル | 文学 |
出版年月日 | 2021/03/31 |
ISBN | 9784862853363 |
判型・ページ数 | 菊判・592ページ |
定価 | 本体5,000円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
まえがき(葛西康徳)
第1部 記憶と再現
1 ギリシアは東からやって来た?(クリストファー・メットカルフ)
歴史的概要/楔形文字と古代近東文学/「起源
の歌」概要/「起源の歌」とヘシオドス/『ギ
ルガメシュ叙事詩』とホメロス/現在の研究ア
プローチ/参考文献
2 ホメロスを読むことのむずかしさ(ベルナルド・バッレステロス)
はじめに/耳で聞く詩/テクストとその起源/
ホメロス問題へのアプローチ/『イリアス』,
『オデュッセイア』とトロイア戦争にまつわる
叙事詩の伝統/ホメロスとその出典/参考文献
3 踊る合唱隊(末吉未来)
古代ギリシアの合唱隊(コロス)/コロスとは
何か/神に祈るコロス/コレゴスを引き立てる
コロス/結び/参考文献
4 「悲劇」は悲しい劇なのか?(グンター・マーティン)
はじめに/神話物語としての悲劇/公的な行事
や宗教儀礼としての悲劇/演技としての悲劇/
参考文献
5 喜劇を真面目に読む(アデル・C・スカフーロ)
はじめに/ギリシア喜劇/ローマ喜劇/参考文
献
6 アウグストゥスと詩人たち(日向太郎)
はじめに/内乱と平和―ウェルギリウスの場合
/内乱と平和―ホラティウスの場合/詩のなか
で歌われるアクティウムの海戦―ホラティウス
とウェルギリウスの場合/恋愛エレゲイア詩人
―プロペルティウス/恋愛エレゲイア詩人―テ
ィブッルス/エレゲイア詩人から叙事詩人へ―
オウィディウス/参考文献
第2部 素材と受容
7 古典ができるまで――テクスト批判(パトリック・フィングラス)
はじめに/初期の印刷本/現代の校訂本/デジ
タル化された校訂本/校訂作業の実例/結び/
参考文献
8 蘇るパピルス(エンリコ・エマヌエレ・プロディ)
はじめに/「パピルス」とは何か?/何故エジ
プトか/科学技術とパピルスの解読/パピルス
学の始まり/参考文献
9 壺絵は語る(フランソワ・リッサラーグ)
イマージュの人類学/イマージュとは何か?
何を意味するのか?/イマージュとコンテクス
ト/陶器に描かれたイマージュ/イマージュと
ホメロス/結論/参考文献
10 神話の紡がれかた(クレシミール・ヴコヴィッチ)
序/プロメテウス神話/ギリシアの神々/ロー
マの神話と歴史/ローマの神々と英雄たち/ロ
ーマ建国神話―ロムルスとレムス/神話と環境
/参考文献
11 ギリシアを翻訳する――バルバロイの文化への翻訳(ドメニコ・ジョルダーニ)
はじめに/創世神話の翻訳―「環状の濠」とヘ
シオドスが描くカオス/散文の翻訳―ローマに
持ち込まれたエウヘメロス/叙事詩の翻訳―ロ
ーマ版『オデュッセイア』/参考文献
12 古代演劇を日本で研究する(マクシム・ピエール)
ディオニュソス,ヨーロッパから日本へ/日本
とギリシア演劇の出会い/ギリシア演劇と日本
演劇―実りある比較/日本におけるギリシア悲
劇―世界劇場/世界が聴いている演劇/参考文
献
13 「イソップ」の渡来と帰化(吉川 斉)
はじめに/イエズス会と『エソポのハブラス』
/『伊曽保物語』と江戸時代/幕末・明治初期
の「イソップ」/『通俗伊蘇普物語』の登場/
修身教育と「イソップ」/参考文献
第3部 思想と人間
14 哲学がうまれる(納富信留)
古代ギリシアと哲学/哲学の誕生をめぐって/
スタイルの革新と葛藤/自然の探究/「ある」
の形而上学/理論体系としての哲学/生き方を
めぐる哲学の広がり/参考文献
15 よく語ること(吉田俊一郎)
ギリシア・ローマにおける弁論・修辞学の重要
性/ギリシアの弁論と修辞学/ローマの弁論と
修辞学/ギリシア・ローマの修辞学理論/参考
文献
16 歴史を創ること(オズウィン・マリー)
古代ギリシアの歴史学/ヘレニズム時代の歴史
学/ローマの歴史学/古代から近代へ―近代か
ら見たギリシア・ローマ/参考文献
17 ギリシア人の法と裁判(葛西康徳/ゲーアハルト・チュール)
裁判術と裁判実務/脱刑事法/デモステネス一
般法廷弁論/参考文献
18 ローマ人の法と法律家(アーネスト・メッツガー)
はじめに/都市法務官/法律家/ローマ法はど
のように表現されているか/ローマ法はどのよ
うに組織化されているか/センターは財産法/
ローマ法の学ばれ方/訳者解説/参考文献
19 ギリシア教(ロバート・パーカー)
神々とその他のパワー/宗教的権威―ポリス教
/儀礼/あの世/批判と存続/訳者解説/参考
文献
20 妥協するギリシア人(葛西康徳)
ギリシア人/ peithomai / peitho /アゴーン
agon / In (half) losers’eyes /参考文献
結びに代えて――21世紀の古代ギリシア・ローマ(ティム・ウィットマーシュ)
生き残った古代/ギリシア・ローマのもたらす
功罪/古典を学ぶこととは
あとがき(葛西康徳)
総合文献案内
索引
執筆者紹介
第1部 記憶と再現
1 ギリシアは東からやって来た?(クリストファー・メットカルフ)
歴史的概要/楔形文字と古代近東文学/「起源
の歌」概要/「起源の歌」とヘシオドス/『ギ
ルガメシュ叙事詩』とホメロス/現在の研究ア
プローチ/参考文献
2 ホメロスを読むことのむずかしさ(ベルナルド・バッレステロス)
はじめに/耳で聞く詩/テクストとその起源/
ホメロス問題へのアプローチ/『イリアス』,
『オデュッセイア』とトロイア戦争にまつわる
叙事詩の伝統/ホメロスとその出典/参考文献
3 踊る合唱隊(末吉未来)
古代ギリシアの合唱隊(コロス)/コロスとは
何か/神に祈るコロス/コレゴスを引き立てる
コロス/結び/参考文献
4 「悲劇」は悲しい劇なのか?(グンター・マーティン)
はじめに/神話物語としての悲劇/公的な行事
や宗教儀礼としての悲劇/演技としての悲劇/
参考文献
5 喜劇を真面目に読む(アデル・C・スカフーロ)
はじめに/ギリシア喜劇/ローマ喜劇/参考文
献
6 アウグストゥスと詩人たち(日向太郎)
はじめに/内乱と平和―ウェルギリウスの場合
/内乱と平和―ホラティウスの場合/詩のなか
で歌われるアクティウムの海戦―ホラティウス
とウェルギリウスの場合/恋愛エレゲイア詩人
―プロペルティウス/恋愛エレゲイア詩人―テ
ィブッルス/エレゲイア詩人から叙事詩人へ―
オウィディウス/参考文献
第2部 素材と受容
7 古典ができるまで――テクスト批判(パトリック・フィングラス)
はじめに/初期の印刷本/現代の校訂本/デジ
タル化された校訂本/校訂作業の実例/結び/
参考文献
8 蘇るパピルス(エンリコ・エマヌエレ・プロディ)
はじめに/「パピルス」とは何か?/何故エジ
プトか/科学技術とパピルスの解読/パピルス
学の始まり/参考文献
9 壺絵は語る(フランソワ・リッサラーグ)
イマージュの人類学/イマージュとは何か?
何を意味するのか?/イマージュとコンテクス
ト/陶器に描かれたイマージュ/イマージュと
ホメロス/結論/参考文献
10 神話の紡がれかた(クレシミール・ヴコヴィッチ)
序/プロメテウス神話/ギリシアの神々/ロー
マの神話と歴史/ローマの神々と英雄たち/ロ
ーマ建国神話―ロムルスとレムス/神話と環境
/参考文献
11 ギリシアを翻訳する――バルバロイの文化への翻訳(ドメニコ・ジョルダーニ)
はじめに/創世神話の翻訳―「環状の濠」とヘ
シオドスが描くカオス/散文の翻訳―ローマに
持ち込まれたエウヘメロス/叙事詩の翻訳―ロ
ーマ版『オデュッセイア』/参考文献
12 古代演劇を日本で研究する(マクシム・ピエール)
ディオニュソス,ヨーロッパから日本へ/日本
とギリシア演劇の出会い/ギリシア演劇と日本
演劇―実りある比較/日本におけるギリシア悲
劇―世界劇場/世界が聴いている演劇/参考文
献
13 「イソップ」の渡来と帰化(吉川 斉)
はじめに/イエズス会と『エソポのハブラス』
/『伊曽保物語』と江戸時代/幕末・明治初期
の「イソップ」/『通俗伊蘇普物語』の登場/
修身教育と「イソップ」/参考文献
第3部 思想と人間
14 哲学がうまれる(納富信留)
古代ギリシアと哲学/哲学の誕生をめぐって/
スタイルの革新と葛藤/自然の探究/「ある」
の形而上学/理論体系としての哲学/生き方を
めぐる哲学の広がり/参考文献
15 よく語ること(吉田俊一郎)
ギリシア・ローマにおける弁論・修辞学の重要
性/ギリシアの弁論と修辞学/ローマの弁論と
修辞学/ギリシア・ローマの修辞学理論/参考
文献
16 歴史を創ること(オズウィン・マリー)
古代ギリシアの歴史学/ヘレニズム時代の歴史
学/ローマの歴史学/古代から近代へ―近代か
ら見たギリシア・ローマ/参考文献
17 ギリシア人の法と裁判(葛西康徳/ゲーアハルト・チュール)
裁判術と裁判実務/脱刑事法/デモステネス一
般法廷弁論/参考文献
18 ローマ人の法と法律家(アーネスト・メッツガー)
はじめに/都市法務官/法律家/ローマ法はど
のように表現されているか/ローマ法はどのよ
うに組織化されているか/センターは財産法/
ローマ法の学ばれ方/訳者解説/参考文献
19 ギリシア教(ロバート・パーカー)
神々とその他のパワー/宗教的権威―ポリス教
/儀礼/あの世/批判と存続/訳者解説/参考
文献
20 妥協するギリシア人(葛西康徳)
ギリシア人/ peithomai / peitho /アゴーン
agon / In (half) losers’eyes /参考文献
結びに代えて――21世紀の古代ギリシア・ローマ(ティム・ウィットマーシュ)
生き残った古代/ギリシア・ローマのもたらす
功罪/古典を学ぶこととは
あとがき(葛西康徳)
総合文献案内
索引
執筆者紹介
内容説明
21世紀の今,古代ギリシア・ローマを学ぶ意義とは何か。様々な社会的・地理的・人種的背景を持つ人々が交流した多様な古代社会,その姿を描き出した豊富な作品群。古典とは,人間と社会の困難な状況を示すことで,私たちにヒントを与えてくれる強力な〈武器〉なのである。
本書は,オックスフォード大学やケンブリッジ大学で古典学の教育を受け,国際的に第一線で活躍する研究者が,日本人の夏期短期留学生に向けて行う西洋古典学への招待である。古典の最前線の問題に,それぞれ独特の発想と語り口で斬り込み,聴衆を魅了する。
第1部「記憶と再現」は,古代ギリシアが影響を受け,近年進展の目覚ましい近東文学を紹介した後,ホメロス,悲劇,喜劇,ラテン詩文など基本的テーマを丁寧に説明する。さらに現在注目される合唱隊の存在をも論じる。
第2部「素材と受容」では,20世紀に急速に発展したパピルス研究や,壺絵,神話,文献学など最先端の業績を踏まえて解説し,また日本のギリシア古典劇およびイソップ寓話の受容を見ていく。
第3部「思想と人間」は,哲学,弁論術,歴史,宗教,法などヘレニズム文化の中核的テーマを説明し,ギリシア人とは何かを論じる。ギリシア・ローマの法と裁判は,近代の政治・法制度を理解する上でも必須の教養である。
内外の執筆陣による本書は,ますます高まる国際共同研究の成果としても有益な示唆を提供する。人文学の基礎である西洋古典学の森に学習者を導く最良の道案内。
本書は,オックスフォード大学やケンブリッジ大学で古典学の教育を受け,国際的に第一線で活躍する研究者が,日本人の夏期短期留学生に向けて行う西洋古典学への招待である。古典の最前線の問題に,それぞれ独特の発想と語り口で斬り込み,聴衆を魅了する。
第1部「記憶と再現」は,古代ギリシアが影響を受け,近年進展の目覚ましい近東文学を紹介した後,ホメロス,悲劇,喜劇,ラテン詩文など基本的テーマを丁寧に説明する。さらに現在注目される合唱隊の存在をも論じる。
第2部「素材と受容」では,20世紀に急速に発展したパピルス研究や,壺絵,神話,文献学など最先端の業績を踏まえて解説し,また日本のギリシア古典劇およびイソップ寓話の受容を見ていく。
第3部「思想と人間」は,哲学,弁論術,歴史,宗教,法などヘレニズム文化の中核的テーマを説明し,ギリシア人とは何かを論じる。ギリシア・ローマの法と裁判は,近代の政治・法制度を理解する上でも必須の教養である。
内外の執筆陣による本書は,ますます高まる国際共同研究の成果としても有益な示唆を提供する。人文学の基礎である西洋古典学の森に学習者を導く最良の道案内。