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目次
第Ⅲ部 偉大な教育者と教育体系の時代―前半
前4世紀
アテナイの敗北と精神面での再建
パイデイアの古典的な時代としての前4世紀
文芸の没落と散文の台頭
パイデイアによる世界の精神的な征服
パイデイアとしてのギリシアの医術
ギリシアの指導的な文化力としての医学
イオニア自然哲学の医学への影響
自然哲学と医学の相互浸透
ヒポクラテス文献学の状況
専門的な著作と世間一般を対象とする著作の区別
医者と医学の教養がある人の相違
専門家と素人の間での教養人という領域の成立
自立的な技術としての医学の自然哲学との戦い
個別的な事実の正確な観察
経験に基づく類型や様態への一般化
魂や身体という自然的な構造の中の規範的な原理
医学から借用された倫理的な態度を表す言葉
内在的な合法則性に基づく有機体的な自然観
人間による意識的な形成の類比としての自然
古代の医者による健康法と食餌法
食餌法による哲学的な医学と経験的な医学の統合
「食餌法について」の前4世紀における成立
アカデメイアの「食餌法について」への影響
「食餌法について」とディオクレスの文体
「適切さ」に基づく食餌法の詳細
健康な人間の理想としてのパイデイア
ソクラテス
ソクラテス像の変化と彼に帰された様々な役割
ニーチェによるソクラテス批判
近年におけるソクラテス像の動揺
ソクラテスという問題
ソクラテスに関する豊かな伝承とその不一致
プラトンとクセノポンのソクラテス像
アリストテレスのソクラテス像
ソクラテス自身の曖昧な本質
教育者としてのソクラテス
ソクラテスが登場した時代的・人物的な背景
ソクラテスによる自然哲学との取り組み
人間の生の事実への冷静な方向付け
人間を吟味する対話の舞台としての体育場(ギュムナシオン)と饗宴
自らの行為としての「哲学」と「哲学すること」
警告と吟味という二つの主要形式,魂の配慮
ソクラテスが魂に付与した精神的・人倫的な価値
ソクラテスによる説教のギリシア的な起源
人倫的な人間存在と自然的な世界の秩序の共鳴
人間が持つ内面的な価値に基礎付けられた生(ビオス)
精神的な教養と人倫的な教養の関連の再建
自らの精神に基づいた他人の教育
政治的・倫理的な問題圏からの軍事的な事柄の討議
古えのアレテーや先祖のパイデイアの称賛
あらゆる徳の基礎としての自己支配(エグクラテイア)
宇宙(コスモス)的な法則と関連したソクラテスの自足
人間が生産的に結び付く本来の形式としての友情
教育者としてのあり方に対する皮肉な態度
人間共同体や個人が有機体的に構築されたポリス
正しい行為に達するロゴスの方法としての対話
個々のアレテーよりも包括的な善の知識
知りつつ意志的に行う不法行為の否定
意識的に意欲された最終の状態としての生
権力を行使する国家と哲学者の闘争
人間自身の永遠の故郷としての理想国家の成立
自らのポリスへ捧げられた神への奉仕
時代の境界点に立つ無二の現象ソクラテス
歴史の中のプラトン像
シュライエルマッハーに至るプラトン研究
文献学的な研究,新カント主義による方法への注目
プラトンの書簡の真作性,人生と作品の不可分性
哲学一般を後期古代最大の教育力へ高めたプラトン
プラトンによるソクラテスの小対話篇:哲学的な問題としてのアレテー
戯曲形式からなり哲学的な内容を欠く作品群
形式による事柄の本質の直接的な啓示
徳と「魂の配慮」を勧める偉大な警告者ソクラテス
小対話篇の『国家』の思考圏への有機体的な関連
小対話篇に認められる後の作品の萌芽
最善国家の実現へ向けられたプラトンの努力
哲学者支配の理想と小対話篇の成立時期の重なり
小対話篇における論理的な操作の前提への関心
問答法に基づく認識行程の本質としての総観
徳と知識に関する問題の前提としての小対話篇
プラトンの『プロタゴラス』:ソフィスト的あるいはソクラテス的なパイデイア?
教育をめぐるソフィストとソクラテスの対立
知識を詰め込むソフィストと魂の医者ソクラテス
若者の形成に専門的に献身する人間階級の台頭
ソフィストの教育の本質と目的への問い
政治的な技術の教育可能性を自負するソフィスト
徳は知識であるというソクラテスの主張
ソクラテスの問答法の総観的な性格
行為に基準を与える認識としての測量術
人間の教育の基礎としての真の価値に関する認識
ソクラテスによる知識概念の本質への問い
プラトンの『ゴルギアス』:真の政治家としての教育者
『プロタゴラス』と『ゴルギアス』の並行関係
弁論・修辞術の濫用とその擁護
弁論・修辞術が技術(テクネー)であることの否定
弁論・修辞術の価値評価をめぐる争い
暴力の哲学と教育の哲学の対立
政治的な生に基づく,教養の異常発育への敵意
弱者が作った法律と強者が基づく自然の対立
カリクレスによる弁論・修辞術の弁護
快楽としての善に対するソクラテスの批判
最も正確な尺度としての善
弁論・修辞術的な生の理想と哲学的な生活形式
人間の正しい行為に関するあらゆる思慮の基礎
政治的な指導者の必要と政治の技術性への問い
アテナイの民衆を良くするための彼らとの戦い
『ゴルギアス』における生の新しい価値評価
宗教的な想像力が死後の第二の生に置く審判
教育の根本問題としての最高の規範への問い
既存の体制の急進的な否定と最善国家の構築
政治的な技術(テクネー)という意味での知識の概念の把握
プラトンの『メノン』:知識の新しい概念
ソクラテスによるアレテーそれ自体
問答法による運動の目標としてのイデア
イデアの中に含まれた論理概念
例(パラデイグマタ)による論理的な過程の解明
方法の模範としての数学
学習と理解の本来の源泉としてのアポリア
知識の探究からアレテーの本質規定へ
アレテーが生得かつ教授できることの発見
神的な世界へ通じる道標としての知識
プラトンの『饗宴』:エロス
共同体の出発点としての友情(フィリア)や最高善
エロスという問題の適切な枠としての饗宴
エロスとパイデイアの婚姻という根本思想
エロスの政治的な解釈――パイドロス
エロスの歴史的な比較――パウサニアス
調和の原理としてのエロス――エリュクシマコス
アリストパネス,アガトンの弁論
エロスと哲学の架橋――ソクラテス
教養への衝動と自愛(フィラウティア)としてのエロス
身体的な種を自己保存する努力としてのエロス
教育者たらんとする起動力としてのエロス
人間の意欲と行為の最高原理としての善美(カロカガティア)
内的な美という価値へ抱く新しい感情
プラトンの『国家』
導入
国家の彫塑的・直観的な像を描く『国家』
プラトンの焦点としての国家とパイデイア
正義という問題からの,最善国家という理念の起源
政治上の徳たる正義から出発する国家論
強者の正義としての自然主義に対する批判
人間の一種の内的な健康としての正義
古いパイデイアの改革
保守的な感覚に基づく概念上の急進主義
芸術的な教養に対する批判
人間的な神々が品位を欠くことへの批判
相対的に優れた教養の手段としての文芸
文芸から将来追放されるべき「諸類型」
削除や改作を通した文芸の伝承
文芸が備える規範的な力への固執
最善国家において守護者に許される芸術
文芸に対する批判と音楽理論との関わり
音楽教育の共通原理としての倫理(エートス)
哲学的な認識の前段階としての芸術教育
体育と医学への批判
教育の目的としての司法や医学の軽視
体育と音楽の目的としての魂の形成
正義の国家における教育の立場
最高の教育者としての支配者
絶対的な規範に基づく良い教育の維持
立法を不要とする模範としてのスパルタ
魂と国家における諸部分の共同作業
徳の病理学と生理学の教育哲学への結合
女性と子供の教育
守護者階級へ制限された女性と子供の共同体
男女両性の文化の完全な統一
人種の選抜と最善者の教育
人種の継承に関するプラトン以前の考え
最善の男女の結婚による市民の質の改善
都市国家としての最善国家
戦士の教育と戦時法の改革
芸術と体育による,守護者の戦士への教育
戦争の見学による性格(エートス)の形成,戦争倫理
ギリシア人,夷狄への異なる戦争の規定
プラトンの国家――哲学的な人間が「生きる場所」
人間形成の問題としての国家の形成
真の権力への道としての哲学
範例(パラデイグマ)を魂の中に担う哲学者
国家の中で支配すべき絶対的な真理
政治的な操舵術を弁える哲学者(フィロソフォス)
堕落に脅かされた哲学的な本性の持ち主
神の奇跡による真のパイデイアの成立
堕落から逃れた哲学的な本性の持ち主
精神的な人格性による新しい共同体
哲学者が展開する共同体としての最善国家
探究と実践の間にあるプラトンの人文主義
支配者のパイデイア
他のパイデイアに先行する哲学的な教養
「回り道」の目的としての善の認識
太陽の支配と善のイデアの支配との類似
善のイデアから万物の尺度たる神へ
支配者を教育する中心としての善のイデア
太陽の比喩――ロゴスからイデアへ
洞窟の比喩――太陽の比喩の具象化
太陽の比喩,洞窟の比喩とパイデイア
イデアの認識から哲学者の支配へ
神学政治論としての『国家』
純粋な理念と実践との関係付け
数学の研究
魂を存在へ向け変える手段としての数学
ピュタゴラス派の数学理解への批判
新しい立体幾何学の数学授業への導入
プラトン周辺の数学者と彼との関わり
経験的な知識の教養からの排除
問答法による教養
数学と哲学的な認識の間に位置する問答法
問答法による真の支配者への教育
支配者を選抜するプログラムとその内容
パイデイアと15年間にわたる問答法の教育
遊戯(パイディア)を文化(パイデイア)のために利用する試み
問答法を会得した人による最善国家の実現
人間の魂の病理学としての国家の形態論
規範としての自然に基づく国家論
人間類型の倫理(エートス)に基づく国制の精神
集団での内戦による国制の変革
寡頭制的なスパルタの人間類型
人間の魂の病理学への還元による国制分析
スパルタ国家の金銭支配への展開
名誉支配制的な人間から寡頭制的な人間への移行
寡頭制国家から民主制国家への移行
同時代のアテナイ民主制の否定的な描写
民主制的な人間の心の有様
民主制から僭主制への移行
僭主制的な人間の心の有様
進行性の堕落による国制と人間類型の変化
奴隷的な形式としての僭主の魂
我々の中の国家
人間の幸福の唯一の源泉としての人格
人間の種類と生の基本形式
真の存在に基づく快楽の計算
イデアの世界に存在する理想国家
純粋な権力国家と「魂の中の国家」の対立
文芸の教育的な価値
哲学と文芸の間の最終的な決戦
見かけの世界を創造する文芸に対する批判
文芸の倫理(エートス)とプラトン哲学の対立
最善国家に達する前段階としての文芸
パイデイアと終末論
永遠という枠における魂の存在の考察
神を前にした自らの名声
彼岸での生活形式の選択
価値ある知識としての選択の知識
訳者あとがき
索引
前4世紀
アテナイの敗北と精神面での再建
パイデイアの古典的な時代としての前4世紀
文芸の没落と散文の台頭
パイデイアによる世界の精神的な征服
パイデイアとしてのギリシアの医術
ギリシアの指導的な文化力としての医学
イオニア自然哲学の医学への影響
自然哲学と医学の相互浸透
ヒポクラテス文献学の状況
専門的な著作と世間一般を対象とする著作の区別
医者と医学の教養がある人の相違
専門家と素人の間での教養人という領域の成立
自立的な技術としての医学の自然哲学との戦い
個別的な事実の正確な観察
経験に基づく類型や様態への一般化
魂や身体という自然的な構造の中の規範的な原理
医学から借用された倫理的な態度を表す言葉
内在的な合法則性に基づく有機体的な自然観
人間による意識的な形成の類比としての自然
古代の医者による健康法と食餌法
食餌法による哲学的な医学と経験的な医学の統合
「食餌法について」の前4世紀における成立
アカデメイアの「食餌法について」への影響
「食餌法について」とディオクレスの文体
「適切さ」に基づく食餌法の詳細
健康な人間の理想としてのパイデイア
ソクラテス
ソクラテス像の変化と彼に帰された様々な役割
ニーチェによるソクラテス批判
近年におけるソクラテス像の動揺
ソクラテスという問題
ソクラテスに関する豊かな伝承とその不一致
プラトンとクセノポンのソクラテス像
アリストテレスのソクラテス像
ソクラテス自身の曖昧な本質
教育者としてのソクラテス
ソクラテスが登場した時代的・人物的な背景
ソクラテスによる自然哲学との取り組み
人間の生の事実への冷静な方向付け
人間を吟味する対話の舞台としての体育場(ギュムナシオン)と饗宴
自らの行為としての「哲学」と「哲学すること」
警告と吟味という二つの主要形式,魂の配慮
ソクラテスが魂に付与した精神的・人倫的な価値
ソクラテスによる説教のギリシア的な起源
人倫的な人間存在と自然的な世界の秩序の共鳴
人間が持つ内面的な価値に基礎付けられた生(ビオス)
精神的な教養と人倫的な教養の関連の再建
自らの精神に基づいた他人の教育
政治的・倫理的な問題圏からの軍事的な事柄の討議
古えのアレテーや先祖のパイデイアの称賛
あらゆる徳の基礎としての自己支配(エグクラテイア)
宇宙(コスモス)的な法則と関連したソクラテスの自足
人間が生産的に結び付く本来の形式としての友情
教育者としてのあり方に対する皮肉な態度
人間共同体や個人が有機体的に構築されたポリス
正しい行為に達するロゴスの方法としての対話
個々のアレテーよりも包括的な善の知識
知りつつ意志的に行う不法行為の否定
意識的に意欲された最終の状態としての生
権力を行使する国家と哲学者の闘争
人間自身の永遠の故郷としての理想国家の成立
自らのポリスへ捧げられた神への奉仕
時代の境界点に立つ無二の現象ソクラテス
歴史の中のプラトン像
シュライエルマッハーに至るプラトン研究
文献学的な研究,新カント主義による方法への注目
プラトンの書簡の真作性,人生と作品の不可分性
哲学一般を後期古代最大の教育力へ高めたプラトン
プラトンによるソクラテスの小対話篇:哲学的な問題としてのアレテー
戯曲形式からなり哲学的な内容を欠く作品群
形式による事柄の本質の直接的な啓示
徳と「魂の配慮」を勧める偉大な警告者ソクラテス
小対話篇の『国家』の思考圏への有機体的な関連
小対話篇に認められる後の作品の萌芽
最善国家の実現へ向けられたプラトンの努力
哲学者支配の理想と小対話篇の成立時期の重なり
小対話篇における論理的な操作の前提への関心
問答法に基づく認識行程の本質としての総観
徳と知識に関する問題の前提としての小対話篇
プラトンの『プロタゴラス』:ソフィスト的あるいはソクラテス的なパイデイア?
教育をめぐるソフィストとソクラテスの対立
知識を詰め込むソフィストと魂の医者ソクラテス
若者の形成に専門的に献身する人間階級の台頭
ソフィストの教育の本質と目的への問い
政治的な技術の教育可能性を自負するソフィスト
徳は知識であるというソクラテスの主張
ソクラテスの問答法の総観的な性格
行為に基準を与える認識としての測量術
人間の教育の基礎としての真の価値に関する認識
ソクラテスによる知識概念の本質への問い
プラトンの『ゴルギアス』:真の政治家としての教育者
『プロタゴラス』と『ゴルギアス』の並行関係
弁論・修辞術の濫用とその擁護
弁論・修辞術が技術(テクネー)であることの否定
弁論・修辞術の価値評価をめぐる争い
暴力の哲学と教育の哲学の対立
政治的な生に基づく,教養の異常発育への敵意
弱者が作った法律と強者が基づく自然の対立
カリクレスによる弁論・修辞術の弁護
快楽としての善に対するソクラテスの批判
最も正確な尺度としての善
弁論・修辞術的な生の理想と哲学的な生活形式
人間の正しい行為に関するあらゆる思慮の基礎
政治的な指導者の必要と政治の技術性への問い
アテナイの民衆を良くするための彼らとの戦い
『ゴルギアス』における生の新しい価値評価
宗教的な想像力が死後の第二の生に置く審判
教育の根本問題としての最高の規範への問い
既存の体制の急進的な否定と最善国家の構築
政治的な技術(テクネー)という意味での知識の概念の把握
プラトンの『メノン』:知識の新しい概念
ソクラテスによるアレテーそれ自体
問答法による運動の目標としてのイデア
イデアの中に含まれた論理概念
例(パラデイグマタ)による論理的な過程の解明
方法の模範としての数学
学習と理解の本来の源泉としてのアポリア
知識の探究からアレテーの本質規定へ
アレテーが生得かつ教授できることの発見
神的な世界へ通じる道標としての知識
プラトンの『饗宴』:エロス
共同体の出発点としての友情(フィリア)や最高善
エロスという問題の適切な枠としての饗宴
エロスとパイデイアの婚姻という根本思想
エロスの政治的な解釈――パイドロス
エロスの歴史的な比較――パウサニアス
調和の原理としてのエロス――エリュクシマコス
アリストパネス,アガトンの弁論
エロスと哲学の架橋――ソクラテス
教養への衝動と自愛(フィラウティア)としてのエロス
身体的な種を自己保存する努力としてのエロス
教育者たらんとする起動力としてのエロス
人間の意欲と行為の最高原理としての善美(カロカガティア)
内的な美という価値へ抱く新しい感情
プラトンの『国家』
導入
国家の彫塑的・直観的な像を描く『国家』
プラトンの焦点としての国家とパイデイア
正義という問題からの,最善国家という理念の起源
政治上の徳たる正義から出発する国家論
強者の正義としての自然主義に対する批判
人間の一種の内的な健康としての正義
古いパイデイアの改革
保守的な感覚に基づく概念上の急進主義
芸術的な教養に対する批判
人間的な神々が品位を欠くことへの批判
相対的に優れた教養の手段としての文芸
文芸から将来追放されるべき「諸類型」
削除や改作を通した文芸の伝承
文芸が備える規範的な力への固執
最善国家において守護者に許される芸術
文芸に対する批判と音楽理論との関わり
音楽教育の共通原理としての倫理(エートス)
哲学的な認識の前段階としての芸術教育
体育と医学への批判
教育の目的としての司法や医学の軽視
体育と音楽の目的としての魂の形成
正義の国家における教育の立場
最高の教育者としての支配者
絶対的な規範に基づく良い教育の維持
立法を不要とする模範としてのスパルタ
魂と国家における諸部分の共同作業
徳の病理学と生理学の教育哲学への結合
女性と子供の教育
守護者階級へ制限された女性と子供の共同体
男女両性の文化の完全な統一
人種の選抜と最善者の教育
人種の継承に関するプラトン以前の考え
最善の男女の結婚による市民の質の改善
都市国家としての最善国家
戦士の教育と戦時法の改革
芸術と体育による,守護者の戦士への教育
戦争の見学による性格(エートス)の形成,戦争倫理
ギリシア人,夷狄への異なる戦争の規定
プラトンの国家――哲学的な人間が「生きる場所」
人間形成の問題としての国家の形成
真の権力への道としての哲学
範例(パラデイグマ)を魂の中に担う哲学者
国家の中で支配すべき絶対的な真理
政治的な操舵術を弁える哲学者(フィロソフォス)
堕落に脅かされた哲学的な本性の持ち主
神の奇跡による真のパイデイアの成立
堕落から逃れた哲学的な本性の持ち主
精神的な人格性による新しい共同体
哲学者が展開する共同体としての最善国家
探究と実践の間にあるプラトンの人文主義
支配者のパイデイア
他のパイデイアに先行する哲学的な教養
「回り道」の目的としての善の認識
太陽の支配と善のイデアの支配との類似
善のイデアから万物の尺度たる神へ
支配者を教育する中心としての善のイデア
太陽の比喩――ロゴスからイデアへ
洞窟の比喩――太陽の比喩の具象化
太陽の比喩,洞窟の比喩とパイデイア
イデアの認識から哲学者の支配へ
神学政治論としての『国家』
純粋な理念と実践との関係付け
数学の研究
魂を存在へ向け変える手段としての数学
ピュタゴラス派の数学理解への批判
新しい立体幾何学の数学授業への導入
プラトン周辺の数学者と彼との関わり
経験的な知識の教養からの排除
問答法による教養
数学と哲学的な認識の間に位置する問答法
問答法による真の支配者への教育
支配者を選抜するプログラムとその内容
パイデイアと15年間にわたる問答法の教育
遊戯(パイディア)を文化(パイデイア)のために利用する試み
問答法を会得した人による最善国家の実現
人間の魂の病理学としての国家の形態論
規範としての自然に基づく国家論
人間類型の倫理(エートス)に基づく国制の精神
集団での内戦による国制の変革
寡頭制的なスパルタの人間類型
人間の魂の病理学への還元による国制分析
スパルタ国家の金銭支配への展開
名誉支配制的な人間から寡頭制的な人間への移行
寡頭制国家から民主制国家への移行
同時代のアテナイ民主制の否定的な描写
民主制的な人間の心の有様
民主制から僭主制への移行
僭主制的な人間の心の有様
進行性の堕落による国制と人間類型の変化
奴隷的な形式としての僭主の魂
我々の中の国家
人間の幸福の唯一の源泉としての人格
人間の種類と生の基本形式
真の存在に基づく快楽の計算
イデアの世界に存在する理想国家
純粋な権力国家と「魂の中の国家」の対立
文芸の教育的な価値
哲学と文芸の間の最終的な決戦
見かけの世界を創造する文芸に対する批判
文芸の倫理(エートス)とプラトン哲学の対立
最善国家に達する前段階としての文芸
パイデイアと終末論
永遠という枠における魂の存在の考察
神を前にした自らの名声
彼岸での生活形式の選択
価値ある知識としての選択の知識
訳者あとがき
索引
内容説明
ギリシア人の教養と理想的な人間像が相互に作用しつつ形成される経緯を描いた,イェーガーの古典的名著『パイデイア Ⅰ―Ⅲ』(1934-47)を訳出した待望の書。
本冊では第Ⅲ部「偉大な教育者と教育体系の時代」の前半,プラトンの教育哲学を主に扱う。教育の核心とは何か。哲学の目的とは何か。果たして徳は教えられるのか。初期対話篇から『国家』に至る議論の展開を探究する。
19世紀中期以降,科学技術の進歩,ナショナリズムや労働運動の高まりにより,陶冶の手段としての古典語の価値が揺らいだ。その中で著者は,人文主義を擁護するため,ギリシア古典古代の教育上の意義を,「政治的な人間の形成」という統一的なプログラムとして「第三の人文主義」の立場から解明する。
教育とは個人の事柄ではなく共同体の事柄である。個々の成員によって性格付けられた共同体は,政治的人間にとってあらゆる行為と態度の源泉である。共同体が成員に与える影響は,新たに生まれる個人を共同体の意向に沿う教育によって意識的に形成する努力の中にこそあった。
パイデイアとは子供の教育,後に教育一般,教養,文化などを意味した。ギリシアにおける教養の本質を知ることは,現在の教育上の知識と意欲にとって不可欠の基礎となろう。
本冊では第Ⅲ部「偉大な教育者と教育体系の時代」の前半,プラトンの教育哲学を主に扱う。教育の核心とは何か。哲学の目的とは何か。果たして徳は教えられるのか。初期対話篇から『国家』に至る議論の展開を探究する。
19世紀中期以降,科学技術の進歩,ナショナリズムや労働運動の高まりにより,陶冶の手段としての古典語の価値が揺らいだ。その中で著者は,人文主義を擁護するため,ギリシア古典古代の教育上の意義を,「政治的な人間の形成」という統一的なプログラムとして「第三の人文主義」の立場から解明する。
教育とは個人の事柄ではなく共同体の事柄である。個々の成員によって性格付けられた共同体は,政治的人間にとってあらゆる行為と態度の源泉である。共同体が成員に与える影響は,新たに生まれる個人を共同体の意向に沿う教育によって意識的に形成する努力の中にこそあった。
パイデイアとは子供の教育,後に教育一般,教養,文化などを意味した。ギリシアにおける教養の本質を知ることは,現在の教育上の知識と意欲にとって不可欠の基礎となろう。
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