ホーム > 人文主義と国民形成
内容説明
19世紀のドイツでは古典語教育・古典研究をとおして人間形成と国民形成が同時に追求された。このような古典と近代形成との密接な関連および特徴を,人文主義が文化・政治・宗教と関わりながら歴史的に変容してきた経緯を通じて初めて本格的に考察した画期的業績。
ルネサンスと宗教改革運動とは16世紀以来,複雑な緊張関係のなかで近代社会の誕生に多大な影響を与えてきた。著者はそのような歴史環境を背景に,人文主義が敬虔主義や啓蒙主義,さらには隣接思潮である実科主義やロマン主義などとどのように関わったかを考察することにより,人文主義が近代的個人や国民意識の形成に果たした役割を明らかにする。とくに19世紀後半にモムゼンとニーチェにより展開された古典研究の相違や意義を分析し,そこにドイツの国民形成からヨーロッパ共同体へ発展する筋道があることをも明らかにする。
今日,中東や旧ソ連邦,さらにEUに象徴されるように,新たな国民国家の形成や再編,国家を超えた共同体の形成などが各地域で模索されている。国民国家やトランス・ナショナルな共同体を根拠づける共通の文化的伝統や,その伝統の発掘・継承に携わる研究・教育の役割と限界を考える読者にとっても必読文献となろう。
ルネサンスと宗教改革運動とは16世紀以来,複雑な緊張関係のなかで近代社会の誕生に多大な影響を与えてきた。著者はそのような歴史環境を背景に,人文主義が敬虔主義や啓蒙主義,さらには隣接思潮である実科主義やロマン主義などとどのように関わったかを考察することにより,人文主義が近代的個人や国民意識の形成に果たした役割を明らかにする。とくに19世紀後半にモムゼンとニーチェにより展開された古典研究の相違や意義を分析し,そこにドイツの国民形成からヨーロッパ共同体へ発展する筋道があることをも明らかにする。
今日,中東や旧ソ連邦,さらにEUに象徴されるように,新たな国民国家の形成や再編,国家を超えた共同体の形成などが各地域で模索されている。国民国家やトランス・ナショナルな共同体を根拠づける共通の文化的伝統や,その伝統の発掘・継承に携わる研究・教育の役割と限界を考える読者にとっても必読文献となろう。