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「学問の府」の起源

知のネットワークと「大学」の形成

「学問の府」の起源
著者 安原 義仁
ロイ・ロウ
ジャンル 歴史
教育学
出版年月日 2018/07/30
ISBN 9784862852786
判型・ページ数 A5・370ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

献辞
謝辞
まえがき

序章
 知の探求への問い
 「学問の府」の設立を導いた背景・状況
 知識の探求と「学問の府」設立の意図・動機
 探求された知識
 知識の伝播・移転
 三つの問題

第1章 ティグリス川からティベル川へ――知のネットワークと「学問の府」の始まり
 砂に埋もれた痕跡
 古代ギリシア世界における知の探求
 「学問のコスモポリス」アレクサンドリア
 古代ローマの学芸と図書館
 ビザンティン世界の動向

第2章 インダス川からガンジス川へ――古代インドの「学問の府」
 古代インドの文明と知の探求
 学都タクシラ
 旅人たちの見た古代インド社会
 ナーランダの僧院
 仏教僧院のネットワーク
 アジア諸国との知の交流
 世俗学問への貢献
 仏教の衰退と新時代の始まり

第3章 黄河に沿って――古代中国の「学問の府」
 周王朝の社会と文化
 諸子百家の出現
 孔子と儒家の思想
 斉の稷下学宮
 秦による中国統一と法家の思想
 漢における儒学の国教化と五経博士の設置
 太学の創設
 他文化圏との知的交流
 科挙の始まりとその影響
 科学・技術の発展

第4章 朝鮮,日本,ベトナムの「学問の府」
 冊封体制と東アジア文化圏
 中華文明の朝鮮への伝播
 古代日本の「学問の府」
 中華文明のベトナムへの伝播

第5章 イスラーム学術の到来
 中東地域の王朝と学問
 ジュンディー=シャープール
 イスラーム帝国の発展
 知恵の館
 シリア・ヘレニズム――ペルシアの影響

第6章 イスラーム学術の黄金時代
 イスラーム世界の知の形態
 マドラサ
 イスラーム帝国の拡大と「学問の府」の展開
 旅する学徒・学問の旅

第7章 イスラーム学術の西方移転
 北アフリカ
 コルドバ
 アンダルスの学者・知識人
 シチリアと南イタリア
 新翻訳運動

第8章 沈滞の中世ヨーロッパ?
 知的活動の拠点としての修道院
 カール大帝の文教政策とカロリング・ルネサンス
 修道院から司教座聖堂学校へ
 大学の誕生――その性格と特質

終章 知のネットワークと「学問の府」の起源
 「学問の府」誕生の背景と条件
 「学問の府」設立の動機・目的と探求された知識
 知識の伝播・移転と翻訳運動
 学問の専門分化と知の探求に対する姿勢・態度
 メリトクラシーの原理と幻想

参考文献
索引

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内容説明

現代は高度情報化や知識基盤型社会など,知識や情報に特徴づけられている。特に大学は国家・社会における知的活動の拠点,高度な専門知識をもつ人材の養成場として教育体系・教育制度の頂点にあり,その活動の成果が国家・社会の帰趨を左右する。大学は中世ヨーロッパ社会に誕生した教師や学生の組合・団体に由来し,現在では世界でこの制度が導入され,最先端の研究成果や人材育成を競っている。また大学に関しては2世紀以上にわたり多くの研究がなされてきた。

しかし人類はいつ,どこで,どのように知の探求を始めたのか。体系的な知の探求が行われた「学問の府」にはどのようなものがあったのか。古代・中世文明圏に存在した「学問の府」相互間の接触や交流と伝播はどのようなものだったのか。

本書は大学誕生以前の各地域における古代中世の学問知の起源と知識の探究・移転に関する足跡に,日英の研究者が挑んだ世界初の画期的な試みである。

メソポタミア文明からギリシア,ローマ,ビザンティンなど地中海世界への展開をはじめ,古代インドとりわけ仏教のアジアへの伝播,また古代中国の周王朝や諸子百家を背景とした太学や科挙の役割,さらに朝鮮,日本,ベトナムへの中華文明の展開,7世紀からのイスラム学術の展開と西欧への伝播など,読者は広域的な学問を前に新たな知の可能性を見出すだろう。

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