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目次
はじめに
第一章 《学問の共和国》とは何か
1 《学問の共和国》の起源
2 語義,定義,記述
A アカデミーあるいは大学
B 文人と学問
C 特殊な種類の国家
3 《学問の共和国》の構成
A 遅まきの登場
B 政治的表現
C 主要な特徴
第二章 《学問の共和国》の時間
1 「前史」(中世から16世紀まで)
2 基礎づくりの時代(16世紀前半)
A 一般的背景
B 主要な貢献――エラスムス
3 《学問の共和国》の黄金時代(16世紀後半―18世紀前半)
A 学者の共同体の構築
B 共和国内部における分節と変化
4 《学問の共和国》の内部破裂――ヴォルテールからフランス革命まで
A 新たな正当化と過去へのノスタルジア
B 亀裂と葛藤
C 啓蒙の影響
第三章 《学問の共和国》の空間
1 普遍的空間
A いくつかの引用
B 普遍性と地方主義
C 普遍性とコスモポリティスム
D 普遍的なものを考える
E 普遍的なものを生きる
2 ヒエラルキー化された空間
A 《学問の共和国》すなわち西欧
B 不均質的な空間
C 中央と周辺
D 空間のヒエラルキーと気候の理論
3 変動する空間
A 歴史地理学の試み
B 変動の理由
第四章 《学問の共和国》の市民
1 アイデンティティ
A 学者,著述家,職人
B 民主制と貴族制
C 特別な種類の市民
D 計量化の試み
2 《学問の共和国》の社会学
A 社会的環境
B 資産と職
3 《学問の共和国》の倫理
A キリスト教的学者
B 学者と「礼儀正しさの文明」
C 衒学者と香具師
第五章 《学問の共和国》の力学
1 原則 コミュニケーション
A 定義と争点
B コミュニケーションの真の障害・偽の障害
2 交流のシステム
A 交流の対象
B 交流の様式
C 交流の場
第六章 《学問の共和国》の作品
1 学術書
A 「グーテンベルクの銀河系」の周辺
B 大型判の優位
C ラテン語の根づよい存続
D 著述家兼印刷屋・書物商
2 学問的ジャンル
A 再使用と脚色
B 研究の手段
C 独創的な形態
む す び
参考文献/索引/地図と図表
第一章 《学問の共和国》とは何か
1 《学問の共和国》の起源
2 語義,定義,記述
A アカデミーあるいは大学
B 文人と学問
C 特殊な種類の国家
3 《学問の共和国》の構成
A 遅まきの登場
B 政治的表現
C 主要な特徴
第二章 《学問の共和国》の時間
1 「前史」(中世から16世紀まで)
2 基礎づくりの時代(16世紀前半)
A 一般的背景
B 主要な貢献――エラスムス
3 《学問の共和国》の黄金時代(16世紀後半―18世紀前半)
A 学者の共同体の構築
B 共和国内部における分節と変化
4 《学問の共和国》の内部破裂――ヴォルテールからフランス革命まで
A 新たな正当化と過去へのノスタルジア
B 亀裂と葛藤
C 啓蒙の影響
第三章 《学問の共和国》の空間
1 普遍的空間
A いくつかの引用
B 普遍性と地方主義
C 普遍性とコスモポリティスム
D 普遍的なものを考える
E 普遍的なものを生きる
2 ヒエラルキー化された空間
A 《学問の共和国》すなわち西欧
B 不均質的な空間
C 中央と周辺
D 空間のヒエラルキーと気候の理論
3 変動する空間
A 歴史地理学の試み
B 変動の理由
第四章 《学問の共和国》の市民
1 アイデンティティ
A 学者,著述家,職人
B 民主制と貴族制
C 特別な種類の市民
D 計量化の試み
2 《学問の共和国》の社会学
A 社会的環境
B 資産と職
3 《学問の共和国》の倫理
A キリスト教的学者
B 学者と「礼儀正しさの文明」
C 衒学者と香具師
第五章 《学問の共和国》の力学
1 原則 コミュニケーション
A 定義と争点
B コミュニケーションの真の障害・偽の障害
2 交流のシステム
A 交流の対象
B 交流の様式
C 交流の場
第六章 《学問の共和国》の作品
1 学術書
A 「グーテンベルクの銀河系」の周辺
B 大型判の優位
C ラテン語の根づよい存続
D 著述家兼印刷屋・書物商
2 学問的ジャンル
A 再使用と脚色
B 研究の手段
C 独創的な形態
む す び
参考文献/索引/地図と図表
内容説明
《学問の共和国》とは,ルネサンスから啓蒙期にかけて,学識教養人が政治的・宗教的国境を越えて独自の国家を建設しようと作り上げた共同体である。これは西欧近世の知性史にとって極めて重要な現象だったがあまり知られていない。16~18世紀に渡る3世紀間の,知への信仰に根ざすこの連帯意識の意義を考察する。
《学問の共和国》の領土はどのようなもので,どこまで拡張し,どのような秩序をもっていたのかを分析。指標ともいうべきエラスムスからヴォルテールまで確かに実在したその観念と現実,そしてその知の世界の交流システムを生み出した思想的動因を明らかにしつつ,《学問の共和国》の市民が,多様な個人の運命を越えて,いくつかの価値とイメージにより自らを認識していく姿を具体例に即して解明する。
学者たちのユートピアと現実との不断の緊張の中で,《学問の共和国》は決して実現されないが,常に実現される可能性のある大いなる夢であり,この夢はそれまで知られていなかった力,団結力,一体性を精神の世界に与えた。学者たちの普遍的共同体として近世に生まれたこの自覚を無視して,ヨーロッパ研究はありえず,「知識人」も存在しなかった。世界が一体化する今,新たな《学問の共和国》が要請されている。
《学問の共和国》の領土はどのようなもので,どこまで拡張し,どのような秩序をもっていたのかを分析。指標ともいうべきエラスムスからヴォルテールまで確かに実在したその観念と現実,そしてその知の世界の交流システムを生み出した思想的動因を明らかにしつつ,《学問の共和国》の市民が,多様な個人の運命を越えて,いくつかの価値とイメージにより自らを認識していく姿を具体例に即して解明する。
学者たちのユートピアと現実との不断の緊張の中で,《学問の共和国》は決して実現されないが,常に実現される可能性のある大いなる夢であり,この夢はそれまで知られていなかった力,団結力,一体性を精神の世界に与えた。学者たちの普遍的共同体として近世に生まれたこの自覚を無視して,ヨーロッパ研究はありえず,「知識人」も存在しなかった。世界が一体化する今,新たな《学問の共和国》が要請されている。