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清末民初書画碑帖収蔵研究  新刊

清末民初書画碑帖収蔵研究
著者 下田 章平
ジャンル 東洋学
芸術
出版年月日 2023/12/15
ISBN 9784862853950
判型・ページ数 A5・584ページ
定価 本体8,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

口絵(完顔景賢の肖像写真)

序章
 一 近代書画碑帖収蔵史研究序説
  (1) 学問上の位置づけ
  (2) 研究分野とその展開
  (3) 研究上の課題と今後の研究のあり方
  (4) 時期区分
  (5) 研究の意義
 二 本研究の目的と構成
 三 本研究の方法


第一部 完顔景賢の収蔵

第一章 完顔景賢と『三虞堂書画目』
 はじめに
 一 同書の書誌について
 二 同書の原本及び編纂から刊行までの経緯
 三 同書の資料的価値について
 おわりに

第二章 第一期の収蔵
 はじめに
 一 第一期の完顔景賢の動向
 二 第一期の収蔵の経緯
 三 第一期のコレクション散佚の経緯
 四 第一期の収蔵の背景
 おわりに

第三章 第二期の収蔵
 はじめに
 一 入幕以前における完顔景賢の収蔵
 二 入幕以後における完顔景賢の収蔵
 三 入幕前後の特定が困難な第二期のコレクション
 四 第二期のコレクション散佚の経緯
 五 第二期の収蔵の特色
  (1) 入幕以前の特色
  (2) 入幕以後の特色
  (3) 第二期全体にわたる特色
 おわりに

第四章 第三期の収蔵
はじめに
 一 第三期の収蔵の経緯
  (1) 盛昱旧蔵品
  (2) 端方旧蔵品
 二 第三期のコレクション散逸の経緯
  (1) アメリカへの流出
  (2) 日本への流出
  (3) 中国国内の収蔵家への売却
 三 第三期の収蔵の特色
 おわりに

第五章 完顔景賢の収蔵の目的
 はじめに
 一 利禄を求める目的
 二 学書の手本に供する目的
 三 アイデンティティを確認し矜恃する目的
 おわりに

附章一 伝梁武帝筆「異趣帖」の伝本系統について
 はじめに
 一 有鄰館本
 二 王氏本
 三 そのほかの諸本
 おわりに

附章二 完顔景賢と大村西崖
 はじめに
 一 完顔景賢に関わる大村西崖宛中国人書簡
 二 書簡に見る完顔景賢と大村西崖の交友
 三 完顔景賢と大村西崖を仲介した人物
  (1) 栗原誠
  (2) 賀嗣章
  (3) 今関天彭
 おわりに


第二部 端方と顔世清の収蔵

第一章 端方の収蔵における近代性――書画碑帖の海外流出の契機
 はじめに
 一 端方コレクションの公開
 二 端方コレクションの図版の出版刊行
 三 端方コレクションの対外情報発信
  (1) ファーガソン(一八六六―一九四五)
  (2) 犬養木堂(一八五五―一九三二)
  (3) ペリオ(一八七八―一九四五)
  (4) フリーア(一八五六―一九一九)
  (5) 内藤湖南らの調査団一行
 四 書画碑帖の保全と海外流出
 おわりに

第二章 民国期の書画碑帖収蔵家――顔世清伝
 はじめに
 一 顔世清の履歴
 二 顔世清の文人としての活動
  (1) 収蔵家としての活動
  (2) 画人としての活動
 おわりに
 附 顔世清の生没年について

第三章 顔世清の来日と中国書画の日本への伝来――顔氏寒木堂書画展覧会を中心として
 はじめに
 一 顔氏寒木堂書画展覧会について
  (1) 顔氏寒木堂書画展覧会の概要
  (2) 展覧会開催の契機と目的
 二 顔氏寒木堂書画展覧会開催の意義
 おわりに

終章
 一 本研究の総括
 二 完顔景賢の収蔵家としての位置づけ
 三 本研究の意義
  (1) 近代書画碑帖収蔵史上の意義
  (2) 中国を中心とする東アジアの書道史と絵画史研究史上の意義
  (3) 周辺諸学への成果の波及
 四 今後の課題

附録 完顔景賢所蔵書画碑帖一覧表

あとがき
初出一覧
謝辞
参考文献
索引

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内容説明

東京国立博物館やわが国の多くの美術館をはじめ,ボストン美術館など,世界各地の美術館には中国書画の名品が収蔵されている。辛亥革命以後,清の帝室や高官の経済的困窮により,それら多くの作品が海外に流出した。
本書は,中国書画コレクションの一ジャンルである書画碑帖(拓本)について清末民初期における収蔵史を,作品に付随する題跋や収蔵印,書簡や日記に至る膨大な資料の渉猟と緻密な調査により,初めて体系的に解明した本格的な研究成果である。
第1部では,清末に活動を始めた収蔵家,完顔景賢が一族伝来のコレクションを継承したのち,激動する時代にあってどのように自身の収蔵活動を展開していったかを,三つの時期に分けて解明する。その上で,アイデンティの矜持など,彼の収蔵目的の独自性を分析する。
第2部では,二人の収蔵家,端方と顔世清に焦点を当て,時代的に近い完顔景賢の特徴を位置づける。まずは清末最大の収蔵家として知られる端方の収蔵活動を考察し,岡倉天心や敦煌文献の収集家ペリオとも交流のあった端方の対外的な情報発信が中国書画の保全に寄与した一面を指摘する。次に,完顔景賢以後の収蔵家である顔世清を取り上げ,犬養毅や徳富蘇峰も来訪した日本における彼のコレクション展覧会の歴史的意義を考察する。
さらに巻末には,100頁に及ぶ詳細な附録「完顔景賢所蔵書画碑帖一覧表」を掲載する。
中国と日本の近現代史に新たな光を照射するとともに,広く書画コレクターに資料を提供する基盤的業績である。

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