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哲学から文献学へ

後期帝政中国における社会と知の変動

哲学から文献学へ
著者 ベンジャミン・A・エルマン
馬淵 昌也
林 文孝
本間 次彦
吉田 純
ジャンル 東洋学
出版年月日 2014/12/25
ISBN 9784862852007
判型・ページ数 A5・484ページ
定価 本体7,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

日本語版への序文/溝口雄三教授に敬意を表して
新版への序文/謝辞/序言/序文/注記/地図

第一章 後期帝政中国における学術の革命
揚子江下流域の学術を巡る文脈
満洲族統治下における政治と学問
道学の解体
第二章 道心・人心の一節をめぐる論争
宋代の注釈 義理の方法
宋代文献学の使用――第一段階
明代の注釈――義理の再肯定
明代における考証学の運用――考証学対義理学
明から清にかけての考証学の影響
第三章 考証学と広範なる認識論的視点の形成
清代考証学の登場
明朝の滅亡の衝撃
「精確さを追求する学問」の衝撃
専門化と精確なる学問
第四章 揚子江下流域における学術の専門化
考証学者の社会的来歴
後期帝政中国における専門職化
官的および半官的な後援
江南学術共同体における書院
士人の役割の変容
第五章 学問・図書館・書籍出版
江南の図書館
江南の印刷
学芸の分類
工具書と考証学
学芸の分類
第六章 江南における学問的コミュニケーションの回路
共有の研究技法――箚記冊子
考証学の言説における資料の利用
共同作業・文通・会合
累積的研究
プライオリティ論争
考証学における進歩
第七章 終局
考証学運動の分裂
太平天国の乱の影響
最後に

訳者解説/注/索引(人名・地名・事項)

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内容説明

経書解釈とは,国家権力をいかに表現しそれを正当化するかに関わり,儒学者と官僚は帝政国家に欠かせない存在である。元朝が宋の儒学者程頤と朱熹の解釈を科挙に採用してから,それは1905年まで続いた。
本書は清朝考証学を,宋明の理学思想から清代古典学への転換という思想的側面と,人的結合や様々な制度・政策,事件などの両面から考察し,17世紀から19世紀に至る考証学の興亡を考察した画期作である。
考証学の生成期に顧炎武や閻若?が行った貢献から,戴震・銭大昕・段玉裁・王念孫・王引之・焦循・阮元らの18・19世紀の文献学を通して,清代文献学の発展と展開を豊富な資料を駆使して解明する。
17・18世紀の江南,とりわけ揚子江下流地帯の学術共同体においてなぜ考証学が栄えたのか。その思想史的側面と社会的・政治的な制度とを総合的に分析するとともに,個々の文献学者と広範な社会的環境の間を媒介し,考証学の運動を支えた個人的・制度的な複雑な関係を考察する。後期帝政期のエリートたちの知的生活に生じた主要な変化と,新しい政治的文化的言説に移行してゆく時期の経書解釈と帝政国家の政治的合法化との関係に光を当て,さらに清代経学の形成における宗族共同体が果たした複合的機能をも解明する。

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