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明治の漢詩人中野逍遙とその周辺

『逍遙遺稿』札記

明治の漢詩人中野逍遙とその周辺
著者 二宮 俊博
ジャンル 文学
出版年月日 2009/05/30
ISBN 9784862850607
判型・ページ数 A5・360ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

緒 言

Ⅰ 才子佳人小説との関わりをめぐって

Ⅱ 秋怨十絶其七について

Ⅲ 故郷の恋人のこと

Ⅳ 狂残痴詩其六について

Ⅴ 鶴鳴いて月の都を思ふかな  子規と逍遙

Ⅵ 張船山のこと  逍遙・子規・鉄幹における船山受容

Ⅶ 高橋白山・月山父子のこと

Ⅷ 落合東郭のこと

Ⅸ シルレルとショオペンハウエルのこと

Ⅹ 張滋昉について(1)

XI 張滋昉について(2)

XII 香奩体の影響について

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内容説明

逍遙中野重太郎は帝国大学文科大学漢学科の第一回生として卒業,引き続き研究科へ進んで四か月余り,明治27年(1894年)に28歳で早逝した。その漢詩文は文学界の知るところではなかったが,没後友人たちの手による『逍遙遺稿』正外二篇が刊行され,その後岩波文庫に収録された。
上州館林出身の実業家の令嬢南条サダにひそかな恋心を燃やした彼は,満腔の情熱を傾け思いの丈を漢詩に託したものの終に報われることなく,憤懣と悲嘆とに満ちた数々の作品を残して病に倒れた。
その詩業は自らの恋愛感情を大胆かつ真率にうたいあげ,同世代の田岡嶺雲や大町桂月らに高く評価され,年若い島崎藤村に大きな衝撃を与えた。『若菜集』に収められた「中野逍遙をいたむ」は未知の先輩に捧げられた藤村の鎮魂歌であった。
伝統的な漢詩には見られないその情熱的で独自な作品群は若き明治の知識人たちに大きな波紋を投げ掛け,それに心酔した人々の青春に刻まれた。
著者は逍遙と係わった人々や作品の背景にある中国古典世界を広く渉猟し,逍遙作品の多面的な諸相を明らかにしつつ,その人と作品に新たな光を投じた。

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