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国王証書とフランス中世

国王証書とフランス中世
著者 渡辺 節夫 訳著
ジャンル 歴史 > ヨーロッパ中世史
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2022/03/10
ISBN 9784862853561
判型・ページ数 新書・664ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はしがき

第Ⅰ章 証書とは何か――定義と諸類型(証書・勅令・令状)
 はじめに
 1 証書の諸形態
 2 勅令,ordonnance
 3 令状,mandement
 小括

第Ⅱ章 証書の和訳と解説

第Ⅲ章 証書から見た王権と封
 はじめに
 1 人的結合国家とレーン制
 2 レーン制的従属関係における物的要素と人的要素
 3 レーン制をめぐる諸問題――証書の分析

第Ⅳ章 ルイ8世関係未刊行証書集成
 Recueil des actes inédits relatifs à Louis VIII (1223-1226)
 Actes relatifs à Louis VIII (supplément) ――ルイ8世関係証書(補遺)
 Actes relatifs aux rapports de Honoré III, Henri III, Frédéric II avec Louis VIII――ホノリウス3世,ヘンリ3世,フリードリヒ2世とルイ8世関係証書

あとがき

付属資料
 参照文献目録
 中世史料分類表
 フランス王に関する年表(1200年頃-1270年頃)
 図1 カペー家の系図
 図2 階層構成模式図
 図3 貴族層の所領編成
 図4 ルイ8世治世年
 図5 教会暦
 図6 “Style”(新・旧)と年表記
 図7 月・日の換算
 図8 国王証書と印璽の一例
 地図 ルイ9世治世末期の諸侯領と都市
 索引

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内容説明

ヨーロッパ文化の基礎が創られた中世。それは世界史的にどのような時代であったのか。中世史史料には,叙述史料と証書史料の二種がある。証書史料は,日付・印璽・証人を含む王の命令文書であり,イギリスのマグナ・カルタに代表されるように,王権の確立過程や変遷を辿る,西洋中世史研究の最も基本的な重要資料である。しかし,物語性があり脚光を浴びる叙述史料に比べ,証書史料は内容の重要性や信憑性の高さにも拘らず,一般には注目されてこなかった。
本書は,フランスの証書史料を取り上げ,詳細な訳注および解説と分析を加える。さらにはラテン語原文を掲げて,歴史研究の素材を提供するとともに,証書の史料的豊かさを伝えてくれる。
第Ⅰ章では,13世紀の特にルイ8世(1223-26年)の時代に焦点を当て,証書とは何か,その諸類型と時間的変化を日本の中世との比較も盛り込みつつ検討し,王権の拡大と深化の実態を解明する。第Ⅱ章では,ルイ8世に関わる未公刊史料を中心に,重要な証書110通を和訳し,注釈を加える。第Ⅲ章は,王権と封の関係について考察し,中世の国家を人的結合国家として捉え直す。そして後半部を占める第Ⅳ章では,第Ⅱ章で訳出した証書類の原文を掲載する。
フランスでも未刊行の史料をわが国で初公刊する意義深い業績。法制史のみならず,経済史や社会史の研究にも豊富な材料をもたらすとともに,学生には中世ラテン語の基礎的訓練としても役立つ必携の書である。

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