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内容説明
歴史研究はわが国の人文研究の中でも大きな領域を占め,研究者層も厚い。しかし歴史研究の方法論や理論的・哲学的考察,さらに学説史や歴史教育論といったメタヒストリーの研究は極めて少なく,わが国の歴史研究の弱点となっている。
本書は,人間が過去をどのように認識し過去と対峙してきたかを明らかにする初めての本格的なヒストリオロジー(歴史認識学)に関する画期的な業績である。
人は歴史的時間をいかに認識してきたか。紀年認識と時代区分の考察により,キリスト紀年が世界標準になった理由や年表の発達が時間認識の構築に果たした意義,とくに東アジア圏で時間軸を中心に過去の知識が整理された経緯を分析,「時は流れない,積み重なるものである」ことを明らかにする。
歴史的空間はいかに認識されてきたのか。歴史図像学の視点から,イメージ型世界古地図を分析して自己中心的な世界地図の意味を考察,とくに歴史地図を通して過去の知識を整理する欧米型歴史認識の特徴を解明する。
また東アジア型とヨーロッパ型の歴史学の違いを規範的歴史学と認識的歴史学として捉え,それぞれの文化の固有性を考察しつつ日本の史学がその両者に関わった意味を問う。
「歴史は記憶の仕事ではなく,魂を啓発してくれるもの」という熱いメッセージとともに著者の海外での長年の研究経験は,世界の学界への寄与が期待される若い研究者たちに,多くの示唆と勇気を与えるに違いない。
本書は,人間が過去をどのように認識し過去と対峙してきたかを明らかにする初めての本格的なヒストリオロジー(歴史認識学)に関する画期的な業績である。
人は歴史的時間をいかに認識してきたか。紀年認識と時代区分の考察により,キリスト紀年が世界標準になった理由や年表の発達が時間認識の構築に果たした意義,とくに東アジア圏で時間軸を中心に過去の知識が整理された経緯を分析,「時は流れない,積み重なるものである」ことを明らかにする。
歴史的空間はいかに認識されてきたのか。歴史図像学の視点から,イメージ型世界古地図を分析して自己中心的な世界地図の意味を考察,とくに歴史地図を通して過去の知識を整理する欧米型歴史認識の特徴を解明する。
また東アジア型とヨーロッパ型の歴史学の違いを規範的歴史学と認識的歴史学として捉え,それぞれの文化の固有性を考察しつつ日本の史学がその両者に関わった意味を問う。
「歴史は記憶の仕事ではなく,魂を啓発してくれるもの」という熱いメッセージとともに著者の海外での長年の研究経験は,世界の学界への寄与が期待される若い研究者たちに,多くの示唆と勇気を与えるに違いない。