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欧陽脩

11世紀のユマニスト

欧陽脩
著者 劉 子健
小林 義廣
ジャンル 哲学・思想
東洋学
シリーズ 知泉学術叢書
出版年月日 2021/09/20
ISBN 9784862853455
判型・ページ数 新書・376ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はしがき

第1章 序言

第2章 歴史的背景
 1 宋代の歴史的位置
 2 宋朝の対外政策
 3 財政と経済
 4 士大夫と官僚
 5 士大夫と文化・思想

第3章 誕生から若手官僚時代まで
 1 生いたち
 2 洛陽時代
 3 慶暦の新政前史
 4 第一次左遷と中央復興
 5 范仲淹と神道碑銘

第4章 小改革――慶暦の新政
 1 慶暦の新政の由来
 2 慶暦の新政
 3 改革失敗とその原因

第5章 朋党と言官
 1 朋党論
 2 言官

第6章 後半期の人生
 1 第二次左遷
 2 官歴の頂点へ
 3 致仕への道程

第7章 経典学者として
 1 宋初の経学
 2 経学と欧陽脩
 3 欧陽脩の経学に対する評価

第8章 歴史家として
 1 基本姿勢
 2 『崇文総目』と欧陽脩
 3 『新唐書』と『新五代史』
 4 正統論
 5 譜牒学

第9章 行政理論家として
 1 基本的立場
 2 行政実務
 3 理想の官吏像―誌銘から

第10章 宋代文学の大家として
 1 詩
 2 詞
 3 賦
 4 散 
 5 唐宋八大家

第11章 欧陽脩の合理主義と宗教
 1 青詞
 2 理知主義と欧陽脩
 3 仏教批判
 4 礼楽と「本論」
 5 仏僧との交流
 6 運命と宗教
 7 新儒教と仏教

第12章 結語

解説
あとがき
索引

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内容説明

唐宋八大家のひとり欧陽脩(1007-72)は,今日に至るまで,古典学(経学)者,歴史家,考古学者,政治家,政治理論家,とりわけ古文の文筆家,詩人として多くの名高い業績を残してきた。
中国では唐代(618-907)の半ばから宋代(960-1279)にかけて中国史上で大きな転換期を迎える。貨幣経済の深化,交易の展開,印刷術の発達をはじめ,貴族支配から官僚統治への発展により,大きな社会的影響が波及した。それに伴い学術(経学)から文芸に至る広い分野で革新が生じ,その運動の一翼を担ったのが欧陽脩であった。科挙で活用される定型的な文体から古文の復興を主唱し,伝統的な儒学を一新して新儒学の構想を展開しつつ,新たな政治改革「慶暦の新政」を試みたが失敗し左遷された。後に宮廷に復帰し,着実な改革を生涯にわたり実践し,王安石の新法や朱熹による道学・理学への道を開いた。
本書は,戦後アメリカで活躍した代表的歴史家である著者が,欧陽脩の人生と著作活動の全体像を西洋の読者に分かりやすく提示した定評の概説書である。宋代以降,一千年の長きにわたり中国史に脈々と流れる伝統の源泉として,唐宋変革期の実相に迫る上で,本書の叙述は読者に新たな示唆を与えよう。英語から日本語に訳される詩文も相まって,傑出した文人・ユマニストの活き活きとした全貌が開かれる。

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