ホーム > 初唐の文学思想と韻律論
内容説明
618年の唐王朝創建から1世紀に亙る初唐文学の歴史的位相と多様に展開する文学的営為に迫る。
はじめに漢代から六朝への800年におよぶ唐代文学の前史に光を当て,漢代を代表する賦を新たに位置づけ,またこの時期の文学の自覚化についても資料的側面から通説を批判,書簡文学や文学機能論とともに趣味的文学観の周辺にその誕生の鍵を見る。さらに六朝期に著しく発達した中国文学独自な文体分類についても新見解を示す。
文学思想史上,国家形成期の初唐は六朝文学論の圧倒的影響を受けたにもかかわらず,いかに唐代的な萌芽を育んだのか。歴史家たちの文学論や文学史観をとおして,南朝から唐代への過渡期における国家と文学がはらむ時代の陰影を明らかにする。
律詩は中国文学の精華であり初唐に完成するが,中国古典詩の根本テーマ「なぜ五言・七言詩なのか」について,魏晋南北朝にまで視野を広げて韻律論の生成と発展を考察しつつ,中国語の等時拍的性格から古典詩の基層に流れる8音リズムに着眼,五言詩・七言詩が洗練された詩形として成熟していく過程の分析は,本書の白眉ともいうべき著者独自の貢献を示す。
はじめに漢代から六朝への800年におよぶ唐代文学の前史に光を当て,漢代を代表する賦を新たに位置づけ,またこの時期の文学の自覚化についても資料的側面から通説を批判,書簡文学や文学機能論とともに趣味的文学観の周辺にその誕生の鍵を見る。さらに六朝期に著しく発達した中国文学独自な文体分類についても新見解を示す。
文学思想史上,国家形成期の初唐は六朝文学論の圧倒的影響を受けたにもかかわらず,いかに唐代的な萌芽を育んだのか。歴史家たちの文学論や文学史観をとおして,南朝から唐代への過渡期における国家と文学がはらむ時代の陰影を明らかにする。
律詩は中国文学の精華であり初唐に完成するが,中国古典詩の根本テーマ「なぜ五言・七言詩なのか」について,魏晋南北朝にまで視野を広げて韻律論の生成と発展を考察しつつ,中国語の等時拍的性格から古典詩の基層に流れる8音リズムに着眼,五言詩・七言詩が洗練された詩形として成熟していく過程の分析は,本書の白眉ともいうべき著者独自の貢献を示す。