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杜甫農業詩研究

八世紀中国における農事と生活の歌

杜甫農業詩研究
著者 古川 末喜
ジャンル 東洋学
文学
出版年月日 2008/08/30
ISBN 9784862850386
判型・ページ数 A5・468ページ
定価 本体6,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第Ⅰ部 秦 州 期
第一章 秦州期杜甫の隠遁計画と農業への関心
第二章 杜甫と薤(らっきょう)の詩――秦州隠遁期を中心に

 第Ⅱ部 成 都 期
第一章 浣花草堂の外的環境・地理的景観
第二章 農事と生活をうたう浣花草堂時代の杜甫

 第Ⅲ部 夔州期の農的生活
第一章 杜甫の詩に詠じられた夔州時代の瀼西宅
第二章 杜甫の農的生活を支えた使用人と夔州時代の生活詩
第三章 生活の底辺から思いをめぐらす――杜甫夔州の瀼西宅

 第Ⅳ部 夔州期の農事
第一章 杜甫の蜜柑の詩と蜜柑園経営
第二章 杜甫の野菜作りの詩
第三章 杜甫の稲作経営の詩

附 杜甫年表

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内容説明

杜甫が農事について歌った詩を組織的,総合的に考察することで,詩聖杜甫のイメージからは伝わってこない世界を明らかにした画期的な作品である。

士大夫階層により支えられ継承されてきた漢詩の伝統的表現のなかにあって,杜甫の農業詩は新たな表現空間を生み出すとともに,詩人の細やかな観察と人間への眼差しを通して,杜甫の生きた日常世界が鮮明に浮き彫りにされる。杜甫は,今やわれわれにとって等身大で身近な存在となった。

農民に同情し社会の矛盾を告白した初期の作品群に対して,夔州に移ってからの杜甫は自らの農業的実践に関わりそれを具体的に詩に詠じたが,それらの農業詩は先人がなしえなかった独自の詩境を切り開くものであった。

農業社会を基盤に営まれていた近代以前の思想や文学を,農業という観点から見直す著者の試みは,今後の文学研究にとって示唆に富むものとなろう。

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