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唐代文人疾病攷

唐代文人疾病攷
著者 小髙 修司
ジャンル 東洋学
出版年月日 2016/07/15
ISBN 9784862852366
判型・ページ数 A5・194ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき

一 白居易(楽天)疾病攷
 一 基礎的な事歴
 二 儒仏道三教の関わりについて
 三 疾病について
 まとめ

二 白居易「風痺」攷
 一 風痺=中風説について
 二 風偏枯について
 三 脚気について
 四 風痺について
 五 頭風について
 結語

三 杜甫疾病攷
 一 時代背景――疾病史と気候史
 二 先天の生命力――「腎」の盛衰
 三 後天的な病因
 四 医学用語の考察
 五 薬物と関連事項
 六 まとめ

四 杜甫と白居易の病態比較――特に白居易の服石の検証
 一 先天の本=「腎」の状況について
 二 外因について
 三 内因について
 四 不内外因について
 五 焼丹について
 六 白居易の服石について
 七 まとめ

五 李商隠疾病攷
 一 家族歴を考える
 二 病状の記述
 三 「瘦骨」「廻腸」について
 四 消渇の病について
 五 眼症状について
 六 「瘴」と「瘧」の記録
 七 まとめ

六 柳宗元疾病攷
 一 外的環境の影響
 二 精神が及ぼした影響
 三 柳州時代の病態――死因の考察
 四 その他の課題
 五 まとめ

七 温庭筠(飛卿)疾病攷

付録 蘇軾(東坡居士)を通して宋代の医学・養生を考える
    ――古代の気候・疫病史を踏まえて『傷寒論』の校訂を考える
 一 蘇軾の道教(特に内丹法)との関わり
 二 宋までの気候・疫病史
 三 聖散子方から傷寒と時行寒疫を考える
 四 詩詞に見られる蘇軾自身の疾病
 五 結語

おわりに
初出一覧

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内容説明

中国唐代の6名の文人,白居易,杜甫,李商隠,柳宗元,温庭筠,蘇軾の詩詞に現れた医学関連用語を検討し,当時の医学的常識を踏まえて彼らの医学と養生に関する事跡から,どのような環境や習慣が文人たちの疾病や老化,死因になったかを明らかにする。

白居易は病弱多病で頭痛眩暈,眼病,半身不随,ストレスによる肺疾患に罹り,白髪,歯脱などの老化が速かった。杜甫は窮貧や船上生活などにより風邪に悩まされ,老齢のなかでの過剰な性生活による腎疾患,飲酒や喫茶習慣に由来する様々な病状,そして生薬への関心を強めた。李商隠は遺伝による糖尿病を患い,それによる眼疾患や腎不全,心不全などの二次病態が原因で47歳で死亡した。柳宗元が流謫された永州や柳州は暑湿の地で種々の疾病が流行る土地柄であった。環境と身の不遇の中で,散策や腹式呼吸,さらに「荘子」や仏教に親しんで,不安定な心身の状態に耐えようと苦心した。温庭筠の詩文の過剰なまでの修飾表現は,他者との関係を取り持てないアスペルガー症候群に由来する。蘇軾は眼や耳,そして痔に悩まされたが,医薬,養生への関心と知識を広く伝えようと努めた。

本書は中国古典文学の疾病に関する貴重な報告である。

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