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拡大するヨーロッパ世界 1415-1914

拡大するヨーロッパ世界 1415-1914
著者 玉木 俊明
ジャンル 歴史
出版年月日 2018/11/20
ISBN 9784862852861
判型・ページ数 菊判・464ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに

序章
 はじめに
 1 海を通した拡大
 2 大分岐論争
 3 大分岐はあったのか
 4 経済が成長するための制度
 5 ヨーロッパの商業空間の拡大
 6 情報からみた近代世界システム
 7 なぜ支配=従属関係が生まれるのか
 おわりに

第1章 小さなヨーロッパから大きなヨーロッパへ
 はじめに
 1 古代世界におけるヨーロッパ
 2 イスラームの台頭
 3 商業の復活(商業ルネサンス)再考
 4 イタリアは本当に重要だったのか
 5 強国から挑まれるヨーロッパ
 6 アフリカへの進出
 7 大航海時代の開始
 おわりに

第2章 北海・バルト海・地中海経済圏の統合
 はじめに
 1 自然環境
 2 ヴァイキングからハンザへ
 3 15-18世紀のヨーロッパの経済の特徴
 4 北海・バルト海の商業システム
 5 地中海世界の特徴――古代から中世へ
 6 地中海を飲み込む北海・バルト海
 おわりに

第3章 大西洋経済の形成
 はじめに
 1 大西洋経済の勃興
 2 大西洋貿易の特徴
 3 各国の大西洋貿易
 4 イギリスの特徴――三つの例外性
 5 帝国間貿易の重要性
 6 アメリカ海運業の発達とフランス革命・ナポレオン戦争
 おわりに――四つの海の結合

補論Ⅰ プロト工業化とは何だったのか
 はじめに
 1 経済史研究の手法をめぐって
 2 プロト工業化論
 3 プロト工業化の時代のヨーロッパ経済
 おわりに

第4章 商業情報の中心アムステルダム
 はじめに
 1 アントウェルペンの役割と特徴
 2 アントウェルペンからアムステルダムへ
 3 近代世界システムの成立
 4 情報とグーテンベルク革命
 5 情報が独占されていた世界からの解放
 6 グーテンベルク革命
 7 ヘゲモニーと情報の関係
 8 コミュニケーションの問題
 おわりに

第5章 重商主義社会から帝国主義時代へ――数量化・可視化傾向がもたらした変化
 はじめに
 1 重商主義から政治算術へ――数量化傾向
 2 重商主義時代の決済システム
 3 より働く世界への変貌
 4 19世紀の労働者の世界
 5 市場での労働の増加
 おわりに

第6章 アジア・太平洋とヨーロッパ
 はじめに
 1 アジアにおける商業の発展――インド洋貿易と東南アジア商業
 2 ヨーロッパとアジアの貿易
 3 一体化する世界
 4 ヨーロッパのアジア進出の意味
 5 ヨーロッパの拡大
 おわりに

補論Ⅱ ディアスポラの経済史――アルメニア人・セファルディムとヨーロッパ経済の拡大
 はじめに
 1 なぜディアスポラの民が必要だったのか
 2 アルメニア人
 3 セファルディム
 4 セファルディムとアルメニア人のネットワークの違い
 おわりに

第7章 世界を変えたイギリス帝国と情報――蒸気船と電信
 はじめに
 1 海運業の発展
 2 イギリスのヘゲモニーの特徴
 3 海上保険とイギリスのヘゲモニー
 4 電信の発展
 5 電信とイギリスのヘゲモニー
 おわりに――手数料資本主義とイギリス

結語

あとがき
参考文献
人名索引
事項・地名索引

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内容説明

ヨーロッパ主導の近代はいかに可能だったのか? イギリス帝国はどのように形成されたのか? 高緯度の厳しい自然環境のため,必ずしも豊かでない古代から,7世紀以降イスラーム勢力に囲まれてきたヨーロッパは,大西洋への進出を機に数世紀をかけてアジアの経済水準に追いつき,19世紀には圧倒的な勢力となった。本書は,500年にわたるヨーロッパの経済発展の経緯を,アフリカ,ラテンアメリカ,アジアとの交易および支配=従属関係を視野に,広角的に描いた画期的業績である。

ウォーラーステインの世界システム論,ポメランツの大分岐,さらにプロト工業化論など先行研究にひそむ生産史観やヨーロッパ中心主義を批判し,「商業」という新たな視角から,海運業の発達,情報の非対称性の少ない社会の成立,商業ルールの形成に着目して成長の要因を解明する。15世紀にアジア進出を果たしたポルトガル,最初のヘゲモニー国家オランダの具体的様相を分析し,異文化間交易を支えたディアスポラの民にも光を当てる。その中で,イギリスが強大なヘゲモニー国家となり,なぜ世界を制覇しえたのかを,蒸気船,綿製品,海上保険や金融・情報システムの開発などを軸に明らかにする。

欧米の最新研究やデータベースを駆使して表現した新たな世界史像は,グローバル化と情報化が進展する今日,基本文献として多くの示唆と刺激を与えるに違いない。

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