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北方ヨーロッパの商業と経済

1550-1815年

北方ヨーロッパの商業と経済
著者 玉木 俊明
ジャンル 歴史 > 経済史
出版年月日 2008/10/15
ISBN 9784862850423
判型・ページ数 菊判・434ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章

第1章 商業資本主義の諸相
はじめに/「商業資本主義」とは? /取引費用/商人=企業家論の形成とステープル市場・ゲートウェイ/オランダの興隆と企業家/近世商業の特徴とヨーロッパ経済/商人のタイポロジー/戦争の世紀と経済発展??―重商主義戦争と商業の発展/貿易史とは何か?

補論I 経済発展と国家の役割??―国家財政と商人のネットワーク
はじめに/後発国イギリスの財政/フランスの財政状況/おわりに

第2章 地中海からバルト海へ??1600年頃のヨーロッパ経済の中心の移動
はじめに/イタリアの没落??―地中海世界の衰退/ヨーロッパの食糧危機/ヨーロッパの森林資源枯渇/危機からの脱出/地中海からバルト海へ

第3章 「穀物の時代」のバルト海貿易 1561-1657年――『エーアソン海峡通行税台帳 前編』の分析
はじめに/『エーアソン海峡通行税台帳』/研究状況/船舶からみた変遷/輸出/輸入/おわりに

第4章 近世スウェーデンのバルト海貿易――「大国時代」を中心に
はじめに/ストックホルム・ステープル市場/ストックホルムの発展と外国商人/「バルト海帝国」の貿易構造/おわりに

補論Ⅱ スウェーデンの貿易とフィンランド・イェーテボリの関係
はじめに/東ボスニア湾の自立化/イェーテボリの台頭/おわりに

第5章 「原材料の時代」のバルト海貿易 1661-1780年――『エーアソン海峡通行税台帳 後編』の分析
はじめに/『エーアソン海峡通行税台帳』後編の特徴/輸出入/おわりに

第6章 イギリスのバルト海・白海貿易 1661-1780年――オランダとの比較を中心に
はじめに/使用史料/貿易の変化―船舶/商品/ロシア貿易の形態/おわりに

第7章 ハンブルクの貿易――もう一つの世界システム
はじめに/ハンブルクの特徴/ハンブルク貿易の概観/18世紀ボルドーの貿易発展とハンブルク/フランス―ハンブルク―バルト海地方/ハンブルクとイギリス/ハンブルクとスペイン・ポルトガル/おわりに

補論Ⅲ 18世紀の世界貿易拡大と北方ヨーロッパ経済の変貌
はじめに――ヨーロッパの貿易増大/18世紀イギリスの貿易構造/アジアとの関係/バルト海地方に輸入される植民地物産/おわりに

第8章 ヨーロッパの経済発展とオランダの役割――ロンドンとハンブルク
はじめに/問題設定/オランダの近代性?/ゲートウェイとしてのアムステルダム/アムステルダムとロンドン・ハンブルクとの関係/フランス革命・ナポレオン戦争/おわりに

終 章

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内容説明

食料供給をはじめ毛織物や東方物産の取引などヨーロッパ世界で中心的な役割を担ってきた地中海貿易は,16世紀の人口増加に伴い食料の安定供給が困難となり,東欧の穀物貿易を展開させたオランダを中心とするバルト海貿易にその地位を譲り渡した。
本書は近世になり経済の中心がアルプスの南から北へ移り,バルト海を中心とする広域経済圏が交易ネットワークを通して北方ヨーロッパに拡大していく過程を,商人の活動とそれを保護する国家の役割に視点をすえて解明する。
オランダは経済発展に適合的な制度を形成することにより「近代世界システム」の発祥の地とされるが,著者はその理由が商業情報を低コストで獲得するなど取引費用の低下や海運業の発展にあることを明らかにする。またオランダで生まれた世界システムはイギリスとハンブルクに伝わり,イギリスは「帝国」を形成し,ハンブルクは物流中心のシステムへと展開した。この分析を通してオランダからイギリスへのヘゲモニーの転換の実態が示される。
一国史的な研究の枠を超え,近世ヨーロッパの多様な姿を描くグローバルヒストリーの本格的な試み。

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