トレント公会議
その歴史への手引き
著者 | アドリアーノ・プロスペリ 著 大西 克典 訳 |
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ジャンル | 歴史 |
出版年月日 | 2017/07/31 |
ISBN | 9784862852588 |
判型・ページ数 | A5・300ページ |
定価 | 本体4,500円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
序 トレント――その地理と選択の歴史
第1章 公会議をめぐる論争
第2章 教皇権の勝利
第3章 公会議における最初の問題 規律の改革か,教義の討議か?
第4章 公会議という地震計を通して見るヨーロッパ政治
第5章 教義に関する諸問題
第6章 改革に関する諸問題
第7章 公会議の解釈
第8章 改革決議の実行
第9章 トレント公会議の秘蹟と社会の習慣
第10章 トレント,過ぎ去らない歴史
第11章 史料と研究史
終章 イリアスとオデュッセイアの間 トレント公会議と非ヨーロッパ圏の文化
A・プロスペリと近世イタリア宗教史研究(大西克典)
読書案内
原注・訳注
索引
内容説明
トレント公会議(1545-63年/中断期あり)は,宗教改革に対する対抗宗教改革であると同時に,中世以来の課題である幼児洗礼,告解,聖体拝領,婚姻と叙階など秘蹟について議論する場でもあった。会議は教皇特使の下で司教,大修道院長,修道会長,さらに神学や法学の専門家,全権大使の取り巻きなどによって行われた。
ローマ教皇庁は公会議主義を抑えて教皇権の首位性を確立し,教皇庁の人々を司教などに叙階して聖職禄で経済的に支えつつ組織を整備,聖職売買や贖宥状の販売を通じて財政基盤の確立を図った。またイタリアに多大な影響を及ぼしたカール5世は1516年のスペイン王即位後に神聖ローマ皇帝ともなった。彼は軍事力でルター派諸侯と対峙しつつ,帝国内部の宗教対立を収束するため公会議の開催を支持した。これに対しフランソワ1世はフランス王に即位,フランスがスペインや神聖ローマ帝国などカールの支配地に包囲されていく中で公会議に強く反対した。会議は俗権と教権,教皇と公会議,あるいは教皇権と帝国そして君主国間のせめぎ合いの場であった。
トレント公会議や対抗宗教改革はイタリア近現代史の主題である。日本語版書き下ろしでアジア関連の終章を付した,イタリアを代表する碩学による格好のイタリア近世史入門。カトリックとイタリア近世史を軽視するわが国の傾向に一石を投じるヨーロッパへの新たな扉である。