ホーム > バークリ 記号と精神の哲学
目次
凡例
序論
第Ⅰ部 バークリ哲学の基礎原理「記号理論」について
第一章 「抽象一般観念」への批判
はじめに
第一節 第七,八,九節における抽象理論
第二節 第一〇節の検討
第三節 第一三節の検討
第四節 「抽象一般観念批判」の性格とある反論への応答
むすび
第二章 記号における「代理する(represent)」について
はじめに
第一節 バークリの主張のあらまし
第二節 represent は類似の関係を表す
第三節 「代理」が成り立つ条件は「内包」である
第四節 論点先取という懸念
むすび
第三章 記号における「示唆する(suggest)」について
はじめに
第一節 「示唆する」という言葉が用いられる背景
第二節 「示唆」には「代理」が前提されねばならない
第三節 「任意」は必然に転化する
第四節 「状況(circumstances)」は「示唆」にとって不可欠である
第五節 「示唆」的な知識の射程
むすび
第四章 観念の記号的表現性について
はじめに
第一節 「感官の観念」における単純観念批判
第二節 「第二のもの」と精神
第三節 「精神の観念」における「の(of)」の解釈
第四節 「想像の観念」の表現性
むすび
第五章 言語の「意味(signification)」について
はじめに
第一節 「意味の観念説」
第二節 「意味の情緒説」
第三節 「意味の思念説」
第四節 言語論の総括
むすび
第Ⅱ部 自然学から精神の形而上学へ
第一章 粒子説について――Esse is Percipi の射程
はじめに
第一節 バークリの物体観と自然法則
第二節 エーテル説
第三節 エーテル説の内実
むすび
第二章 原因について――自然学から形而上学へ
はじめに
第一節 『原理』における自然学
第二節 『運動論』における自然学
第三節 形而上学における原因
第四節 原因の考察と記号との関連
むすび
第三章 精神の能動と受動について
はじめに
第一節 問題の所在
第二節 受動すなわち「受容」と能動
第三節 意識という観点における精神の能動
第四節 「受動」の意味
第五節 能動(act)と現実化(actualization)
むすび
第四章 神の精神について――「自然の創造主の言語」説
はじめに
第一節 問題の所在――歴史的背景から
第二節 デザイン論証
第三節 「自然の創造主の言語」説
第四節 バークリによるアナロギアの特徴
むすび
第五章 「思念」と「イデア」
はじめに
第一節 「思念」という言葉の追記
第二節 議論の中心となる第三三五節の文脈
第三節 「混合様相」や「抽象観念」との対比
第四節 イデアは「原理」や「原因」である
第五節 知性の対象としての「照明する光」
むすび
第六章 「一」と「三位一体」
はじめに
第一節 精神の「一」性について
第二節 ミクロコスモスとマクロコスモスの照応
第三節 自然学的「一」と形而上学的「一」
第四節 三位一体
むすび
第七章 バークリのキリスト教的プラトン主義
はじめに
第一節 バークリはプラトン主義者と言えるのか――既存の研究の動向
第二節 神の似姿――人間の精神と神の精神の類比
第三節 原型と模造の関係について
第四節 世界という書物(liber mundi)について
むすび
結論
附論一 バークリにおける宗教と言語――自然神学と啓示神学
はじめに
第一節 自然神学における言語
第二節 啓示神学における言語
第三節 啓示神学の背景にある人間観
むすび
附論二 カドワースとバークリにおける「思念」について
はじめに
第一節 バークリにおける観念と「思念」
第二節 カドワースにおける原子論と感覚的知覚
第三節 知性的な認識
むすび――哲学史の観点から
あとがき
文献表
索引
序論
第Ⅰ部 バークリ哲学の基礎原理「記号理論」について
第一章 「抽象一般観念」への批判
はじめに
第一節 第七,八,九節における抽象理論
第二節 第一〇節の検討
第三節 第一三節の検討
第四節 「抽象一般観念批判」の性格とある反論への応答
むすび
第二章 記号における「代理する(represent)」について
はじめに
第一節 バークリの主張のあらまし
第二節 represent は類似の関係を表す
第三節 「代理」が成り立つ条件は「内包」である
第四節 論点先取という懸念
むすび
第三章 記号における「示唆する(suggest)」について
はじめに
第一節 「示唆する」という言葉が用いられる背景
第二節 「示唆」には「代理」が前提されねばならない
第三節 「任意」は必然に転化する
第四節 「状況(circumstances)」は「示唆」にとって不可欠である
第五節 「示唆」的な知識の射程
むすび
第四章 観念の記号的表現性について
はじめに
第一節 「感官の観念」における単純観念批判
第二節 「第二のもの」と精神
第三節 「精神の観念」における「の(of)」の解釈
第四節 「想像の観念」の表現性
むすび
第五章 言語の「意味(signification)」について
はじめに
第一節 「意味の観念説」
第二節 「意味の情緒説」
第三節 「意味の思念説」
第四節 言語論の総括
むすび
第Ⅱ部 自然学から精神の形而上学へ
第一章 粒子説について――Esse is Percipi の射程
はじめに
第一節 バークリの物体観と自然法則
第二節 エーテル説
第三節 エーテル説の内実
むすび
第二章 原因について――自然学から形而上学へ
はじめに
第一節 『原理』における自然学
第二節 『運動論』における自然学
第三節 形而上学における原因
第四節 原因の考察と記号との関連
むすび
第三章 精神の能動と受動について
はじめに
第一節 問題の所在
第二節 受動すなわち「受容」と能動
第三節 意識という観点における精神の能動
第四節 「受動」の意味
第五節 能動(act)と現実化(actualization)
むすび
第四章 神の精神について――「自然の創造主の言語」説
はじめに
第一節 問題の所在――歴史的背景から
第二節 デザイン論証
第三節 「自然の創造主の言語」説
第四節 バークリによるアナロギアの特徴
むすび
第五章 「思念」と「イデア」
はじめに
第一節 「思念」という言葉の追記
第二節 議論の中心となる第三三五節の文脈
第三節 「混合様相」や「抽象観念」との対比
第四節 イデアは「原理」や「原因」である
第五節 知性の対象としての「照明する光」
むすび
第六章 「一」と「三位一体」
はじめに
第一節 精神の「一」性について
第二節 ミクロコスモスとマクロコスモスの照応
第三節 自然学的「一」と形而上学的「一」
第四節 三位一体
むすび
第七章 バークリのキリスト教的プラトン主義
はじめに
第一節 バークリはプラトン主義者と言えるのか――既存の研究の動向
第二節 神の似姿――人間の精神と神の精神の類比
第三節 原型と模造の関係について
第四節 世界という書物(liber mundi)について
むすび
結論
附論一 バークリにおける宗教と言語――自然神学と啓示神学
はじめに
第一節 自然神学における言語
第二節 啓示神学における言語
第三節 啓示神学の背景にある人間観
むすび
附論二 カドワースとバークリにおける「思念」について
はじめに
第一節 バークリにおける観念と「思念」
第二節 カドワースにおける原子論と感覚的知覚
第三節 知性的な認識
むすび――哲学史の観点から
あとがき
文献表
索引
内容説明
ジョージ・バークリ(1685-1753)は経験論の哲学者であり,ロックとヒュームの中継ぎというのが通説であった。本書では主要著作を検討し,彼の全体像を明らかにする。開かれた視点から見ると,感覚を重視する経験論者とは彼の一面でしかないことが分かる。
本書は従来のバークリ像を破壊し,哲学史の書き換えに挑む。すなわち,知性の認識する生得的思念であるイデアをバークリは容認していた。感覚的対象はイデアの具体的な表現,美や善や徳などの知性認識を表示する象徴的記号となる。記号はバークリの哲学にとって感覚と知性を結ぶ重要な役割を担っており,その記号に基づいて,一方では経験から離れず,他方ではイデアを認めているのがバークリ哲学の特徴と言えよう。
第Ⅰ部では,バークリ独自の「記号理論」を検討する。記号の創意や操作や意味などが,経験,自然学,形而上学,神学などに等しく関与していることを考察する。
第Ⅱ部では,自然学から形而上学への上昇過程を分析し,彼がキリスト教的プラトン主義者であることを示す。このようにバークリは,デカルトやスピノザ,ライプニッツなど大陸の哲学者に劣らず,形而上学をイギリス哲学史に刻んだ。これによりイギリスと大陸の哲学を架橋し,17,8世紀の哲学研究を活性化させるであろう。
第Ⅰ部の記号論の基礎研究を踏まえ,第Ⅱ部で学問論を展開する本書の試みは,今後の哲学研究に新たな扉を開くに違いない。
本書は従来のバークリ像を破壊し,哲学史の書き換えに挑む。すなわち,知性の認識する生得的思念であるイデアをバークリは容認していた。感覚的対象はイデアの具体的な表現,美や善や徳などの知性認識を表示する象徴的記号となる。記号はバークリの哲学にとって感覚と知性を結ぶ重要な役割を担っており,その記号に基づいて,一方では経験から離れず,他方ではイデアを認めているのがバークリ哲学の特徴と言えよう。
第Ⅰ部では,バークリ独自の「記号理論」を検討する。記号の創意や操作や意味などが,経験,自然学,形而上学,神学などに等しく関与していることを考察する。
第Ⅱ部では,自然学から形而上学への上昇過程を分析し,彼がキリスト教的プラトン主義者であることを示す。このようにバークリは,デカルトやスピノザ,ライプニッツなど大陸の哲学者に劣らず,形而上学をイギリス哲学史に刻んだ。これによりイギリスと大陸の哲学を架橋し,17,8世紀の哲学研究を活性化させるであろう。
第Ⅰ部の記号論の基礎研究を踏まえ,第Ⅱ部で学問論を展開する本書の試みは,今後の哲学研究に新たな扉を開くに違いない。
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