ホーム > スキャンダルの狭間で カント形而上学への挑戦
著者 | ジェレマイア・オルバーグ 著 |
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ジャンル | 哲学・思想 |
出版年月日 | 2024/03/25 |
ISBN | 9784862854063 |
判型・ページ数 | A5・328ページ |
定価 | 本体4,500円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
凡例
はじめに(大橋容一郎)
序文
序論――イマヌエルとジャン=ジャックの出会い
哲学的影響の問題
カントを読む
ルソーを読むカント
第一章 ルソーからカントを読む
ルソーを読むカント
不可能なものと必要なもの
統一へ向かう二重の衝動
コケット
第二章 二重の夢――形而上学と視霊者
序論
『視霊者の夢』の形式
なぜ幽霊の話なのか
カントの二重の目的
他人の影響
結論
第三章 『純粋理性批判』の二つの序文
書き始め
信仰告白
「信仰告白」の入り口
形而上学とスキャンダル
第四章 超越論的仮象の源泉としての争い
カントのスキャンダル
仮象
超越的な諸原則
権威の外見(Ansehen)
無条件的なもの
適合した経験的使用の欠如
理念
第五章 「模造的能力は生産的能力ではない」――ルソーとカントにおける理念
本章の文脈
『哲学的宗教論講義』の論述
Dieter Henrich
Klaus Reich
理性の諸理念,そして諸理念と諸範例の関係性
プラトン
ルソー
カント
必要かつ不可能な読み
第六章 自我,世界,神
序論
理性の諸理念
自我からの出発
自我から世界への移行
世界から神へ
第七章 誤謬推理,アンチノミー,理想
超越論的統覚の自我
アンチノミーの宇宙
世界の概念は……
……純粋理性のアンチノミーに至る
これらの争いにおける理性の利害
浄化剤
理想
第八章 超越論的弁証論への付録
「付録」はどのように働いているか
「付録」の第一部
「付録」の第二部
原型と模型の反転
必要なものと不可能なもののスキャンダラスな交差地点
カントの「かのように」の哲学
結論
第九章 ルソー,カント,訓練
序論
準備のための諸反論
『エミール』と「訓練」
仮説
『視霊者の夢』を振り返る
結論
参考文献
索引
はじめに(大橋容一郎)
序文
序論――イマヌエルとジャン=ジャックの出会い
哲学的影響の問題
カントを読む
ルソーを読むカント
第一章 ルソーからカントを読む
ルソーを読むカント
不可能なものと必要なもの
統一へ向かう二重の衝動
コケット
第二章 二重の夢――形而上学と視霊者
序論
『視霊者の夢』の形式
なぜ幽霊の話なのか
カントの二重の目的
他人の影響
結論
第三章 『純粋理性批判』の二つの序文
書き始め
信仰告白
「信仰告白」の入り口
形而上学とスキャンダル
第四章 超越論的仮象の源泉としての争い
カントのスキャンダル
仮象
超越的な諸原則
権威の外見(Ansehen)
無条件的なもの
適合した経験的使用の欠如
理念
第五章 「模造的能力は生産的能力ではない」――ルソーとカントにおける理念
本章の文脈
『哲学的宗教論講義』の論述
Dieter Henrich
Klaus Reich
理性の諸理念,そして諸理念と諸範例の関係性
プラトン
ルソー
カント
必要かつ不可能な読み
第六章 自我,世界,神
序論
理性の諸理念
自我からの出発
自我から世界への移行
世界から神へ
第七章 誤謬推理,アンチノミー,理想
超越論的統覚の自我
アンチノミーの宇宙
世界の概念は……
……純粋理性のアンチノミーに至る
これらの争いにおける理性の利害
浄化剤
理想
第八章 超越論的弁証論への付録
「付録」はどのように働いているか
「付録」の第一部
「付録」の第二部
原型と模型の反転
必要なものと不可能なもののスキャンダラスな交差地点
カントの「かのように」の哲学
結論
第九章 ルソー,カント,訓練
序論
準備のための諸反論
『エミール』と「訓練」
仮説
『視霊者の夢』を振り返る
結論
参考文献
索引
内容説明
カントはルソーから強い影響を受けながら『純粋理性批判』を完成させた。しかし彼は「誰かの書いたものを読み,何かを学び取ったなら,私はその人を引用しない」との趣旨で,それを語ることはなかった。
カントに対するルソーの影響については,20世紀の前半以来カッシーラーを始めいく人かの研究者により検討された。しかし通常はルソーの『社会契約論』が実践理性に与えた影響が一般的に語られてきた。しかしルソーの影響について注目されていない事柄としては,自然と理性,個人間の対抗関係,嫉妬,欲望,自由,歴史的諸問題との遭遇の決定的重要性,そしてこれらに不可避的に含まれる暴力など広範にわたっている。
本書では『純粋理性批判』を中心に,形而上学の基本問題である,人間理性のもつ自然本性としての形而上学的指向性と,同時にそれに反する演繹的論証の限界という,理性にとって相反する対抗性を通して形而上学へ挑戦するカントの論理を考察する。
人間理性が可能的経験の領野を踏み越えるという自然本性は,そのために避けがたい仮象を引き起こしてしまう。この人間理性の宿命である対抗性の問題を「近代理性のスキャンダル(つまづき)」として捉えるなら,それは理論的認識を超えて道德性や宗教性にも関わることになる。著者はカント哲学の前批判期から『純粋理性批判』の成立,さらにはその論理構成の全体像にまで踏み込んで,人間理性の限界と対抗性について自身による思想を率直に表明する。他に類書のない意欲作である。
カントに対するルソーの影響については,20世紀の前半以来カッシーラーを始めいく人かの研究者により検討された。しかし通常はルソーの『社会契約論』が実践理性に与えた影響が一般的に語られてきた。しかしルソーの影響について注目されていない事柄としては,自然と理性,個人間の対抗関係,嫉妬,欲望,自由,歴史的諸問題との遭遇の決定的重要性,そしてこれらに不可避的に含まれる暴力など広範にわたっている。
本書では『純粋理性批判』を中心に,形而上学の基本問題である,人間理性のもつ自然本性としての形而上学的指向性と,同時にそれに反する演繹的論証の限界という,理性にとって相反する対抗性を通して形而上学へ挑戦するカントの論理を考察する。
人間理性が可能的経験の領野を踏み越えるという自然本性は,そのために避けがたい仮象を引き起こしてしまう。この人間理性の宿命である対抗性の問題を「近代理性のスキャンダル(つまづき)」として捉えるなら,それは理論的認識を超えて道德性や宗教性にも関わることになる。著者はカント哲学の前批判期から『純粋理性批判』の成立,さらにはその論理構成の全体像にまで踏み込んで,人間理性の限界と対抗性について自身による思想を率直に表明する。他に類書のない意欲作である。