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何処から何処へ

現象学の異境的展開

何処から何処へ
著者 池田 喬
合田 正人
志野 好伸
美濃部 仁
ジャンル 哲学・思想 > 現象学
出版年月日 2021/02/25
ISBN 9784862853318
判型・ページ数 A5・416ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき(合田 正人)

Ⅰ アメリカ哲学の体現者としてのハイデガー ――ローティ,カヴェル,ねじれた現象学の異境的展開(池田 喬)
 はじめに
 第一章 ハイデガーとアメリカ
  1 アメリカ=反ハイデガー,ハイデガー=反アメリカ
  2 ローティと分析哲学――アメリカ哲学とは(1)
  3 ローティとプラグマティズム――アメリカ哲学とは(2)
  4 カヴェル,アメリカの学者,日常言語学派の哲学――アメリカ哲学とは(3)
  5 カヴェル,ハイデガー,アメリカ源流思想――アメリカ哲学とは(4)
 第二章 ハイデガー・プラグマティズムの誕生――ローティのハイデガー
  1 理論に対する実践の優位――ハイデガーとデューイ(1)
  2 偶然性の存在論――ハイデガーとデューイ(2)
  3 語彙・メタファー・政治――ハイデガーとデューイ(3)
 第三章 ハイデガー・アメリカ源流思想の誕生――カヴェルのハイデガー
  1 目覚め・日・言葉――ハイデガーとソロー
  2 自己変容と内容的空白――ハイデガーとエマソン(1)
  3 代表と政治――ハイデガーとエマソン(2)
 おわりに

Ⅱ 生・存在・リズム――ベルクソンとハイデガー(合田 正人)
 第一章 今なぜリズムなのか
  1 リズム的動物
  2 リズムと多島海
  3 島から島へ
 第二章 ベルクソンとリズム
  1 反ベルクソンの系譜
  2 ベルクソンはリズムについて何を語ったのか
 第三章 ハイデガーとリズム
  1 リズムの戦争
  2 『存在と時間』以前のリズム
  3 リズムと未知の「システム」
  4 リズムと信頼の狂気
  5 酔いどれ舟の漂流

Ⅲ 東アジアにおける現象学の展開(志野 好伸)
 第一章 東アジアにおける現象学受容史――日本,中国,台湾
  1 日本における初期現象学受容史
  2 中国大陸における初期現象学受容史
  3 植民地時期台湾における現象学受容史
  4 小結
 第二章 洪耀勲の実存理解と風土理解
  1 「日本哲学」と「台湾哲学」
  2 「実存」概念について
  3 種的基体としての「風土」
  4 和辻哲郎の植民地理解
 第三章 曾天従の真理論
  1 曾天従の『真理原理論』とその背景
  2 曾天従の『真理原理論』と洪耀勲の「存在と真理」
 第四章 戦後中国語圏におけるハイデガー受容――「Dasein」の訳語を通して
  1 熊偉のハイデガー解釈
  2 唐君毅のハイデガー解釈
  3 Dasein の訳語――「縁在」と「此在」

Ⅳ フィヒテの現象概念――『一八〇四年の知識学』第二部の「現象学」(美濃部 仁)
 はじめに
 第一章 『一八〇四年の知識学』第一部の要約
 第二章 『一八〇四年の知識学』第二部における「現象」
  1 「問題的当為」(problematisches Soll)――第一六講―第一七講
  2 問題的当為に含まれる洞察の「内容」――第一八講
  3 「自から」(Von)――第一九講―第二〇講
  4 存在と現象――第二一講
 おわりに

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執筆者紹介

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内容説明

20世紀始め,現実の具体的な経験の分析をとおして「普遍学」を目指したフッサールに端を発し,現在にいたるまで広い影響力を及ぼし続けている現象学運動。本書は地域,文化,分野を越境しながらダイナミックに展開する「新たな現象学」の生成過程と可能性を考察する四名の研究である。
池田論文 アメリカでは論理・科学・合理性を特徴とする分析哲学が主流で,その反面でハイデガー哲学は無視されてきた。しかし,ローティとカヴェルは,アメリカ哲学の真髄を「プラグマティズム」とエマソン,ソローの「アメリカ源流思想」に見て,ハイデガー哲学の内にアメリカ哲学との親和性を見出す。
合田論文 日常の経験や生活のリズム,体内のリズムなど生存を可能にし,維持しているリズム。「リズム」の観点からベルクソンとハイデガーのテクストを,多様な分野のテクストと触発させながら読み直し,新たな側面に光を当てる。
志野論文 日本,中国,台湾における現象学の受容を概観し,さらに日本統治下の二人の台湾人哲学研究者,洪耀勲,曾天従のテクストの読解を通して,ハイデガー哲学や日本の哲学を踏まえながら形成した独自の「台湾哲学」の軌跡を辿る。
美濃部論文 自我に根拠をもつ知の立場から,知を存在の現象とする立場へ転回した後,フィヒテが行った講義『1804年の知識学』第二部「現象論」を丹念に読み解く。フッサール現象学以前における「現象」概念が明らかにされる。

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