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顔とその彼方

レヴィナス『全体性と無限』のプリズム

顔とその彼方
著者 合田 正人
ジャンル 哲学・思想
出版年月日 2014/02/25
ISBN 9784862851789
判型・ページ数 A5・268ページ
定価 本体4,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例
まえがき――見知らぬ読者へ(合田正人)
『全体性と無限』の諸地平(ジャン=ミシェル・サランスキ)
1 意味(サンス)と地平
2 繁殖性
3 繁殖性のエロス的源泉
4 エロスと繁殖性の分節化
5 社会と繁殖性
結論
複数の序文 言語の意味性について――『全体性と無限』から出発して(トマス・ヴィーマー)
はじめに――愛の宣言
1 『全体性と無限』における言語
2 哲学書における序文の役割
3 『全体性と無限』ドイツ語訳の序文
4 私の唯一性と倫理的言語
5 赦しと言語
「汝像を作るなかれ」――見えないものを聞くレヴィナス(シルヴィ・クルティーヌ=ドゥナミ)
1 芸術に内在した偶像崇拝
2 見えるものから見えないものへ
3 レヴィナスの思想の進展
4 書物の民に属する者は,「不可能なものを描くことを試みる」という条件においてしか画家になることはできない
レヴィナスとコイレにおける無限の観念(アンナ・ヤンポルスカヤ)
はじめに
1 コイレとレヴィナス――哲学者たちの邂逅
2 「無限の観念」の系譜学
3 分岐点
「スピノザ主義の対極にて」? (合田正人)
1 スピノザ事件
2 前哨戦
3 消えた,再び見出されたヒュポスタシス
4 一と多
5 幸福と苦しみ
6 コナトゥスの戦場
存在と真理――存在だけしかないことがなぜ「悪い」のか(小手川正二郎)
はじめに
1 「存在は悪である」
2 存在と真理――『存在と時間』の真理概念
3 『全体性と無限』の三つの「分離」概念――自己の存在・世界・他人からの分離
結び
『全体性と無限』におけるビオス――クルト・シリングの注から出発して(渡名喜庸哲)
はじめに
1 クルト・シリングの「生気論」的政治哲学
2 享受,欲望――欠乏,必要性
3 レヴィナスの自由主義?
4 『全体性と無限』におけるビオス――「生物学的繁殖性」の両義性
5 「決定的なもの」
結びにかえて
彷徨と居住――ハイデガー『真理の本質について』の読者レヴィナス(藤岡俊博)
はじめに
1 レヴィナスはハイデガー『真理の本質について』をどのように読んだのか
2 『全体性と無限』における彷徨
重力と水――レヴィナスのエロスと体が動かない人の介護(村上靖彦)
1 限界の人間としての「女性」
2 重力と水――ALSと身体の現象学
3 ゆっくりした対話
両義性と二元性――レヴィナスにおけるエロス的なものについて(ジェラール・ベンスーサン)
1 エロス的なものの両義性
2 エロス的なものについての一般理論
3 時間の身体的な意味
4 エロス的なものの二元性
5 倫理そのものの両義性

後記

人名索引/執筆者紹介

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内容説明

E. レヴィナス(1906-95)の主著『全体性と無限』(1961)の刊行から半世紀,レヴィナス研究は2000年代に入り世界各地でのシンポジウムの開催,全集の刊行など,状況が大きく変化している。そして,日本では2011年に『全体性と無限』刊行50周年記念国際シンポジウムが開催され,フランス,ドイツ,ロシアから第一線で活躍している研究者を招聘,彼ら・彼女らと日本の新進の若手研究者たちにより水準の高い発表が行われた。本書はそのシンポジウムをもとに編まれた論文集である。
本書はこれまで言及されることの少なかった「エロスの現象学」に関する考察や言語の問題,芸術論,さらに国家・民族の問題,また西欧哲学史の解釈や現象学の師であるフッサール,ハイデガーなど同時代の哲学者たちとの対決など,執筆者が独自の視点から『全体性と無限』を中心とした著作群に光を当てた意欲的な論文10編を収録。
1980年以降広く読まれ始めたレヴィナスは,第一哲学としての倫理や他者論といった主題を中心に多く語られてきたが,本書はそれらの主題を基礎として新たな読解の可能性を示唆する。レヴィナスに興味を持つ読者にとって必読の書である。

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