ホーム > 親和的感性に拠る知と相生
目次
はじめに
第一章 親和的愛の認識から始める
第1節 アウグスティヌス(354-430)
第2節 トマス・アクィナス(1225頃-74)
第3節 ジャック・マリタン(1882-1973)
第4節 『雅歌講話』の伝統における親和性
① オリゲネス(184/5-253/4)
② ミラノのアンブロシウス(339頃-397)
③ ニュッサのグレゴリオス(330頃-394)
④ グレゴリウス一世(540-604)
⑤ 『ソロモンの頌歌』(二世紀前半)
⑥ ギヨーム(サン・ティエリの)(1085-1148)
⑦ ベルナール(クレルヴォーの)(1090頃-1153)
⑧ ヘルフタのゲルトルート(1256-1301/02)
⑨ 十字架の聖ヨハネ(1542-91)
⑩ ギュイヨン夫人(1648-1717)
⑪ ジュリア・クリステヴァ(1941-)
まとめとひらき 一
第二章 旧約聖書が語る美・愛と醜悪の実相
第1節 創世記
① 一章1節〜二章3節
② 蛇の言語用法
③ 女の情欲
第2節 出エジプト記
① 想起・記憶・記念について
② 出エジプト物語りにおける神名について
③ シナイ契約について
④ 金の子牛事件と偶像(三二1節-30節)
第3節 ホセア 前八世紀後半
第4節 エレミヤ(前627-586年に活躍)
① エレミヤとその時代
② エレミヤの実存
第5節 第二イザヤ 前六世紀
第三章 新約聖書が語る美・愛と醜悪の実相
第1節 罪の女(ルカ七)
第2節 姦通の女(ヨハネ八)
第3節 香油の注ぎ(マタイ二六)
第四章 新約以降のキリスト教における典礼的修道的な展開
第1節 神学的典礼的展開
第2節 教会協働体現成の核心――エウカリスティア(聖餐)と記念・想起について
第3節 修道生活・修道制の成立と展開
① アントニオス
② パコミオス
③ 大バシレイオス
④ 『マクリナの生涯』
⑤ 「アウグスティヌスの会則」
⑥ ヌルシアのベネディクトゥス
⑦ アシジのフランチェスコ
⑧ ドミニコ
⑨ M・ルター
⑩ イグナティウス・デ・ロヨラ
⑪ 第二ヴァチカン公会議とシャルル・ド・フーコーなど
⑫ インドのヒンドゥー教と出会ったキリスト教徒
第五章 ギリシア哲学とキリスト教における親和と醜悪
第1節 古典ギリシア
① ピュタゴラス学派
② プラトンからプロティノスへ
③ アリストテレス
第2節 近世以降
④ カント
⑤ フッサール
⑥ レヴィナス
⑦ 幾何学的無機物への親和的愛
むすびとひらき――受難・醜悪とエヒイェ的親和性の開け
むすび 親和的認識の拓けと醜悪
ひらけ キリスト論的エヒイェ感性学
あとがき
索引
第一章 親和的愛の認識から始める
第1節 アウグスティヌス(354-430)
第2節 トマス・アクィナス(1225頃-74)
第3節 ジャック・マリタン(1882-1973)
第4節 『雅歌講話』の伝統における親和性
① オリゲネス(184/5-253/4)
② ミラノのアンブロシウス(339頃-397)
③ ニュッサのグレゴリオス(330頃-394)
④ グレゴリウス一世(540-604)
⑤ 『ソロモンの頌歌』(二世紀前半)
⑥ ギヨーム(サン・ティエリの)(1085-1148)
⑦ ベルナール(クレルヴォーの)(1090頃-1153)
⑧ ヘルフタのゲルトルート(1256-1301/02)
⑨ 十字架の聖ヨハネ(1542-91)
⑩ ギュイヨン夫人(1648-1717)
⑪ ジュリア・クリステヴァ(1941-)
まとめとひらき 一
第二章 旧約聖書が語る美・愛と醜悪の実相
第1節 創世記
① 一章1節〜二章3節
② 蛇の言語用法
③ 女の情欲
第2節 出エジプト記
① 想起・記憶・記念について
② 出エジプト物語りにおける神名について
③ シナイ契約について
④ 金の子牛事件と偶像(三二1節-30節)
第3節 ホセア 前八世紀後半
第4節 エレミヤ(前627-586年に活躍)
① エレミヤとその時代
② エレミヤの実存
第5節 第二イザヤ 前六世紀
第三章 新約聖書が語る美・愛と醜悪の実相
第1節 罪の女(ルカ七)
第2節 姦通の女(ヨハネ八)
第3節 香油の注ぎ(マタイ二六)
第四章 新約以降のキリスト教における典礼的修道的な展開
第1節 神学的典礼的展開
第2節 教会協働体現成の核心――エウカリスティア(聖餐)と記念・想起について
第3節 修道生活・修道制の成立と展開
① アントニオス
② パコミオス
③ 大バシレイオス
④ 『マクリナの生涯』
⑤ 「アウグスティヌスの会則」
⑥ ヌルシアのベネディクトゥス
⑦ アシジのフランチェスコ
⑧ ドミニコ
⑨ M・ルター
⑩ イグナティウス・デ・ロヨラ
⑪ 第二ヴァチカン公会議とシャルル・ド・フーコーなど
⑫ インドのヒンドゥー教と出会ったキリスト教徒
第五章 ギリシア哲学とキリスト教における親和と醜悪
第1節 古典ギリシア
① ピュタゴラス学派
② プラトンからプロティノスへ
③ アリストテレス
第2節 近世以降
④ カント
⑤ フッサール
⑥ レヴィナス
⑦ 幾何学的無機物への親和的愛
むすびとひらき――受難・醜悪とエヒイェ的親和性の開け
むすび 親和的認識の拓けと醜悪
ひらけ キリスト論的エヒイェ感性学
あとがき
索引
内容説明
愛の親和性の働き(エヒイェ)と時熟(カイロス)による親和的感性の成立を通して相生の地平を披く。人やグループにおける愛の受難や利己心がもたらす葛藤,愛と醜悪に満ちた歴史と現実世界の中で相生は如何にして可能か。
親和的認識とは,愛によって本性を共有し互いに認識しあうことである。古代から近代に至る代表としてアウグスティヌスの愛の遍歴,トマスの知恵の賜物を核心とする親和的神学,J.マリタンの詩や芸術および神秘体験,さらに芭蕉の旅の詩,『雅歌講話』の伝統における親和性などを考察する。また現代におけるフッサールやレヴィナスの存在志向についても透徹した分析を展開する。
哲学・思想に深く根差す実体的存在論は,その頂点に第一原因として形而上学的な神である「不動の動者」をすえ,すべての存在を因果律により全体主義的に支配する存在神論を展開して,思索と思想史を伝統的に牛耳ってきた。神とは常に動く者であり,「生成する,有らしめる,働く,在る」を一如とする動的歴史的創造の性格を帯びている。
古代から現代までの宗教と思想の多様な営みを分析して,伝統的な神概念の壁を超えて,真の救いと恵みに出会う世界を親和的感性の媒介により発見する試みである。
第1章では親和的認識,2章は旧約聖書の世界,3章は新約聖書の世界,4章は古典ギリシア世界から近代を通し現代に至る思想史や歴史的変遷を語り,そして最後に愛の親和的感性とその根拠となるエヒイェの体現者,キリストの生き方について考察する。該博な知見を駆使し,大パノラマを想起させる論述に,読む者は圧倒されるに違いない。
親和的認識とは,愛によって本性を共有し互いに認識しあうことである。古代から近代に至る代表としてアウグスティヌスの愛の遍歴,トマスの知恵の賜物を核心とする親和的神学,J.マリタンの詩や芸術および神秘体験,さらに芭蕉の旅の詩,『雅歌講話』の伝統における親和性などを考察する。また現代におけるフッサールやレヴィナスの存在志向についても透徹した分析を展開する。
哲学・思想に深く根差す実体的存在論は,その頂点に第一原因として形而上学的な神である「不動の動者」をすえ,すべての存在を因果律により全体主義的に支配する存在神論を展開して,思索と思想史を伝統的に牛耳ってきた。神とは常に動く者であり,「生成する,有らしめる,働く,在る」を一如とする動的歴史的創造の性格を帯びている。
古代から現代までの宗教と思想の多様な営みを分析して,伝統的な神概念の壁を超えて,真の救いと恵みに出会う世界を親和的感性の媒介により発見する試みである。
第1章では親和的認識,2章は旧約聖書の世界,3章は新約聖書の世界,4章は古典ギリシア世界から近代を通し現代に至る思想史や歴史的変遷を語り,そして最後に愛の親和的感性とその根拠となるエヒイェの体現者,キリストの生き方について考察する。該博な知見を駆使し,大パノラマを想起させる論述に,読む者は圧倒されるに違いない。