目次
6 パンの奇跡/湖の上を歩く/群集が来る/パンの説話(イエスの啓示)/弟子たちの不信仰
7 導入部/神からの教えと律法/イエスの由来/イエス逮捕の意図;イエスの去ることについての言葉/祭りの最後の盛大な日でのイエスの言葉/イエスについてのファリサイ人の議論
8 姦淫の女/世の光としてのイエスと,その証しの真実性/イエスの去ることと,イエスとは何者かという問い/イエスのユダヤ人との対決/イエスのユダヤ人への最後の答え
9 奇跡/盲人と彼の隣人たち/盲人とファリサイ人たち/ファリサイ人たちと盲人の両親/ファリサイ人たちと盲人/イエスと盲人の信仰/幕切れの後(奇跡としるし)
10 パロイミア/羊の門/良き羊飼い/ユダヤ人の反論/イエスの羊/イエスの反論/ヨハネの洗礼の地への待避
11 ラザロの姉妹の願いとイエスのべタニアへの出発/イエスとマリアとマルタとの会話/墓への移行とラザロの復活/大審院のイエスに対する死刑の判決とエフライムの地への待避
12 ベタニアでの塗油/エルサレム入城/イエスの目前の死/ユダヤ人の不信仰についてのイザヤの預言/イエスの声
内容説明
福音書のなかでもとくにヨハネ福音書は難解な書である。読者はいきなり, 冒頭の「初めにロゴスがあった。ロゴスは神のもとにあった。ロゴスは神であった。」という言葉で始まるプロローグがいったい何を意味するのか,さらにそのプロローグと本文との関係という難問に直面させられる。著者は第Ⅰ巻でこれらの問題に真正面から取り組み,理解への道を拓いた。この福音書の比類ない言語空間の成り立ちを解き明かし,ヨハネ福音書の独創的注解が可能となった。
本冊では第5章から第12章までを扱う。はじめにヨハネ福音書におけるキリスト論の中核である「派遣」を通してイエスの意味を捉え,聖霊におけるアナムネーシスにおけるイエスの現前は二つの時間了解を前提にしてはじめて理解可能であり,さらにヨハネ福音書の奇跡についてその特徴を明らかにする。また伝統的な聖書解釈の方法論を検討し,「言葉が話す」という原事実を,聖書解釈という学問の言葉とケーリュグマとしてのそれに分裂させてしまう19-20世紀の聖書学の本質を突くとともに新しい聖書解釈の可能性を示す。
各節ごとに詳細な検討を加えた本書は,わが国だけでなく世界の最先端の聖書注解を代表するものとなろう。