中世における理性と霊性
著者 | クラウス・リーゼンフーバー 著 |
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ジャンル | 哲学・思想 > 中世哲学 |
出版年月日 | 2008/02/29 |
ISBN | 9784862850287 |
判型・ページ数 | A5・688ページ |
定価 | 本体9,500円+税 |
在庫 | 在庫あり |
目次
第Ⅰ部 教父思想
1 ラテン教父の思考様式と系譜
第Ⅱ部 初期スコラ学
2 信仰と理性
3 初期スコラ学における「理性」の問題
4 12世紀における自然哲学と神学
第Ⅲ部 盛期スコラ学
5 人格の理性的自己形成
6 否定神学・類比・弁証法
7 アエギディウス・ロマヌスの社会・政治思想
第Ⅳ部 後期スコラ学
8 フライベルクのディートリヒの知性論
9 ジャン・ビュリダンの哲学における言語理論
10 中世の修道院霊性における自己認識の問題
第Ⅴ部 初期ルネサンス思想
11 神認識における否定と直視
12 マルシリオ・フィチーノのプラトン主義と教父思想
内容説明
理性に関する理論は,古代から近代の合理論・観念論をへて現代の現象学・言語哲学に至る哲学の根本問題である。西洋中世は古代の伝統を積極的に発展させ,知性の活動に対する反省に基づき超越への関わりを理性に固有な活動として発見することによって,霊性を人間完成の理論と実践として根拠づけた。
こうして開かれた理性と霊性の創造性豊かな関係に焦点を当て,本書は11世紀の初期スコラ学から15世紀のルネサンスに至る理性論の多様な形態を考察する。形而上学と自然学,倫理学と政治思想への反映までも解明することを通して,理性と霊性の相互作用を中世思想の根源的な原動力として展開する。
今まで注目されていなかった哲学者も含め,中世の主要な思想家を主題とすることにより,存在理解と自己認識,学問と信仰,哲学的理論の可能性と言語の限界の関係を論じ,中世思想研究に新たな分野を拓くとともに,人間の理解をめぐる現代の哲学的議論にも寄与する第一級の業績。