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ニコラウス・クザーヌスとその時代

ニコラウス・クザーヌスとその時代
著者 クルト・フラッシュ
矢内 義顕
ジャンル 哲学・思想 > 中世哲学
出版年月日 2014/08/15
ISBN 9784862851932
判型・ページ数 4-6・176ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

1 誕生と金(かね)
2 さまざまな関係
3 最初の企て
4 理念の取引所バーゼル――『普遍的協和について』
5 教皇使節団
6 知ある無知――『知ある無知』
7 遍歴時代 新たな思想――『推測について』他
8 マルケでの休息時間――『知恵・精神・秤の実験に関する無学者の対話』
9 トルコ人との戦争と永続的な平和――『信仰の平和』
10 人は神を観ることができるか――『神を観ることについて』『緑柱石』
11 認識の確信と教会の堕落――『可能現実存在』『相等性について』『非他なるもの』『知恵の狩猟』『テオリアの最高段階について』
12 トーディにおける最後
13 クザーヌスの世紀

年表/文献/あとがき/人名・地名索引

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内容説明

富裕な商人の子ニコラウス・クザーヌス(1401-64)は,中世と近世の転換期に生きた人物である。彼はパドヴァに遊学して法学博士となり,そこで芽吹き始めたルネサンス運動と多くの知友に巡り合った。
枢機卿や教皇使節として,多くの時を旅の空の下で過ごした彼は,教皇派と公会議派の論争,教皇庁と領主権力との調整,フス派からの圧力に対応しつつ,トルコの脅威への軍事的対応,東西教会の合同などに腐心した。彼は声の多性の中に共通の基調である「協和」を見出し,多様性を統一に導くことを目指した。
勃興する人文主義の下で新しい知の構想に取り組み,〈知ある無知〉と名づけた。知とは真理である円に近づくために多角形を描く試みである。新たな知は新たな神学と,自然に関する新たな知をもたらした。最大,最小のもの,運動や静止は,自己中心的に世界を限定づける経験では理解できない。〈無限の一性〉こそが,知られざる神への道であり,無限を知る知恵である。
クザーヌスのみならず広範な中世哲学の業績を踏まえた碩学による独創的で含蓄ある叙述は,多岐にわたる著作と生涯の関係,さらに思想史的な文脈にまで及び,中世から近世の研究者,初学者から専門家まで,多くの読者にとって必読のクザーヌス入門となろう。

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