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原子力時代の驕り

「後は野となれ山となれ」でメルトダウン

原子力時代の驕り
著者 ローベルト・シュペーマン
山脇 直司
辻 麻衣子
ジャンル 哲学・思想
出版年月日 2012/12/25
ISBN 9784862851437
判型・ページ数 4-6・136ページ
定価 本体2,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

訳者まえがき



1 政治的倫理の問題としての自然界への技術介入
前 置 き
Ⅰ 「付随的な諸影響による負担」をどこまで強要できるか――政治哲学的考察
Ⅱ 倫理的判断のための諸観点――形而上学(メタ自然学)的考察

2 エネルギー政策の倫理的な観点――1人のキリスト教徒の立場から
Ⅰ キリスト教徒のイデオロギー疑惑
Ⅱ モラル(道徳的なもの)の特性
Ⅲ エネルギー政策におけるモラル
Ⅳ エネルギー政策にとっての倫理的な結論

3 私は「複数の中での一つの進歩」という考えに立ち戻ることを要求する

4 「後は野となれ山となれ」でメルトダウン

5 日本で神はどこにおられたのか?――津波による大災害に直面して

6 理性,原子力,信仰――野放図な科学,軽薄な成長政策,排除された残余リスクについて

訳者解説

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内容説明

3.11をきっかけに,原発論争がわが国のみならず世界的に広がっている。著者シュペーマン(1927年-)はドイツを代表する哲学者。ハーバーマスとは立場を異にするが保守的な視点から公共的な問題に対し積極的に発言し,社会に影響を与えてきた。彼の保守主義は徹底した人権擁護論や,科学の無反省な進歩主義への批判,一貫した反原発論である。1950年代から反原子力の論陣を張り,70年代からは反原発稼働を主張,人類が制御できる技術ではないと訴えてきた。本書は3.11をきっかけにしたインタビューも含めた反原発論集でドイツでは大きな反響を呼んでいる。
著者は「核燃料廃棄物の最終貯蔵場が決まらない状態での原発稼働は,将来の世代に対し不当な要求を強いて,倫理的に不正である」と共に「生活圏のすべてを住めなくしてしまうほど,大きな犯罪はない」として原子力時代の不条理を究明する。徹底した倫理学的な考察を通して,その不合理性と非倫理性を明らかにした貴重な証言集である。今後予想される長きにわたる論争にとって避けては通れない問題にかけがえのない知恵を提供しよう。

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