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台湾現代文学の考察

現代作家と政治

台湾現代文学の考察
著者 小山 三郎
ジャンル 文学
出版年月日 2008/07/25
ISBN 9784862850379
判型・ページ数 4-6・320ページ
定価 本体3,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第一章 問題の所在――作家と政治の関係から見る台湾現代文学

第二章 魯迅と梁実秋――かれらの論争に表れた作家と政治の関係
1 問題の所在
2 魯迅と梁実秋のプロレタリア文学の是非をめぐる論争
3 魯迅の眼に映った梁実秋の文学的立場
4 結語――魯迅,梁実秋の文学観に内包される文学精神とは

第三章 国共関係のなかの政治と文学――梁実秋批判について
 1 問題の所在
 2 抗日民族統一戦線と魯迅そして梁実秋
 3 国共関係のなかの梁実秋批判
 4 結語

第四章 『自由中国』知識人の政治と文学
 1 問題の所在
 2 現代作家の文学精神と「極権政治」
 3 現代作家の中華文化批判
 4 結語

第五章 柏楊投獄事件に関する考察
 1 問題の所在
 2 柏楊はなぜ,投獄されたのか
 3 柏楊はなぜ,釈放されたのか
 4 結語

第六章 統戦工作のなかの台湾映画『苦恋』について
 1 問題の所在
 2 中国映画『苦恋』とは
 3 台湾映画『苦恋』とは
 4 結語――統戦工作が生み出した文学現象

第七章 政治と台湾現代映画――甦る「三十年代文学」
 1 問題の所在
 2 台湾映画『苦恋』の政治的背景と「三十年代文学」
 3 『苦恋』批判事件を語った白樺
 4 結語

各章関連年表

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内容説明

1949年以降,台湾の現代作家たちは国民党政府との緊張関係の中でどのような活動をしたのか。共産党政権と国民党政府とのダイナミックな関係を通して,その実相にはじめて総合的に迫った画期的業績である。
著者は国民党政府と作家との関係の源を30年の魯迅と梁実秋とのプロレタリア文学論争に見出す。彼らは文学における階級観は対立するが,固有な文学精神であるリアリズム精神については共通理解をもっていた。
毛沢東の『文芸講話』に象徴される,文学は救国と政治に奉仕すべきものとの一貫した文芸政策の中で生じた粛正と弾圧,台湾政府への影響と蒋介石政権の独裁化に伴う作家への弾圧。それら一連の動きを柏楊投獄事件や白樺制作の映画『苦恋』の大陸での批判と上映禁止,その台湾版制作の経緯を通して解明する。
政治と文学の間に生起する複雑な構造的関係を分析する視点は,中国近代文学史研究へ一石を投ずるだろう。

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