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徳倫理学について

徳倫理学について
著者 ロザリンド・ハーストハウス
土橋 茂樹
ジャンル 哲学・思想 > 倫理
出版年月日 2014/10/10
ISBN 9784862851963
判型・ページ数 菊判・432ページ
定価 本体5,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

謝辞/日本語版への序文


新アリストテレス主義
本書の構成

 第Ⅰ部 行為
第1章 正しい行為
正しい行為
認識論的問題
道徳規則
コード化不可能性
第2章 解決可能なディレンマ
ディレンマと割り切れなさ
「正しい行為」再論
規範相互の対立問題: 解決可能なディレンマ
「コード化可能性」再論
道徳的実践知
第3章 解決不可能なディレンマと悲劇的ディレンマ
そもそも解決不可能なディレンマなど存在するのか?
徳倫理学における解決不可能なディレンマ
悲劇的なディレンマ
「正しい行為」再々論
絶対主義・再論

 第Ⅱ部 感情と動機づけ
第4章 アリストテレスとカント
フィリッパ・フット『徳と悪徳』
「傾向性から」行為するということ
第5章 徳と感情
感情の教育
結論
第6章 有徳な行為者にとっての行為の理由
有徳な仕方で行為するということ
「行為そのもののために」行為を選ぶということ
「それが正しいと思うから」行為する
プラトン的幻想の回避
結論
第7章 道徳的動機づけ
程度の問題としての道徳的動機: 信念の帰属
どんな性格をもつか
徳の統一
有徳な行為の初発の場面
結論

 第Ⅲ部 合理性
第8章 徳をもつことの利益
前置き
徳はその持ち主に利益を与えるという考えに対する反論
異なった文脈に照らして
中立的な観点などない
特定の倫理観の下での事実
第9章 自然主義
植物と動物の評価
わたしたち自身の評価
第10章 理性的動物のための自然主義
わたしたちの理性は他とどのように異なるのか
類比が成立する場合としない場合
必然的に実践的なものとしての倫理的評価
第11章 客観性
倫理学上の意見の不一致
第三の命題: 調和的なものとしての人間本性
想定されうる限りでのダーウィン主義からの脅威

訳者あとがき/著者紹介/参考文献/索引

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内容説明

本書は英国の放送大学での長年の講義をもとに著された,現代徳倫理学についての定評の教科書である。
半世紀ほど前に徳倫理学が現れたときには,保守的で自由民主主義とは合わないものと見なされていた。
規範倫理学においては,義務ないし規則を強調するカントに由来する義務論の立場と,行為の結果を強調するベンサムやミルから派生した功利主義の立場があり,それら主流学説に対して,徳つまり道徳的な人柄を強調するプラトン,アリストテレスを起源とする徳倫理学が新たな展開を試みてきた。
義務論や功利主義にたいする不満が,徳倫理学の再生を促したのは,当然取り組むべき課題が無視され軽んじられてきたことにある。すなわち個人が備えもつ動機と道徳的性格について,さらに道徳教育,道徳的な知としての良し悪しの判別力,友愛や家族愛,そして幸福の概念や道徳生活における感情の役割などの問題に,従来の道徳哲学では有効に対応できなかった。現代思想家に欠け,偉大な先達には見出される豊かな洞察によって現代道徳哲学に対する批判が展開された。
本書は豊富な教育実践を踏まえ,平板で抽象的な解説を避けて,様々な事例や条件を検討し,読者を考えながら徳倫理学の世界へと導く第一級の概説書である。

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