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目次
第一章 「囚われることのない精神」――「国民性」と「時代精神」
ニコラウス・ペヴスナーとイングランド美術の「イングランド性」
「イングランド性」としての「囚われることのない精神」
協調し合う「国民性」と「時代精神」――18世紀の展開
第二章 新古典主義――イミテーションの芸術
ジョシュア・レノルズ卿における「コピー」と「イミテーション」の問題
アダム建築と古典主義建築のイメージ
「イミテーション」と「囚われることのない精神」
第三章 ピクチュアレスク論とイギリス啓蒙主義美学
アダム兄弟のピクチュアレスク理解
アダム兄弟とスコットランド啓蒙主義の思想家たち
ピクチュアレスクの萌芽的起源
二次性質としてのピクチュアレスクの追求
「経験の時代」のピクチュアレスク論
第四章 ピクチュアレスク建築――「幾何学的建築」の予見
風景画と建築
ブレニム宮――「ムーブメント」の発見
ジェームズ・アダムとウィリアム・チェンバース卿
ケデルストン・ホール――「ムーブメント」の実践
「高貴な単純性」と「古典主義的要素の理性的な適用」
第五章 趣味と富と徳――啓蒙主義時代の都市デザイン
ラスキンが見たエディンバラ
エディンバラ・ニュータウンの建設
趣味と富と徳の追求――啓蒙主義の都市デザイン
第六章 一九世紀様式論争――異教的建築批判の展開
ピュージンの機能主義的ゴシック・リヴァイヴァル
ピュージンの「反ローマ」主義
ピュージンの異教的建築批判
ゴシック・リヴァイヴァルとイングランド・カトリシズム
第七章 ゴシック・リヴァイヴァルとオックスフォード運動
ピュージン,ブロクサム,モズリ,ニューマン
『トラクト』九〇号の衝撃
ニューマンから見たピュージンの「偏狭」なゴシック主義
第八章 国民的様式としてのゴシック――イギリス国会議事堂
論争──「イギリス国会議事堂の本当の建築家は誰か」
国民的様式としてのゴシック
「囚われることのない精神」と保守主義の伝統
第九章 20世紀様式論争――異教的建築批判のその後
大英博物館のモニュメンタリティーと大英図書館のデザイン
大英図書館の機能主義
「イングリッシュ・フリー・スクール」の伝統
ゴシック・リヴァイヴァルと古典主義の対立
「異教的なもの」としての古典主義的建築
ニコラウス・ペヴスナーとイングランド美術の「イングランド性」
「イングランド性」としての「囚われることのない精神」
協調し合う「国民性」と「時代精神」――18世紀の展開
第二章 新古典主義――イミテーションの芸術
ジョシュア・レノルズ卿における「コピー」と「イミテーション」の問題
アダム建築と古典主義建築のイメージ
「イミテーション」と「囚われることのない精神」
第三章 ピクチュアレスク論とイギリス啓蒙主義美学
アダム兄弟のピクチュアレスク理解
アダム兄弟とスコットランド啓蒙主義の思想家たち
ピクチュアレスクの萌芽的起源
二次性質としてのピクチュアレスクの追求
「経験の時代」のピクチュアレスク論
第四章 ピクチュアレスク建築――「幾何学的建築」の予見
風景画と建築
ブレニム宮――「ムーブメント」の発見
ジェームズ・アダムとウィリアム・チェンバース卿
ケデルストン・ホール――「ムーブメント」の実践
「高貴な単純性」と「古典主義的要素の理性的な適用」
第五章 趣味と富と徳――啓蒙主義時代の都市デザイン
ラスキンが見たエディンバラ
エディンバラ・ニュータウンの建設
趣味と富と徳の追求――啓蒙主義の都市デザイン
第六章 一九世紀様式論争――異教的建築批判の展開
ピュージンの機能主義的ゴシック・リヴァイヴァル
ピュージンの「反ローマ」主義
ピュージンの異教的建築批判
ゴシック・リヴァイヴァルとイングランド・カトリシズム
第七章 ゴシック・リヴァイヴァルとオックスフォード運動
ピュージン,ブロクサム,モズリ,ニューマン
『トラクト』九〇号の衝撃
ニューマンから見たピュージンの「偏狭」なゴシック主義
第八章 国民的様式としてのゴシック――イギリス国会議事堂
論争──「イギリス国会議事堂の本当の建築家は誰か」
国民的様式としてのゴシック
「囚われることのない精神」と保守主義の伝統
第九章 20世紀様式論争――異教的建築批判のその後
大英博物館のモニュメンタリティーと大英図書館のデザイン
大英図書館の機能主義
「イングリッシュ・フリー・スクール」の伝統
ゴシック・リヴァイヴァルと古典主義の対立
「異教的なもの」としての古典主義的建築
内容説明
18世紀から20世紀に至るイギリスの建築とデザインに焦点を当て,時代精神が芸術的創造行為に及ぼした影響を検討し,建築史やデザイン史の研究を広く文化史のなかに位置づけ,生きた時代精神を表現媒体とする建築・デザイン研究の新たな視点と方法を試みた画期的業績である。
啓蒙主義により方向づけられた18世紀の新古典主義建築に対して19世紀には反新古典主義建築が展開した。それら対抗する様式思想について,ピクチュアレスクとゴシックリヴァイヴァルという二つの芸術史上の潮流を通して解明するとともに,それを担ったアダム兄弟やピュージンなど芸術家についても独自の考察を展開する。
個性的な創造行為と同時に,それぞれに対立する様式思想を共に許容する多様性に秀でた時代精神は,20世紀の大英図書館に関する様式論争にまで引き継がれ,そこに我々は「囚われることのない精神」というイギリス文化の伝統が脈々と息づいているのを知るであろう。
啓蒙主義により方向づけられた18世紀の新古典主義建築に対して19世紀には反新古典主義建築が展開した。それら対抗する様式思想について,ピクチュアレスクとゴシックリヴァイヴァルという二つの芸術史上の潮流を通して解明するとともに,それを担ったアダム兄弟やピュージンなど芸術家についても独自の考察を展開する。
個性的な創造行為と同時に,それぞれに対立する様式思想を共に許容する多様性に秀でた時代精神は,20世紀の大英図書館に関する様式論争にまで引き継がれ,そこに我々は「囚われることのない精神」というイギリス文化の伝統が脈々と息づいているのを知るであろう。