ホーム > 衝動の現象学
内容説明
従来のフッサール研究は初期から中期の著作を中心に彼の理論的・論理的思惟の一貫性を強調することに主眼をおき,感情や衝動といった内面的な意識現象は単なる付随現象とか非合理なものとして,本格的に考察されてこなかった。これはハイデガーやアンリ,レヴィナスなどでも同様である。
しかしフッサールの膨大な遺稿が刊行されるのに伴い,とくに中期から後期にかけて彼が多様な感情の働きや衝動的行為について分析しており,その成果を無視することができない状況となった。
本書は著作とそれを背景で支えている遺稿における思惟を整合的に読み解くことを通して,フッサールの全体的思惟を理論的・論理的現象学から感情現象に裏づけられた実践的現象学への展開として再構築する試みである。
現象学が客観的考察に終始するのではなく,現象学的還元を通した現象学運動として,認知科学や脳神経科学などの諸科学の成果を導入しつつ展開する可能性を示唆した意欲的作品である。
しかしフッサールの膨大な遺稿が刊行されるのに伴い,とくに中期から後期にかけて彼が多様な感情の働きや衝動的行為について分析しており,その成果を無視することができない状況となった。
本書は著作とそれを背景で支えている遺稿における思惟を整合的に読み解くことを通して,フッサールの全体的思惟を理論的・論理的現象学から感情現象に裏づけられた実践的現象学への展開として再構築する試みである。
現象学が客観的考察に終始するのではなく,現象学的還元を通した現象学運動として,認知科学や脳神経科学などの諸科学の成果を導入しつつ展開する可能性を示唆した意欲的作品である。