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真理・存在・意識

フッサール『論理学研究』を読む

真理・存在・意識
著者 植村 玄輝
ジャンル 哲学・思想
哲学・思想 > 現象学
出版年月日 2017/03/15
ISBN 9784862852526
判型・ページ数 菊判・320ページ
定価 本体5,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序論

第1章 形而上学・学問論・記述的心理学――『論研』の背景
 1.1 形而上学
 1.2 学問論
 1.3 記述的心理学

第2章 論理学の性格をめぐる考察――『論研』第1巻(1)
 2.1 技術学としての論理学と心理主義
 2.2 心理主義批判の深化
 2.3 規範的な論理法則と記述的な論理法則

第3章 学問論としての純粋論理学と哲学者の仕事――『論研』第1巻(2)
 3.1 学問論としての純粋論理学
 3.2 論理学の基本概念の解明――哲学者の第一の仕事
 3.3 客観的認識論の拡張――哲学者のもうひとつの仕事
 3.4 哲学者の二つの仕事とは結局のところ何か

第4章 認識の現象学と客観的認識論――『論研』第2巻(1)
 4.1 概念の「起源」――ブレンターノのプログラムの継承
 4.2 哲学者の二つの仕事の区別
 4.3 現象学の形而上学的中立性

第5章 認識の現象学――『論研』第2巻(2)
 5.1 問題設定――充実された言表判断作用としての認識作用
 5.2 意味志向と意味充実作用
 5.3 意味と充実する意味
 5.4 志向性理論と命題のスペチエス説
 5.5 認識作用の現象学的分析と充実する意味の位置
 5.6 『論研』の現象学はどのようなものなのか

第6章 客観的認識論――『論研』第2巻(3)
 6.1 客観的認識論の課題の再設定
 6.2 拡張された客観的認識論
 6.3 本章のまとめ

第7章 客観的認識論の帰趨――『論研』第2巻(4)
 7.1 (非)本来的思考とは何か
 7.2 本来的思考はなぜカテゴリー的直観ではないのか
 7.3 客観的認識論から帰結する三つの問題
 7.4 本章のまとめ

第8章 形而上学的中立性の問題――『論研』から「エルゼンハンス書評」へ
 8.1 形而上学的に中立的な現象学
 8.2 形而上学的中立性の徹底化
 8.3 『論研』は整合的な著作か
 8.4 本章のまとめ

結論 「突破口」から見えるもの

補注
あとがき
参考文献
索引

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内容説明

フッサールは分析家ではあるが体系家ではなかったし,超越論的現象学は世界の意味を成立させる意識の志向性に着眼し形而上学を排除したとの言説が流布している。

それに対して著者は,フッサールが初期の主著『論理学研究』(1900/1年)期からすでに体系を志向しており,真理から存在への道を探究する哲学的プログラムの構想をもっていたとして,本書では『論理学研究』を徹底的に精査,その後の展開の前史を明らかにする。

『論理学研究』は第1巻で心理主義的論理学を批判して「イデア主義的」な純粋論理学を擁護,第2巻は認識体験の現象学的分析を展開するが,言語表現と意味,普遍者,部分と全体,意味の合成性,志向的体験,認識,内的知覚と意識など,統一性のない雑多な印象を与える。しかしフッサールは『論研』が「獲得された洞察が内的に固められる前に刊行された」著作であり,刊行後には同書全体の主題を体系的に辿り直す講義もした。

また著者はフッサール哲学を「何がどのように存在するのか」という形而上学として捉え,それを真理・存在・意識の観点から検討して,フッサールの現象学と形而上学との関係を解明する。フッサール現象学を全体的に再構成する気鋭による意欲的試みである。

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