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エディット・シュタインの道程

真理への献身

エディット・シュタインの道程
著者 須沢 かおり
ジャンル 哲学・思想 > 現象学
宗教
出版年月日 2014/05/30
ISBN 9784862851888
判型・ページ数 4-6・376ページ
定価 本体3,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

凡例/まえがき

第一章 ユダヤ人の家庭から
1 「贖罪の日」に生をうけて
2 特別な使命
3 母の思い出
第二章 フッサールの弟子
1 現象学との出会い
2 ゲッティンゲンでの学究生活
3 「感情移入」の問題
4 フッサールの助手として
5 シュタインの現象学についての理解
第三章 信仰への歩み
1 精神的危機から宗教的世界への開眼
2 キリストの十字架との出会い
3 回心における共同性
4 宗教的経験としての「神のうちに安らうこと」
5 再生
6 回心が披く霊的地平
7 「これこそが真理なのだ」
8 洗礼とカルメルへの招き
第四章 教育者として生きる
1 シュパイアーでの教員生活
2 教育論
3 人格形成のプロセスとしての教育
4 教育の目的
5 教師の役割
6 教育における超自然的な次元――魂の内からの形成
第五章 女性として生きる
1 女性として,哲学者として
2 女性論の社会的背景とその意図
3 関わりのなかで生きる女性――「伴侶」として,「母」として
4 「男に対して助ける者」としての女
第六章 ペルソナ論
1 ペルソナ論の背景にあるエディット・シュタインの思想的プロセス
2 ペルソナ論の位置づけ
3 純粋自我と「わたしは在る」という経験
4 人格的な自我と交わりとしてのペルソナ
5 アビラのテレサと「ペルソナの核」としての魂
6 交わりとしてのペルソナ
7 身体・魂・精神の統一体としてのペルソナ
第七章 トマスの思想との邂逅
1 キリスト者としての哲学
2 『真理論』の翻訳
3 哲学的「使命」としての現象学とスコラ学との対峙
4 現象学者としてトマスを読む
5 第一の哲学としての形而上学
6 永遠なる存在への登攀
第八章 ナチス迫害下での社会思想の展開
1 政治的,社会的関心と思想
2 国家論の形成
3 ナチズムとユダヤ人問題
4 教皇ピオ11世への書簡
5 人権問題についての霊的理解
6 十字架とユダヤ人の受難
7 ホロコーストとケノーシス
第九章 アビラのテレサとの霊的絆
1 テレサとシュタインの親和性
2 テレサの『自叙伝』と洗礼
3 祈り――魂の最深奥における神との出会い
第十章 十字架のヨハネ解釈――『十字架の学問』
1 十字架の神秘思想
2 『十字架の学問』
3 現象学的ヨハネ解釈
4 暗夜と十字架の関わり
第十一章 アウシュヴィッツでの死とキリストへの道行き
1 最晩年の日々
2 問題の所在――殉教者としての列聖
3 アウシュヴィッツへの途上で託された「最後のメモ」
4 “Unterwegs ad orientem”
5 ユダヤ人の東方への輸送
6 聖書における“Oriens”
7 キリストのもとへ

略年譜/あとがき/初出一覧/主要参考文献/注/略号表/索引

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内容説明

エディット・シュタイン(1891-1942)は激動のヨーロッパの暗い波乱の時代に,清冽な光を放った。
敬虔なユダヤ教徒の家庭に生まれ,フッサールのもとで哲学探究の道を歩み優れた業績を発表するが,現象学に限界を感じ,現象学的方法によるトマス・アクィナスの研究を展開する。主著『有限なる存在と永遠なる存在』は,中世と現代の思想が対話とともに対峙し,さらに神秘的観想が共振し,独自の思想世界を構築した。しかし2度にわたる教授資格申請論文が不首尾に終り,ユダヤ人女性の研究者への道は閉ざされた。
シュタインは30歳でカトリックの洗礼を受け,教員生活を送るが,ナチスのユダヤ人迫害により職を奪われる。その後アビラの聖テレサの『自叙伝』に出会い,カルメル会に入会,十字架のヨハネ研究の途上,アウシュヴィッツのガス室で51年の生涯を閉じた。
哲学から霊性,社会思想,人間学,女性論,教育学,神秘思想など,シュタインの多面的な活動は全集27巻に収められ,その類い稀な集中力と明晰な思考に圧倒される。著者はシュタインの生涯と思想を突き動かす一貫した内的動機を〈真理への献身〉として捉え,ハンナ・アレントやシモーヌ・ヴェイユに較べ知られることの少ない彼女の全体像を初めて明らかにする。

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