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セアラ・フィールディングと18世紀流読書術

イギリス女性作家の心の迷宮観察

セアラ・フィールディングと18世紀流読書術
著者 鈴木 実佳
ジャンル 文学
出版年月日 2008/03/31
ISBN 9784862850300
判型・ページ数 A5・248ページ
定価 本体4,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次



第一章 生 涯――活気に満ちた18世紀を一人の女性作家がどのように生きたのか
 セアラ・フィールディングとは?/ヘンリーの妹/文筆活動/バースの安全網

第二章 読者との関係の構築――著者を読者に知ってもらいたい
 はじめに/「読書の真の活用方」/読者たちの反応/言葉の乱用者たち/読書の方法

第三章 気心知れた仲間の交流――手紙
 手紙/セアラ・フィールディングの手紙/フィクションのなかの手紙/相互理解と理想の世界

第四章 学校物語――同朋を育てる
 子どもをターゲットに/女子アカデミー/ソシアビリティと友情/教育書著者の姿勢/もうひとつの『ガヴァネス』

第五章 古 典――自己陶冶
 目のつけどころ/大成功か?/学識ある女性/カーターの戦略と成功/セアラ・フィールディングの翻訳

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内容説明

セアラ・フィールディング(1710-68)は英文学史上で著名ではないがヘンリー・フィールディングの妹として18世紀中葉に活動した女性作家である。
18世紀のイギリスは社会の構造,人々のものの考え方,家族や夫婦の関係,社会観,人間観,子ども観など,現代に通ずる多くの要素をもっている。さらに印刷物の普及や知識・情報の伝達の迅速化と広域化に加え,識字率の上昇や小説の勃興など出版物を取り巻く文化的状況は魅力的な時代であった。
このような環境と啓蒙がもたらしたコスモポリタンと寛容の精神,伝統を受け継ぎつつ新しいものを求める活発な雰囲気のなかで,セアラ・フィールディングは文学的に野心的な試みに挑んだ。読者の動向を敏感に捉えながらも大衆に迎合しない決意をもって,次々と新たな手法やテーマ,新しい読者に向けた作品を繰り出していった。書簡体文学や学校物語,古典の翻訳など著作者と読者の関係を模索しつつ,新しい文学・読書空間に向き合った彼女の文学的営為の軌跡を辿ることにより,18世紀の作家たちの広範な関心をあぶり出した意欲的作品である。

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