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教育の社会史

ヨーロッパ中・近世

教育の社会史
著者 浅野 啓子 編訳
佐久間 弘展 編訳
ジャンル 教育学
出版年月日 2006/12/30
ISBN 9784901654883
判型・ページ数 菊判・312ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序論 教育からみたヨーロッパ中近世の社会史(浅野啓子・佐久間弘展)
1 宮廷と修道院――中世初期における貴族の教育(五十嵐修)
2 中世後期ボヘミアの教会改革運動とプラハ大学(浅野啓子)
3 公会議と写本収集――古典の再発見と人文主義の拡大(甚野尚志)
4 中世末期スペインのユダヤ人初等教育(関 哲行)
5 14~16世紀ドイツ市民の初等教育(佐久間弘展)
6 フマニタス研究の古典精神と教育――イエズス会系学校の誕生頃まで(根占献一)
7 リッターアカデミー(出口裕子)
8 グランド・ツアー(佐久間弘展)
9 18世紀プロイセンの民衆教育――敬虔な信徒から勤勉な臣民へ(森 涼子)
10 慈善と実用――18世紀イギリスの庶民教育(中野 忠)
11 フランスのアンシャン・レジーム期における教育(森原 隆)
12 啓蒙期オーストリアにおける教育――初等学校の制度的変遷を中心に(山之内克子)
総括と展望(浅野啓子)

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内容説明

中世以降のヨーロッパにおける民衆教育に関しては,識字率への関心が強かったが,キリスト教を背景としたヨーロッパ社会では,宗教教育が教育のあり方に深く関わっていた。
中世初期では修道院と宮廷がラテン語をはじめとした貴族階級への教養教育の役を担い,中期にはエリート教育機関としての大学が誕生する。近世に入り,聖書を母国語で読みたいという欲求の高まりや,都市の急速な発達と商工業の繁栄によって,読み書き計算などの初等教育への要請も高まった。その中でユダヤ人社会ではキリスト教社会に先駆けて初等教育を義務化したが,これは民族のアイデンティティー保持のためでもあった。
東ローマ帝国の滅亡,そして教会や修道院からギリシャの古典文献が再発見されたルネサンス期には,人文主義が西欧各地へ拡大し,古典重視の教育観を促した。
プロイセンとオーストリアの民衆教育への取り組みは,宗教的状況に影響を受けつつも,国家に有益な臣民の育成を目的として展開された。またイギリスでは工業化による貧困層の増大と教育のあり方が,フランスではルソーの教育理念が大きな衝撃となるなど,各国の社会状況が公教育制度の形成過程で顕著な特徴となった。
本書の執筆者は必ずしも教育史の専門家ではないが,一次史料を扱うなかで教育関係の史料と出合い,それを活用して,エリートと民衆,男と女,市民と農民の違いなどさまざまな切り口で,ヨーロッパ中近世教育の多面的な姿を明らかにした。

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